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「返事を待つ」ということ

「今度、お宅に遊びに行きますね。」2週間ほど前のこと。ある集まりで、十五年ぶりくらいに再会した人がいました。その時は席が離れていたこともあり、あまり話はできなかったのですが、別れ際にご自宅に遊びに行く話をした。相手も笑顔で、「ぜひ。」と言ってくれました。そこで私は、帰宅してすぐにメールで日程候補を送りました。返ってきたのは、「調整します。」という返事。なかなか返事が来ないまま、数日が経過。「忙しいのかな。」そう思っているうちに、とうとう候補日が目前に迫ってきました。返事を待つということは、相手のペースを受け入れるということでもあります。「この日なら大丈夫です。」あるいは、「今月は難しそうです。」そんな連絡が来るのだろうと、 なんとなく思っていました。「こちらから聞いてみようか。」そんな考えも頭をよぎりました。でも、私は何もしませんでした。「調整します。」そう言ったのは相手です。キャッチポールをしていて、「今度は、僕が投げるね」と言われているのに、こちらからボールを追加で投げたりしない。つまり今は、相手の番なのだと決めていたからです。そして迎えた候補日の前日。ようやく届いたメールには、「仕事の都合で、今月の土日は難しい。」と書かれていました。その文章を読んだとき、怒りはありませんでした。ただ、「やっぱり、この人はこういう人だったな。」そう思っただけでした。昔から、 約束や連絡を守る人ではありませんでした。だから、驚きや怒りはありません。むしろ、 15年という時間が過ぎても、その部分は何も変わっていなかったのだな、と少し懐かしく感じたくらいです。もちろん、 ほんの少しだけ残念な気持
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『やさしさ迷惑37/100』

第37話前に立つということ前話:優作は、佐伯に声をかけることも、美月に謝ることも、桐谷の軽さを受け取ることもできなくなっていた。美月に「佐伯さんに、返事をさせないでください」と言われた言葉が残り、優しさも謝罪も、相手に何かを背負わせるものに見えてしまった。雨と雷の中、優作は駅のホームで電車に乗れず、自分が誰かの声を聞けなかったのではなく、誰にも自分の声を渡せなくなっていたのだと思った。朝になっても、雨は降っていた。けれど、昨日のような雨ではなかった。窓を叩きつける音は弱まり、空の色も少しだけ薄くなっている。遠くのビルの輪郭が、かろうじて見えた。優作は、駅のホームでスマホを開いた。昨夜から返せていなかった大槻のメールが、画面に残っている。本日はご対応ありがとうございました。明日の朝、少しだけ最終確認のお時間いただけますか?返信欄を開く。昨日は、ここで指が止まった。承知しました。確認します。よろしくお願いします。どの言葉も、自分の体から離れていった。優作は、息を吐いた。指先が少し冷たい。本日、確認のお時間をください。資料の最終確認だけでなく、前回の進め方について、私から整理させてください。打ってから、しばらく送れなかった。整理。その言葉ですら、逃げ道に見える。本当に整理したいのか。それとも、また場をきれいに片づけたいだけなのか。優作は画面を見つめた。消そうとした。でも、消さなかった。送信した。電車がホームに入ってきた。今朝は、乗った。会社に着くと、傘立ての周りにまだ水の跡が残っていた。昨日よりは少ない。でも、乾いてはいない。優作は自分の席に鞄を置いた。佐伯はもう来ていた。画面を見て
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