Vol.2 精神特化型の訪問看護ステーション
前回の続き
ここでは株式会社C社が立ち上げた「精神特化型訪問看護ステーション」の支援について、実際の取り組みと結果について解説していきます。
事前に整理すべき情報としては以下の点が挙げられます。
【ステーションの構造について】
・立ち上げて2ヵ月目
・管理者1名体制(2.5人を満たしていない)
・24時間365日対応
・カイポケ利用
・利用者0人
【管理者の経歴と性質】
・訪問看護ステーション未経験
・精神分野未経験
・年齢40代
・前職:特養の看護師
・素直かつ誠実な性格
【経営者の役割】
・必要な資金提供
・必要な契約対応(利用者契約以外)
・資金提供にかかる意思決定
※つまり基本的には現場に丸投げ状態
ここで問題なのは、まずは2.5人を満たしていない状況で運営していたということですよね。つまり他人の名前を借りた状況で、かつ24時間365日を1名で担っている状況です。
そして、管理者の方は素晴らしい方ですが、訪問看護も精神分野もすべて未経験の状況だということです。
1)管理者の離職防止とマインドチェンジ面談
弊社が株式会社C社に支援として介入したとき、真っ先に行ったとのは訪問看護ステーションの管理者面談でした。
理由としては単純で管理者の経歴を伺い、さらに現在は配置すべき人員基準を満たしていない事実から、管理者が相当な不安を抱えていると直感したからです。
組織の構造的な情報を得られれば、大抵はどのような状況になっているか想像できるのが、コンサルタントの特徴でもあります。
つまり、状況分析から仮説を立てて、将来的なリスクを刈り取る作業を行う必要があるといういことです。
今回の管理者面談は、その将来的なリスクを刈り取るための一つの支援であり、管理者が退職してまうと、せっかく2ヵ月前に設立した訪問看護ステーションを閉業しなくてはなりませんからね・・・
結果として、私の想像は当たっていました・・
もう退職寸前の精神状態で、なんとかここ2か月間は自分なりに精一杯努力してきたようで、入社してから人員基準が満たせていないこと、誰も教えてくれる人がいないこと等、私が面談したときには泣きつかれました。
管理者の発言は以下のとおりです。
・すべてが未経験なのにどうして、いきなり管理者なのか。
・誰も教えてくれる人がいない。不安しかない。
・オンコールも休みの間すべて対応できない。
・一人なのにどうして24時間対応なのか。
・社長に聞いても、頑張ってとしか言われない。
・社長はシステム導入の時しか来てくれない。
・契約書の説明もできない。
・最初はチラシを配ればいいと言われたが、最近は新規を取ってこいと言われる。
・営業経験もないのに、どうやればいいか分からない。
・社長のことは信用できない。
・もう明日には退職届を出す予定だった。
面談した際、このようなネガティブ発言のオンパレードでした。
これはさすがに可哀そうだと思いましたね・・・
ただ、今のこの状況ではこの管理者を筆頭に、改めて事業所を作ることを考えなければなりませんから、私が支援に入るときには必ず面談をして、愚痴や意見を聞くようにしました。
一旦、このように経営者に対する信用を失うと、取り戻すのは正直不可能です。
コンサルタントとしては、信用を取り戻す努力はしません。
管理者に対して、考え方を変えるように伝えました。
私が定期的に訪問する際には、管理者の話を30分程度、必ず聞きました。
出てくるのは社長に対する文句ばかりです。
本来は、このような文句ばかり言うならば、辞めてしまったほうがいいと伝えるべきなのですが、今のこの状況で辞めてしまっては事業が継続できなくなってしまうため、なんとか管理者には、現状の考え方を変えながら、自分の得になるような働き方をするよう話をしました。
まず第一に、新規開業する訪問看護ステーションの管理者になったことを、管理者にとっての”大きなメリット”であることを伝えました。
社長から放置されている状態を、不安と疑念と不信で心をいっぱいにせず、リフレーミングすることです。
管理者は、これまで訪問看護ステーションの管理者経験、新規立ち上げ経験がない状態であり、今のまま退職してまえば単に働く環境の悪さから”逃げた人”というレッテルを背負って、転職活動することになります。
40代で、このレッテルのまま転職活動するのは年収やポジションにも悪影響があることを伝え、この状況をポジティブに捉えてほしいと伝えました。
つまり、放置されている状況の中で、社長の関与が薄いのであれば『チャンス』であるということです。
ある意味、自分が思う通り好き放題に事業所を運営すればいいのです。
重要なのはピンチの時に、どのような工夫を施し、どのような思考でピンチを切り抜ける努力を行ったか?ということです。
しかし、一時的には納得や理解をしても長く続くものではありません。
常に社長への文句が絶えないことに対して、私はさらに苦言を呈しました。
「このままだと、モンスター社員になる可能性がありますよ」
これは相当きつい言葉かもしれません。
しかし、退職という決断をしないのであれば、目標に向かって行動し続けるしかありません。
いつまでも文句を言っていても仕方ありませんし、また事業所に新しい看護師が入社してくることを考えれば、このまま文句を言い続け、権利主張だけをする”モンスター社員”に進化することも想定されることから、ここで意識の変化を促す必要がありました。
ケンタッキーの休憩中、こういった話し合いを管理者と行いましたが、私がこの言葉を投げたことで管理者は涙を流しながらトイレに走っていきました。
「きついこと言ってしまったかな・・」と私は若干申し訳なくなりましたが、5分ほどで戻ってきて、吹っ切れたのか、または私のことをも信用しなくなったのか分かりませんが、それ以降の管理者の行動は、管理者のとしての自覚が芽生えたように事業運営に協力的になりました。
もちろん、それでも時々は社長の文句を言いますが、それはしっかりと受け入れて聞くことで少しでもストレスが発散すればいいと、私は勝手ながら考えていました。
悪い環境であることは間違いなく、その中で努力している管理者は、今考えてもすばらしいと思います。あの大変な時期に一緒に動いてくれたことに本当に感謝です。
次回はこちら
⇒精神特化型訪問看護ステーションの採用支援
以上