■はじめに
2024年4月23日、『事業再構築補助金』の公募要領が発表になりました。
補助対象経費や申請プロセスなどは、大きな変更はありません。
しかしそれでも、2024年に申請する『事業再構築補助金』は、「昨年までのものとは全く異なる」と言ってもいい状況です。
公募要領をきちんと見て、慎重に検討する必要があります。
■不祥事が続出した2023年までの事業再構築補助金
2023年秋、『事業再構築補助金』の様々な不祥事が明るみに出ました。
元々、同一内容による申請の採択取消など、様々な問題が起きた補助金でしたが、2023年秋の不祥事は、補助金事務局の不祥事だったので、問題はさらに深刻でした。
以下、起こった問題を、簡単にご紹介します。
・特定の類似事業が大量に採択された結果、関連事業者の申請分は全社採択取消
・業者による代行申請が発覚したら、一律採択取消
・事務局スタッフによる個人情報の流出・不正利用が発生
・議員関連申請への忖度指示が流出
■2023年の申請分で異変
トラブルが多発した結果、2023年、『事業再構築補助金』の廃止すら話題に上がりました。
実際、第11回(2023年10月6日締切)分は、2024年2月13日に採択発表。
それまでは、だいたい2カ月ぐらいで採択発表されていましたから、申請していた人はたまりませんね…。
全国採択率も26.4%と、国の補助金にしては、かなり厳しい数値になっています。
第11回に申請して落ちた方が、気の毒でなりません。
公募が再開されましたが、2024年申請分でも、従来以上に厳しい審査になる可能性がございます。
申請される方は、今まで以上に、公募要領を主体的に理解し、主体的に申請しなければなりません。
■最新公募についての注意点
2024年4月に発表された公募要領。
仕組み自体はだいたい同じですが、以下のように、大きな変更が行われています。
・『事前着手申請』が事実上廃止されております。
・『申請要件』が厳しくなっております。
・市場拡大要件
・市場縮小要件
・付加価値額要件
・コロナ借換要件
・再生要件
・最低賃金要件
・卒業要件
・賃金引上要件 他
・『口頭審査』が実施される可能性があります
申請要件は、従来の申請要件と似ている/ほとんど変わらないものもあります。
とはいっても、申請できる事業者は、かなり変化していますから、注意が必要です。
■さいごに
実際、2023年の事業再構築補助金は、単なる『成長枠への投資促進』ぐらいの補助金になっていました。
そして、採択事業者の一覧表を見ても、「これは、再構築ではなく多角化なのではないか?」と思えるものが多数ありました。
補助金は、手軽であれば、不正が増えます。
一方で、補助金が厳しくなって、採択率が低く、交付決定まで長くなれば、余力のある事業者にしか使えません。
2024年版が、いざ申請してみたら、多くの事業者が、「再構築に使いやすかった」と思えるものであることを祈ります。