人はなぜ鬱になるのか。
鬱の正体って、一体なんなのか。
そもそも、鬱になることは避けられないのか。
そんなこと、考えたことはありませんか?
一度鬱になってしまうと、本当に厄介。
日常生活がまともに送れなくなる。
何より、苦しくて苦しくて仕方がない。
そして一度このトンネルに入ってしまうと、長いこと出られない。出方も出口もわからなくなって、進む気力が根こそぎ削がれていく。
鬱になんかなりたくない。
ならないに越したことはない。
そんなことは皆思ってる。
だからこそ、「鬱になる手前の最後の防御壁」を知っておきたい。
トンネルに入る前に、心はちゃんとサインを出している。
それを知っているかどうかで、鬱になるかならないかの別れ道になるから。
鬱になる直前に起きること
臨床の現場では、鬱状態に入る前の段階を「黄色信号のゾーン」と呼ぶことがあります。
完全に赤になる前の、ぎりぎりのタイミング。
脳や心が「このままだと本当に危ない」と察知して、強制的にブレーキをかけようとしている状態。
その「最後の防御反応」には、いくつかの代表的なパターンがある。
1. 何もしたくなくなる
突然、意欲が底をついたように感じる。動きたくない、人に会いたくない、当日の朝になると予定を全部なかったことにしたい。そんな衝動が湧いてくる。
脳がエネルギーを節約しようとしている、れっきとした生理的な反応。車で言えば、ガス欠を防ぐために速度を落としている状態に近い。
2. 体の不調が増える
強い疲労感、頭痛、胃の不快感、吐き気、めまい、動悸。
こころが限界に近づくと、体が代わりにSOSを出します。「なんか最近、体の調子が悪い」という感覚が続くとき、それは心のサインである場合もある。
体と心はつながっている。どちらかが悲鳴を上げているなら、もう片方も限界が近いかもしれない。
3. 感情が鈍くなる、または理由なく涙が出る
この段階では、人によって反応が二つに分かれます。
何も感じなくなる「感情の麻痺」か、逆に理由もなく涙があふれてくるか。どちらも、感情の処理が追いつかなくなっているサイン。
「なんで泣いているのかわからない」という経験をしたことがある人は少なくないはず。
あれは心が処理できる限界を超えているときに起きる現象なのだと思う。
4. 生活の「基本」が急に重くなる
お風呂に入れない。食事の準備ができない。LINEの返信が億劫で、既読のままにしてしまう。部屋が散らかっていても、片付ける気力が出ない。
昨日まで普通にできていたことが、急に「山を登るような作業」に感じられる。
これも、脳のエネルギーが本当に足りなくなっているときに起きる症状。「ちゃんとしなきゃ」「こんな自分じゃダメだ」「今日も何もできなかった」と自分を責めることが、さらに消耗を加速させる。
未来を考えるのが怖くなる
5. 将来を想像するだけで不安になる。
先の予定を立てたくない。何をやっても意味がない気がする。こういう思考が出てきたら、かなりの黄色信号。
希望が持てなくなる感覚は、性格や根性の問題ではなく、脳の状態が変化してきているサインでもある。
「頑張っている人」ほど気づきにくい
ここで、多くの人が勘違いしていることを話したい。
鬱になる直前というのは、必ずしも「ぐったりして何もできない状態」ではない。
むしろ逆のことが多い。
すごく頑張っている。無理して動き続けている。外から見ると普通に見える。
そういう人が、気づかないうちに黄色信号ゾーンに入っていることがとても多い。
「まだ動けているから大丈夫」という判断が、一番危ない。
自分の変化に気づけるのは、自分だけ。
他人には見えない。
医者にも、家族にも、最初のサインはわからないことが多い。
だからこそ、自分自身が「あれ、最近なんか変だな」という感覚を大切にしてほしい。
黄色信号のうちに、できること
この段階で取れる選択肢がある。
回復日を確保する
頑張れる余力があるうちに、予め回復できる日を確保して意識的に休む。
これが一番難しくて、でも一番大事なこと。
負荷を減らす
今やっていることの中で、やめても死なないもの、本当はやりたくないことを探す。
「やらなくていいこと」は思っているより多い。
人に頼る
「迷惑をかけたくない」という気持ちをぐっとこらえて、限界になる前に声を上げる。
長い目で見るとこれが周りへの負担も小さくなる。
完全に赤信号になってしまう前に、ブレーキを踏むことができたら、鬱に落ち込まずに戻れる可能性は、グッと上がる。
心の防御反応は、敵じゃない。
それはずっと頑張ってきたあなたの体が、倒れる前に出した最後のサインだ。
サインに気づいた「今日」が、立て直せる一番早いタイミングでもある。
予定をひとつキャンセルする。返信を明日に回す。今夜だけ、早く寝る。
「大したことじゃない」と思うかもしれないけれど、そのくらい小さなことでいい。
黄色信号のうちに踏むブレーキは、そのくらいで十分だから。