テクノロジー「墓と死体と苔がむすまで」
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あの日の空はどこか重く風も弱く墓地全体が
息をひそめている様だった
アメリカのとある古い墓地に静かに眠ってる
死者達の場所でありえない事が起きてた
それは遺体がここ1~2年前から忽然と消えて
その場所の墓地が販売されてる事
「これはただ事じゃない」と捜査員の一人が
つぶやき周り見ると土は不自然に盛り上がり
掘り返された跡があちこちに残ってた
更に調べると信じられない事が発覚しそれは
本来そこにあるはずの遺体は取り出され別の
場所にきっと捨てられてる筈だった
そして空の墓地は新しい遺体の為に売られて
それは人の尊厳を踏みにじる許されない行為
捜査班はここの墓を販売してた業者を見つけ
重要参考人として任意事情聴取すると業者は
墓を売った事だけ認めて死体を移動した事は
全く認めない
それでは事件の全容解明にならないので翌日
捜査班は掘り返された形跡がある土の場所を
見つける調査に乗り出した
すると1か所見つかり班長が部下に「掘れ」
そう指示し部下達は慎重に土を取り除いてく
やがて現れたのは白く乾いた骨が出て来たが
この骨は死後墓を立てずにここに埋めた物か
犯人が移動しここに埋めた物かこれだけじゃ
まだ完全に証明できない
ここで完全に手詰まりになったと思った瞬間
偶然すぐ側に小さな小さな緑の塊があるのが
目に入った!
班長はそれを見て「コケ?」と直感で判断し
この誰もが見落としそうな凄く小さな植物に
違和感を覚え持ち帰る
数日後研究室でそのコケは丁寧に取り扱われ
光を避け乾燥させた状態で保管された
その後研究室長からコケの種類が判明したと
連絡があり班長が研究室に出向いた
研究室の顕微鏡の下で研究室長が静かに語り
「これはフィッシデンスタキシフォリウス」
と言う名のコケでどこにでもあるごく普通の
種類だと判明した
でも普通だからこそ意味あると班長の直感が
働いてコケを見つけた場所を研究室長に尋ね
確認したら「このコケはその場所に自然には
生えない」と言われその一言で空気が変わる
更に調査を進めると墓地の別の場所で木陰の
湿った土の上には同じコケがびっしりとあり
それを見た班長は「死体をここから持ち出し
移動させた可能性が高い」と感じた
つまり遺体は別の所から運ばれた事になるが
これを証明する為には決定的な問題が残って
それはいつ埋められたのか?という事だった
この証拠が無ければきっと犯人達に「自分が
空の墓を売る前からあった物だ」と言われて
墓地違法販売の罪だけになり刑が軽くなって
犯人を真に裁けない
そこで研究者達はコケに水を与えしっとりと
湿らせ時間をかけて観察してみた
すると最近採取したコケは即元気を取り戻し
研究所に2年以上も保管されてた古いコケは
ピクリとも動かない
でも移動された死体に付着してたコケはまだ
生きててほんの僅かな命が残ってた
更にデータが積み重なり雨の日の記録や湿度
光の有無なども調べた
これで判明した事実は暗くて湿った土の中に
長くいればコケはすぐ腐ってしまうけどこの
死体に付いてたコケは違いまだ緑という事
そして班長は「結論は出たな」と静かな声で
言い「このコケは長くても1〜2年以内に土に
埋められた物だ」と判明した
その瞬間全ての事が繋がり犯人の証言は嘘と
証明できたのだった
そして裁判の日を迎えてそこに現れた証人は
人ではなかった
その証人とは小さな小さなコケで声も出さず
動きもしない
それでもこのコケは「これは最近の犯行だ」
と語ってた
その後出た判決は当然有罪が認められ静かな
法廷の中全てが終わる
後日研究者は「植物は嘘をつかないんです」
そう語ってくれた
墓地は再び静けさが戻り風がそっと吹き抜け
草は揺れそしてどこかでまたコケが育ってる
誰にも気づかれずけれど確かに世界の真実を
記録しながら
沈黙の証人はいつもそこにいる