教養としての道教③:道家思想と道教

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『列子』:『老子』『荘子』と並ぶ道家の書で、「杞憂(きゆう)」「愚公、山を移す」など、古代寓話の宝庫です。

「杞憂」:中国古代の杞の人が、天が崩れ落ちてきはしないかと心配したという故事から、心配する必要のないことをあれこれ心配すること。取り越し苦労。

「愚公、山を移す(愚公移山)」:どんなに困難なことでも努力を続ければ、やがては成就するというたとえ。毛沢東が演説の中で引用したため、有名になりました。

竹林の七賢:魏から西晋にかけての3世紀頃、老荘思想の影響を受け、儒教倫理の束縛から離れた自由な議論(清談)を展開した阮籍ら7人。

道家思想:老荘思想、養生法(漢方医学、不老長生法、神仙道)、民間信仰(御札、おまじないなどの符呪)の3要素からなり、仏教の受け皿になると共に、仏教の影響によって整備が進み、宗教としての道教が確立しました。

漢方医学:西洋医学的な対症療法ではなく、「医食同源」「未病」などの思想を持ち、生命力・自然治癒力を目指す中国医学・東洋医学。狭義では漢方薬を投与する医学体系を指し、広義では経穴などを鍼や灸で刺激する物理療法(鍼灸医学)を含めた伝統医学を指します。 陰陽五行説に基づく医学理論及び鍼灸術を詳述した最古の医経『黄帝内経(こうていだいけい)』素問(医学理論)・霊枢(鍼灸術)、「医中の亜聖」「衆方の祖」と呼ばれた張仲景の『傷寒論』(傷寒=腸チフス及びその類の急性熱病)の二書が中国古代医学書の双璧です。さらに中国最古の薬物書『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』と併せて三大古典とされます。伝説的な名医としては、「漢方医で脈診を論ずる者は全て扁鵲(へんじゃく)の流れを汲む」とも言われ、『韓非子』や『史記』その他に様々な逸話を残している扁鵲、「麻沸散」(麻酔薬)を使って腹部切開手術を行い、「神医」と呼ばれ、「五禽戯」と呼ばれる体操健康法(導引)の発明者とも言われている曹操の侍医華佗(かだ)、『鍼灸甲乙経』を編纂した皇甫謐(こうほひつ)らがいます。

神仙思想:劉向(りゅうきょう、前漢代)の『列仙伝』、葛洪(かっこう、西晋・東晋代)の『神仙伝』『抱朴子(ほうぼくし)』などによって、漢民族の祖黄帝(「五帝」の第一)も道教の祖老子も仙人とされました。また、秦の始皇帝も不老長生の霊薬を求め、徐福に童男童女三千人を率いて蓬莱山も求めさせたことは有名ですが、日本全国に徐福伝説があり、『竹取物語』にも蓬莱山が出てきます。さらに干宝(かんぽう、東晋代)の『捜神記(そうじんき)』などの志怪小説、張鷟(ちょうさく、唐代)の『遊仙窟』、李復言(りふくげん、唐代)の『杜子春』などの伝奇小説が誕生し、瞿佑(くゆう、明代)の『剪燈新話(せんとうしんわ)』、蒲松齢(ほしょうれい、清代)の『聊齋志異(りょうさいしい)』、紀昀(ききん、清代)の『閲微草堂筆記(えつびそうどうひっき)』などに結実していきました。
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