役割を終えたものを次の人へ。暮らしに心地よい風を通す方法
少し時間を見つけて、部屋の棚の整理をしました。奥から出てきたのは、かつて気に入ってよく使っていた、小ぶりな器。傷ひとつなく、佇まいは今でも美しいままですが、ここ数年はそっと引き出しの奥で眠っていました。「まだ使えるから」と取っておくことは、一見、物を大切にしているように思えます。けれど、じっと見つめていると、どこかその器の周りだけ空気が止まっているような、かすかな重さを感じました。使われないままそこにある姿は、役割を失って、時間の流れから取り残されているかのようです。東洋思想では、万物はすべて巡り、変化し続けるものと考えます。気(エネルギー)も同じで、一箇所に留まり続けると、それは「滞り」となり、全体の調和を崩す原因になります。物にも、それぞれにふさわしい「役目」と「居場所」があります。自分の元での役目を終えたなら、それを無理に留めておくのではなく、必要としている次の場所へ手放していく。「捨てる」のではなく、「次の持ち主へと循環させる」こと。それはまるで、せき止められていた古い水を流し、新しい綺麗な水が流れ込むスペースを作るような作業です。今回、その器は、以前から古い道具を好んでいた知人に譲ることにしました。手渡した瞬間、器の表情がどこか軽やかになったように思えたのは、気のせいではないかもしれません。あなたの身の回りにも、役目を終えて、静かに次の出番を待っているものはありませんか。それは物に限らず、過去のこだわりや、今の自分には少し合わなくなった習慣かもしれません。無理にすべてを変える必要はありません。ただ、そっと窓を開けて風を通すように、留まっているものを外へと流してみる。今
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