うつやひきこもりは、ご本人だけでなく、支えるご家族にとっても長期にわたる心身の負担がかかるものです。
ご家族が「どう対応すればいいか」と悩み、時には疲弊してしまうことは決して珍しいことではありません。
ご家族が自身のメンタルを保ちつつ患者さんをサポートするための、基本的な心理的アプローチや接し方のポイントを以下にまとめました。
1. 家族の心理と「共倒れ」の防ぎ方チームで病と闘う(家族病理としての捉え方): うつ病は一人で抱え込まず、家族や周囲の人が「チーム」として共に立ち向かう姿勢が重要です。
一人で抱え込まない: 支える家族自身が不安や疲労で潰れてしまわないよう、ほっとできる時間をつくりましょう。自分の心に余裕があってこそ、適切なサポートができます。
専門家やコミュニティを頼る: 家族だけで解決しようとせず、精神保健福祉センターなどの公的相談機関や、同じ立場の人と情報交換ができる家族会、オンラインコミュニティなどを活用することが心の負担軽減に繋がります。
2. 急性期の対応と距離感「食べる・通院」に集中する: 急性期はセルフネグレスト(自己放任)に陥りやすい時期です。掃除や片付けなどは後回しにし、まずは「食事(拒食を防ぐ)」と「医療機関への受診」の2点にエネルギーを集中させましょう。
過度な干渉は避ける: 自己肯定感が下がっている時期なので、無理に励ましたり、「頑張って」と声をかけたりするのは避け、できないことを責めないことが大切です。
「やってほしいことがあったら言ってね」という距離感: プレッシャーを与えないよう、見守る程度のコミュニケーションにとどめ、必要な時にだけ手を差し伸べる距離感が理想的です。
3. 医療と生活のサポート早期の投薬治療と医師選び: 対症療法を含めて早期に投薬治療を開始することが、回復の早さに直結します。本人が受診できていない場合は、病院を探し、相性の良い医師を見つけるサポートをしてあげましょう。
診察時の橋渡し: 本人が診察時に自分の症状や辛さをうまく医師に伝えられないことは多々あります。その際は、許される範囲でご家族が日頃の様子や主訴を主治医に伝えると、治療の大きな助けになります。
金銭的な不安のケア: 休職や治療の長期化により、患者さんは「お金の心配」に陥りやすい傾向があります。傷病手当金や障害年金、自立支援医療制度などの経済的なセーフティネットがあることを伝え、「お金のことは心配しなくていいよ」という声掛けをするだけでも大きな安心感を与えられます。
つづく 沙門蒼俊