離婚まで…35

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結局、自分の子供に手をかけることもできず…

自分が死ぬこともできず…。

夜が明けた。

自分の父親のことを思い出したから。

どんな思いで死んだのか…。
それは、「私」という存在が母親によって、母親の家に監禁されていたからだと思う。

父のことは憎んでいた。
成績でしか私を見ていない、自分の見栄と体裁の人だと思っていた。
そして、父が自分が「先生」と言われる立場によって私という存在は邪魔だとばかり思っていた。

けれど、本当は違うんだ、という父の本当の気持ちがわかったような気がした。

私がいなくなったことで確かに「体裁」もあったかもしれない。
けれど、そんなことで「死」を選ぶような人ではないはずだ。
自殺のもう一つの理由は「恋人」を母親の手によって「壊されたこと」も原因の一つにあると思う。
けれど、原因は「私にもある」ということだ。

自分が子供に対する思いは父と重なった。

過去に父に言われたことがある

父が自分の首に包丁を突き付けて
「一緒に死のう」
と言われたことがある。

その時は怖くて、ただ叫ぶしかできなかった。

その時に気づいてあげれればよかったのかもしれないが、私も小学生か中学生の1年生くらいのときだったと思う。

その瞬間がフラッシュバックしてきたのだ。

今まで思い出しもしなかったことが
子供と一緒に死のうと思ったときに思い出した。

そんなことを考えた自分が怖くなった。

朝になり、なるべく子供たちには悟られないようにいつも通り過ごした。

もう3.4日で施設にやらなければいけない…、

その間私はココにいてできる限りのことをした。
外で遊ぶ回数や時間を増やしてもらったり…。
まぁ、そんなことくらいしかできなかったが、

そして、施設に預ける時が来た。

もちろん子供たちには一切伝えていない。
最初は上の娘からだった。

シェルターの職員と子供と私でタクシーで施設に向かった。
そして、そのまま子供は「遊び場」のようなところに連れていかれた。

そして手続きをした。

それには「最低2年は預けてください」と言われた。
そして、面会も最初の2週間は来ないでください、とのことだった。
慣れない生活と恋しさで精神状態が落ち着かないことが理由だそうだ。

「わかりました」としか言えなかったが、絶対2年より早く迎えに来る!
と決意した瞬間でもあった、

そして、その「遊び場」で何も知らないで遊んでいる娘の姿が「別れ」の瞬間となってしまった。

そして、次は下の息子だ。
乳児のために乳児院に連れて行くらしい、
そこは、面会はいつでもどうぞ、というフランクな感じのところだった。

そして、私は一人になった。

その日の夜はご飯も食べれないくらい落ち込んでいた。

それを見かねたI子さんが
「こら!あんたがそんなんでどうすんの!子供たちはもっとつらいんだぞ!」
と叱ってくれた。
「悔しかったら、早くココをでて引き取りなさい!協力するから!」
と…。

私は、そうだ、預けてしまうしかなかった。だから絶対に連れ戻す!

と自分に喝を入れた。

そうして、子供を預けてから毎日職を探し、シェルターを出る計画を考えていた。

そして、やっと携帯を返してもらえたが契約は解除されてしまっていたため、
違う会社の携帯を契約しなければならなかった。
住所はもちろんシェルター…。
けれど問題なく契約できた。

そして、前の携帯のアドレスを見ながら「つながってもいい人」だけをリストに挙げた。

ふと見ると、前の保険屋さんのアドレスがあった。
ダメ元で電話してみよう…。

そう思い電話した。状況を伝えた。
最初はビックリしていたが、私がいなくなってから母親がその上司に怒鳴りこんだりしてきたらしい…。
けれど、そういう状況なら、と動いてくれた。

早く仕事を探してアパートを契約しなければ…。

そして、面接もスムーズに進み、スクール的な勉強会のようなところまで辿り着いた。やはり「子供」と同居だったら採用はできなかったらしい…。採用と言ってもまだ「仮」の状態だからだ。

そしてやっとシェルターを出れるまでこぎつけた。

そして勉強の傍らアパート探しを始めた。

ふと見るとあまり外にでれなかったせいもあるが、近くに
「大学」があるせいもあり、格安のアパートがたくさんあった。

私は、子供たちに近い場所を選んだ。

駅裏で35000円の1K。
敷金礼金なし。

よし!と思ったがまず持ち金がない…。
どうしよう…。

と同時に、まずココに連れてきてくれた知人に電話をした。

そしたら「あんたに連絡取りたいって人いたよ、ほら、バイトしてたとこのお客さん」と言われた。

私は一人だけ思い出した人がいた。

慣れない私をけなすでもなく、邪見にするでもないお客さん。

その人の電話番号が知人に伝えられていた。
「電話してくれ」
と言われたらしい。

私はなんだろうと思いながら知人と電話を切った後電話してみた

久しぶりだなぁ、などと他愛のない会話をしていたが、私の今の状況を聞いてきた、店に戻らないのか、など…
私は店には戻れないこと、そしてアパートを探していることなどを話した。
そしたらそのお客さんは
「○○日、○○スーパーで待ってる」
とだけ言われた。

なんだろう…
仕事を紹介してくれるのかな…
そう思った。

そして、その日私は一人でそのスーパーへ向かった。

そこには、あのお客さんがいた。

気軽に話しかけてきてくれた。

そして…
「これ…。使いなさい!返さなくていいから!」
と茶封筒…。

????!!!!

「いや、これは受け取れません!」

現金が入っているであろう封筒…。

けれどそのお客さんは「お前だけのために出すんじゃない、子供たちを引き取るんだろ!」
と…。

私は、それを言われたら何も言えなくなってしまった。

深々を頭を下げ、お礼をいった。

そのままそのお客さんは車で帰ってしまった…。
私は呆然としたまま立っていた…。

そして手の中にある茶封筒を見ると…

20万…。

私はお客さんが帰った方向に深々と再度頭を下げた。

なぜここまでしてくれるのだろう…。

見知らぬ私に…。

長い付き合いがあったわけでもない私に…。

人は分からない、
その裏になにがあるかもしれないのに
私は疑うことなく受け取ってしまった。


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