大好きなあの人と離れてしまったあと、どうしても足が向いてしまう場所はありませんか?
もしかしたら会えるかもしれない。そんな淡い期待を胸に、あの人がよく通っていた道や、二人で歩いた公園を散歩コースに組み込んでしまう。
それは、あなたがそれだけ誰かを深く、真剣に愛した証拠だと僕は考えています。
でも、繊細な気質を持つあなたは、ただ会いに行くだけでは終われないんですよね。
もし本当にバッタリ会えたとき、自分の未練が透けて見えてしまうのが怖くて、鏡の前で何度も「驚く演技」の練習をしてしまう。
「あ、久しぶり。偶然だね」
そんな、わざと温度を下げた冷めたトーンを何度も口に出して、不自然じゃないか確認する時間は、切なくて、でもどこか愛おしい懸命な姿だと僕は感じています。
自分の恋心を隠すためのバリアを一生懸命に張っているあなたは、本当に健気で、優しい人です。
心理カウンセラーとして、これまで多くの繊細な女性のお話を聞いてきましたが、みなさん同じように「傷つきたくない」という想いと「一目会いたい」という想いの間で揺れ動いていました。
会いたいけれど、情けない自分は見せたくない。まだ好きだと思われて、優越感を持たれるのも、あるいは哀れみの目を向けられるのも耐えられない。
だからこそ、あえて冷たいふりをするためのリハーサルが必要なんですよね。
僕は、そのリハーサルそのものが、今のあなたにとっての「心の整理」の時間になっているのだと感じています。
何度も「久しぶり」と練習することで、少しずつその言葉を自分の現実にしようと頑張っている。
「偶然だね」という冷めたセリフは、自分自身に「これはもう過去のことなんだよ」と言い聞かせている、おまじないのようなものかもしれません。
散歩コースをあえて選ぶのも、あなたが自分の足で一歩ずつ、思い出を上書きしようとしているプロセスなんです。
今はまだ、心の中に嵐が吹き荒れているかもしれません。
でも、そうやって自分の感情を丁寧に守ろうとするあなたの感性は、いつか必ずあなた自身を幸せにする力に変わります。
無理にその散歩をやめる必要も、演技の練習を否定する必要もありません。
今は気の済むまで、鏡の中の自分と向き合ってみてください。
その震える声や、少し強張った表情さえも、一生懸命に生きた恋の勲章なのです。
いつか、本当に偶然あの人に会ったとき。
練習した通りの冷めたトーンで言えたとしても、あるいは感極まって言葉が詰まってしまったとしても、どちらのあなたも素晴らしい。
僕は、どんな結果になっても、自分を守ろうとしたあなたのその勇気をずっと応援しています。
少しずつ、本当に少しずつでいいので、深呼吸をして、今の自分を優しく抱きしめてあげてくださいね。
あなたは、世界で一番繊細で、そして強い心を持っているのですから。