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なぜ「なんか良い」では記憶に残らないのか

「なんか良いですね」そう言ってもらえることは、もちろん嬉しい。でも、少しだけもったいない言葉でもあると思っています。なぜなら「なんか良い」は、まだ理由になっていないからです。きれいだった。おしゃれだった。雰囲気がよかった。おいしかった。それはたしかに大切です。でも、それだけだと時間が経つにつれて、他の体験の中に埋もれていきます。なぜなら、似たようなサービスやお店は、場所を変えればたくさんあるからです。きれい。おしゃれ。おいしい。丁寧。それだけでは、他の体験との違いが残りにくい。人があとから誰かに話したくなる体験には、もう少し深い理由があります。なぜそれだったのか。そこにどんな背景があったのか。自分の記憶や感情と、どうつながったのか。つまり、記憶に残る体験には「文脈」と「意味」があります。たとえば、あるアルバム(音楽)をイメージしたカクテルを作るとします。ジャケットの色に合わせて、青いカクテルを出す。暗い曲調だから、重めのワインを出す。それも悪くありません。でも、そこで終わると「見た目の翻訳」で止まってしまう。本当に面白いのは、そのアルバムが持っている時代、土地、温度、感情、物語、そしてその音楽にまつわる記憶まで読み取ることです。そのうえで、この曲の孤独感なら、少し冷たい温度で出したい。このアルバムの余韻なら、甘さではなく苦味を残したい。この時代の空気なら、あえて古典的なグラスで出したい。そんなふうに考えると、飲み物はただの飲み物ではなくなります。「なぜこれなのか」が生まれる。そして、人はその理由を語りたくなる。私は、体験づくりで大切なのは、派手な演出を増やすことではないと思って
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