教養としての道教➀:老子とタオイズム

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老子:万物の根源である「道」(タオ)の働きに従う無為自然の生き方を説き、儒家が「道」を人為的・作為的な道徳や秩序として捉えたことを批判しました。『老子(道徳経)』。荘子と併せて「老荘思想」と呼ばれ、道家思想の淵源となり、その「無」の思想は仏教の「空」思想との接点になりました。道教(タオイズム)では神格化されて「太上老君」と呼ばれ、唐朝(李氏)でも老子(李耳)は同姓とされて尊重されました。

無為自然:儒家の礼や仁を人為的なものとして批判し、それらが不要な社会こそ理想であると説きました。古典派経済学の「自由放任(レッセ・フェール)」とも通じる考え方です。無為の政治は秦末の混乱を経た前漢初期の政治で採用され、安定と繁栄の基を築き、第7代武帝はこれを土台に積極政策に転じました。無為の政治は法家思想と組んで君主独裁制の確立に寄与したとされます。また、力の濫用を避け、戦わずして勝つことを眼目とするその軍事論は、『孫子』の兵法との関連性が指摘されています。
(1)古典派経済学:「自由放任(レッセ・フェール)」を中心教義とするので、老荘思想・道教の「無為自然」に対応します。
(2)ケインズ経済学:適切な経済政策により失業を無くそうとするのもで、儒教の「善政主義」に対応します。
(3)社会主義:計画経済・統制経済を指向するので、法家思想に対応すると言えるでしょう。

小国寡民(しょうこくかみん):老子は、小さな共同体の中で、何ものにも拘束されることなく、質素に生きるべきだと説きました。老子の説く理想世界は村落共同体のような世界だと言えます。

柔弱謙下(じゅうじゃくけんげ):水のように柔和で謙虚な生き方。「柔よく剛を制する」。

和光同塵(わこうどうじん):知恵(光)を和らげ、隠して、俗世間(塵)に交わること。楚の屈原が才能を嫉まれて放逐されたのを、漁師(隠者)が「酒に酔い、泥に塗(まみ)れなさい」と諭したことが有名です。

「大道廃れて仁義あり、智慧出でて大偽あり。」(『老子』):無為自然の道が廃れたために儒家の仁義が強調され、知恵者が現れたため、偽りも行われるようになったとしています。この後に「六親(りくしん)和せずして孝慈あり、国家昏乱(こんらん)して忠臣あり」と続きます。

「上善は水のごとし。」(『老子』):万物に恵みを与えながら、そのことを誇らない水を理想としました。

「大器晩成」(『老子』):鐘や鼎(かなえ、三本足の青銅祭器)など大きな器物はなかなか簡単に出来上がらないことから、大人物は晩年に大成するということ。
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