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「上り歩き最強の男」
目の前の男性を密かにそう名付けて、彼の呼吸、動きを自分の動作に取り入れていく。
六甲山の休憩所まであと少し。
ここからはひたすら上り坂。
すぐ先には迂回路という看板と、その横にあるキツイ階段がある。
練習の時は何度もヒィヒィ言いながら上った場所だ。
最強の男でも、さすがにスピードが落ちるんじゃないか。
そう思ったがなんてことはない。
彼のペースが落ちることはなく、それを追いかける自分のペースも落ちることはなかった。
スマホの時計を確認する。
「やばっ!」
練習で走って登っていた時よりも、明らかに速いペース。
すごい。
レース本番だから?
競争相手がいるから?
それとも、
「上り歩き最強の男」のペースに合わせているからか!
やっぱり、大会はいい刺激になる!
参加して本当によかった。
いよいよ大詰め。
どんどん視界が開けてくる。
この坂道を上りきれば、一般の道路に出る。
右手には休憩施設、その脇道が有馬までの下りのコース。
これまで追いかけてきた男の背中を見る。
彼の行動ををずっと観察してきたが、走る様子は全くない。
下りのコースに入れば、加速エリア。
彼が走ることがないのなら、難なく追い抜けるはず。
僕は下りのために力を蓄え、呼吸を整え始める。
来た!
一般の道路に到着。
ここから右手に行って、下りのコースへ。
そこから加速エリア・・・。
あれ?
追いかけてきた背中。
上り歩き最強の男は、道路を左へと曲がっていく。
なんで・・・。
その先の脇道から、再び山を登り始める。
あのコースは、
「六甲山最高峰」
に行くまでの道だ!
どういう事だ・・・。
今回のトレイルレースについて考える。
「最短12kmのトレイルコースです」
パンフレットにそう書いてあった。
実際に練習で走った時、1度だけ訪れた六甲山最高峰。
眺めは最高だった。
しかし、有馬の下りのコースから離れてしまう。
無理して登る必要はない。
そう自分で判断した。
でも、
彼は登っていく。
なんでだろう。
あっ!
もしかして、
トレイルのコースは決まってなくても、最低限通過しないといけないポイントは決まってるんじゃないだろうか。
そこを通らないとゴールは無効になる。
みたいなルールがあったとしても、おかしくはない!
だとしたら、
六甲山最高峰を通らないとおかしい。
という理論は成立する。
だって、山の頂上なんだもん。
考えはまとまった!
よしっ!
僕は覚悟を決めて、六甲山最高峰。
山の頂上を目指したのでした・・・。
追伸
マラソン大会とトレイルレース。
最も違うポイントは何か。
そう聞かれたら、間違いなくこう答えると思います。
「走る途中のポイントに、人が立っているか、立っていないか」
マラソン大会のコース途中には、必ず人が立っています。
「頑張れー」
と声をかけて励ましたり、ランナーがコースを間違えないようにする。
そんな素敵で大切な役割があります。
しかし、
トレイルレースの途中には人が立っていない。
だから、
正解が分からないんですよね。
人は悩んだ時、余裕がない時は、自分の手元にある情報だけで物事を判断してしまう。
今回の場合。
僕の手元にある情報で最も有力だったのが、
「登り歩き最強の男」
でした。
彼についていくことが、吉と出るか凶と出るのか・・・。
続きます。