第1話:期待と不安の初出勤
「おはようございます!」元気よく挨拶をして、私は新しい部署のドアを開けた。私の名前は澪(みお)。20代半ば。今日から、このマーケティング部に配属された。心臓がドキドキと音を立てている。新しい環境、新しい仕事、そして新しい人間関係。期待と不安が、交互に波のように押し寄せてくる。「……おはよう」静かな声が、オフィスの空気を裂いた。声の主は、私のデスクの隣にある大きなデスクに座っていた。黒いスーツをパリッと着こなし、冷徹な表情でパソコンに向かっている。彼こそが、この部署のリーダー、蒼(あおい)さんだ。「マーケティング部のリーダー、蒼です。よろしく」蒼さんは、パソコンから目を離さずに言った。歓迎の言葉も、笑顔もない。ただ、業務的な事実を伝えるだけの声。私は、一瞬、呼吸を忘れた。「……あ、はい。澪です。よろしくお願いします」私は、慌てて挨拶を返した。声が少し震えてしまった。「澪さんの業務は、これです」蒼さんは、分厚い資料を私のデスクに置いた。「このプロジェクトの目標は、これ。効率は、これ。澪さんには、この数字を達成してもらいます」蒼さんの言葉は、歓迎ではなく、私に対する“目標”だった。初日から、圧倒されるようなプレッシャー。私は、その厳しさに、大きな不安を感じた。(……私、大丈夫かな)新しい環境で、新しい仕事。そして、厳しそうな蒼さん。私の期待は、一瞬にして不安へと変わってしまった。(……でも、やるしかない)私は、蒼さんの背中を見つめながら、自分に言い聞かせた。不安に負けずに、この新しい環境で、成長していくんだ。私の新しい物語は、まだ始まったばかり。続く。
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