通勤交通費は法的に必ず支給しなければならないものではありません。
しかし、多くの会社では従業員の負担軽減のために支給していますよね。
3月から4月は転勤・異動のシーズンです。
通勤定期代など「給与ソフトで1度設定したら、あとは払いっぱなし」になりがちな手当を見直すにはよい機会です。
今回は、通勤交通費の運用ルールの確認方法や社内規定の決め方について説明します。
就業規則に定めたいポイント
通勤交通費に関するトラブルを避けるため、就業規則には具体的なルールを定めておきましょう。
・支給の基準:何キロ以上の通勤から支給するのか?
・定期代の扱い:1か月、3か月、6か月のどのパターンで支給するのか?
・バス利用の場合:距離の制限は?
・車、バイク通勤の場合:ガソリン代の計算方法や駐車場代の負担は?賠償保険は?
・自転車通勤の場合:交通費として支給するのか?
・遠距離通勤(新幹線など):認める場合の条件は?
注意したい 同一労働同一賃金との関係
時々、正社員には通勤交通費を支給するのに、非正規社員には支給しないという企業がありますが、非正規社員が訴えた場合、不合理な差をつけていると裁判所に判断される可能性があります。
通勤は雇用形態や職場での責任の重さ、役割に関係なく発生するため、正社員に支給されているのであれば非正規社員にも支給するのが原則です。
ただ、正規と非正規で、出勤日数に応じて支払い方を変えることは可能です。
例えば、週3日出勤の非正規社員であれば「1日ごとに往復の電車代を支払う」方が「6カ月定期代」よりも費用を抑えられる場合があります。
そういったかたに「出勤日に応じた1日ごとの交通費を支給する」ことは、同一労働同一賃金の観点からも問題はありません。
社会保険、税金との関係
通勤交通費は、健康保険・厚生年金保険の報酬に含める必要があります。変動した際は「固定的賃金」と扱われます。意外な盲点なのですが、消費税の変動により通勤定期代が変更になった場合も「固定的賃金」の変動になるため注意が必要です。
また、労働保険の算定対象にもなります。
所得税については、一定の非課税限度額を超えなければ、課税対象にはなりません。例えば交通機関や有料道路の利用であれば一か月15万円以内を超えなければ非課税となります。
支払いの停止に注意
転勤や転居の際には、余分に支払った交通費をどのように精算するかもルールを決めておくことが望ましいです。
例えば6カ月定期の3カ月目に転勤になった場合など、定期券を払い戻しする際の対応を規定に定めておくと、いざというときに慌てずに対応できます。
また、退職・休職・テレワークへの変更があった場合は、事例や情報が入った段階で通勤交通費を止めるなど、適切な対応が必要です。
通勤交通費は金額が多いこともあり、一度支給してしまった交通費をあとから戻してもらうのは正しい処理であっても、従業員との間にわだかまりが生まれることもあります。
まとめ
通勤交通費は、普段あまり意識されないものの、申請手続きの不徹底やコミュニケーション不足でミスが起こりやすい分野です。
特に転勤や移動の多い時期は、通勤経路の変更や支払いの見直しが必要になります。
この機会に、自社の通勤交通費のルールを見直し、適切に運用できているかチェックしてみましょう。
就業規則など社内規定の見直しは、ぜひ社会保険労務士にご相談ください。