なぜ「なんか良い」では記憶に残らないのか

なぜ「なんか良い」では記憶に残らないのか

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ビジネス・マーケティング
「なんか良いですね」

そう言ってもらえることは、もちろん嬉しい。

でも、少しだけもったいない言葉でもあると思っています。

なぜなら「なんか良い」は、まだ理由になっていないからです。

きれいだった。
おしゃれだった。
雰囲気がよかった。
おいしかった。

それはたしかに大切です。

でも、それだけだと時間が経つにつれて、他の体験の中に埋もれていきます。

なぜなら、似たようなサービスやお店は、場所を変えればたくさんあるからです。

きれい。
おしゃれ。
おいしい。
丁寧。

それだけでは、他の体験との違いが残りにくい。

人があとから誰かに話したくなる体験には、もう少し深い理由があります。

なぜそれだったのか。
そこにどんな背景があったのか。
自分の記憶や感情と、どうつながったのか。

つまり、記憶に残る体験には「文脈」と「意味」があります。

たとえば、あるアルバム(音楽)をイメージしたカクテルを作るとします。

ジャケットの色に合わせて、青いカクテルを出す。
暗い曲調だから、重めのワインを出す。

それも悪くありません。

でも、そこで終わると「見た目の翻訳」で止まってしまう。

本当に面白いのは、そのアルバムが持っている時代、土地、温度、感情、物語、そしてその音楽にまつわる記憶まで読み取ることです。

そのうえで、

この曲の孤独感なら、少し冷たい温度で出したい。
このアルバムの余韻なら、甘さではなく苦味を残したい。
この時代の空気なら、あえて古典的なグラスで出したい。

そんなふうに考えると、飲み物はただの飲み物ではなくなります。

「なぜこれなのか」が生まれる。

そして、人はその理由を語りたくなる。

私は、体験づくりで大切なのは、派手な演出を増やすことではないと思っています。

むしろ大切なのは、目の前のものにどんな意味を乗せるか。

料理、ドリンク、接客、会話、空気感。

それぞれは小さな要素でも、そこに文脈があると、ひとつの体験として記憶に残ります。

「なんか良い」は入口です。

でも、そこで終わらせない。

雰囲気ではなく、文脈をつくる。
見た目ではなく、意味を乗せる。

その体験は、お客様の中で物語になります。

そして物語になった体験は、あとから誰かに話したくなる。

だから私は、「なんか良い」で終わらせない体験を考えるのが好きです。

コンセプトや世界観を、記憶に残る体験へ翻訳する。

そんなことを、これから少しずつ書いていきます。

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