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【超ショートショート】「タコ口の恋人」など6本

「タコ口の恋人」 恋人が、いつものようにタコ口でキスをせがんできた。 (今だ……!) すかさず、恋人のタコ口を切り取り、細かく刻んでタコ焼きの材料にする。 「なんでキスしないの?」 不満げな恋人。 私はその口に、できたてのタコ焼きを放り込んだ。 「……うま!」 恋人はご機嫌で海に帰った。「常識」橋本環奈がアーノルド・シュワルツェネッガーになるのは常識。 秋、東京都奥多摩町にある田園に植えられた橋本環奈たちは、春から夏にかけて筋骨隆々に育っていく。 秋になってサングラスの形をした花が開くと、食べ頃。 石臼で摺りつぶされ、薫り高い蕎麦粉になる。 通は塩でいただく。「家族のスタメン」玄関で家族のスタメン発表が始まった。監督が「父、斎藤!母、林!」とポジションごとのスタメンを発表し、家族に選ばれた者はリビングに移動する。 そして最後の一枠。 俺は自分の名前が呼ばれるのを祈る。 「飼い犬、関!」監督が言う。 俺じゃない。 はぁ。今年も二軍の家族で調整だ。「仕送り」故郷が恋しくなってグーグルアースに実家の住所を入力した。画面に映る地球が急速に近付いてきて、日本のとある地方が鮮明になっていく。 直後、少し地面が揺れた。 (地震か…?) テレビをつけると、ニュース速報が流れている。 俺は自分の目を疑った。 俺の実家に巨大な赤いピンが刺さっていた。「ほっこり」この前、落とし前としてよぉ、小指を詰めて兄貴に献上したんだよ。 それで昨日兄貴の部屋を掃除してたらよぉ、机の引き出しに俺の小指が入ってたんだよ。 折り紙で作った目とか口をつけて、小さい服まで着せてよぉ、兄貴ったら、マジの「指人形」作ってたん
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【ショートショート】「最高の音楽体験を」

「最高の音楽体験を」そんな謳い文句の商品を買った。 値段は7000億ドルくらい。私がちょっとした石油王じゃなかったら買おうとも思わなかっただろう。 支払い後、その場で商品を渡された。ウォークマンの類いかと思ったが、見た目はただの携帯だった。しかも電話しかできないタイプ。 「オーディオ機器でもないのに、「最高の音楽体験」?」 私は訝しげに店長を見た。すると店長は余裕たっぷりに、 「皆さんそうおっしゃいます。とにかく電話帳をお開きください」 と言った。 その通りにすると、電話帳には有名なミュージシャンの名前がズラリと並んでいた。途端に鼓動が速まる。 「も、もしかして彼らと通話できるのか……?嘘だろ……?」 興奮しながら尋ねると、店長はゆっくりと首を振って、 「皆さんそうおっしゃいます。とにかく、お好きなミュージシャンに電話をかけてみてください」 と言った。私は訳も分からぬまま、「ポール・マッカートニー」と書かれた番号を押した。ビートルズの曲には、私がまだ駆け出しの石油王だった時代に、随分勇気づけられたものだ。 プルル、プルル、プルルルルル…… しばらく発信音が鳴った後、誰かが電話に出た。 「あ、は、初めまして!私昔からあなたのファンでして……」 私は緊張から矢継ぎ早に喋った。しかし、私の挨拶には返答がなかった。 その代わり、演奏が始まった。 曲は「Hey Jude」。歌っているのは、間違いなくポール・マッカートニーその人だ。 しかも「Jude」の部分を私の名前に変えてくれている。 私は涙を流しながら理解した。 この携帯は、直接ミュージシャンに電話をかけ、リアルタイムで演奏してもらう
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【超ショートショート】「開発」など

「開発」 俺は仲の良い友達とYouTubeを撮っている。 男2人のただの日常。誰も見るわけないと思っていたが、意外にも沢山の視聴者がいる。 さらに意外なのは、視聴者の大半が女性で、俺と友達を「このカップル尊い」と評価していることだ。 最近、BLとして見られることに、俺たちは妙な快感を覚えている。 「やっちゃった同僚」営業先から帰って来たカニバリストの同僚から、強烈なニンニク臭。 「なに?餃子?二郎系?」 そう尋ねると、同僚は気まずそうに、 「先方のステーキをガーリックソースで食っちゃったんだよ。 ごめん。」 と言った。 「勘弁してくれよ。」 俺は肩をすくめた。 「異次元の少子化対策」ナマコの一種は、絶滅を免れるために人間の言葉を習得し、オナホールに擬態した。 「使われた」後、人間の雄に「あなたの子を妊娠した」と嘯けば、世話をさせられる算段だった。 しかし日本政府に目をつけられ、そのナマコは本当に人間の子供を産めるように改造された。 現在、少子化は改善している。 「うん子」本当は妊娠しているのに便秘と勘違いして、知らず知らずの内に子供を便器に産み落としちゃっている女性、意外と多いんです。 「そんなわけないだろう」って? いやいや、そのまま流され、下水道で他の子供たちと合流し、巨大な地下帝国を作った僕が言うんだから間違いありませんよ。 今度、詳しい話をしに行くからね?お母さん。読んでいただきありがとうございました。 あなたのシャワーヘッドが大暴れしませんように。
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【ショートショート】「夢精と切れ痔(前編)」

蒸気で曇ったガラスの向こうに、人影が見えた。(せっかく貸し切り状態だったのに)スーパー銭湯のサウナ室に、比嘉冷射士の舌打ちが響く。案の定、ドアは開かれ、腰に橙色のタオルを巻いた男が入って来る。一瞬、表の冷気と音が入る。 比嘉冷射士は(勝負を持ちかけられたら面倒だ)と顔を伏せた。濡れて束になった前髪の先端から、股間にかけたタオルに汗が落ちる。次第に、特有のぼんやりとした気分が戻って来る。 不意に、視界の端に足が現れる。慌てて前を向くと、男が正面に立っている。こちらを見下ろしながら、無精髭の間から歯を覗かせている。 「何ですか?」 努めて冷静に尋ねる。すると男は何も答えず、自身の腰に巻かれたタオルに手をかけると、それをはためかせながら解いた。目の前で、血管の浮いた黒っぽい陰茎が揺れる。 比嘉冷射士があっけに取られていると、男は一層歯を剥き出しながら屈み、自身の陰茎を比嘉冷射士の脹ら脛につけ、そこから太股の内側までを陰茎でなぞった。 比嘉冷射士は反射的に身を捩って逃れようとしたが、腰が抜けたのか立てない。その内に男の陰茎がタオルの中に侵入し、比嘉冷射士の陰茎を押し上げながら、ゆっくりと勃起した。男の陰茎は反り上がり、比嘉冷射士の陰茎とタオルを弾いて、男の臍の辺りに当たった。 あろうことか、支えを失った後も比嘉冷射士の陰茎は垂れ下がらない。タオルが僅かに膨らんでいる。比嘉冷射士は目を背けているが、陰茎がある程度の角度と固さを保っていることは、否応なく実感している。そして意識する程、陰茎は張り詰めていく。 男が比嘉冷射士の手首を掴んで引っ張る。腰が浮き、立ち上がる。同時にタオルが解け、互
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【ショートショート】「社畜のいつもより遅い出勤」

改札を出て、数歩歩いたとこで足が止まる。動こうとしても全身が硬直している。 「何してんだよ。」 背中に衝撃を受ける。体がつんのめり、勝手に足が出て数歩歩く。右肩の後ろが痛い。前を向くと、スーツの上にロングコートを羽織った人がいる。こちらを睨んでいる。少ししてから視線を外し、右に折れて歩いて行く。 その道筋を辿るように、沢山の人が横を通っていく。時折背後からぶつかる。 「邪魔邪魔。」 「っどくせぇな。」 押されるまま、同じ要領で前に進む。やがて体に痛みを覚える頻度が減り、完全に足が止まる。 革靴の足音が聞こえる。気にすると、その数が急速に際限なく増えていく。振り返ると、通勤中の人々が目の前で曲がっている。そのカーブは少しずつ膨らみ、迫ってきている。喉の奥が詰まり、胸の辺りが冷える。瞼が震え、視界で光が瞬く。 顔が反対側を向き、車道の方に行こうとする。その動きに胴体と足が引っ張られる。 ガードレールに右手をつく。駅を見ないように俯きながら、ガードレールの礎石に座る。両手で顔を覆い、指の隙間から息を少しずつ吐く。耳の奥で心音がはっきりと鳴っている。 しばらくして両手を離す。汗で濡れている。右の掌にはガードレールの跡が残っている。視界で瞬いていた光が弱まっている。礎石とアスファルトの隙間に雑草が生えている。 尿意がして、直後に太股の裏に温かい感触が広がっていく。小便が脹ら脛を伝い、痒くなる。足元に水溜まりができて、数本の線に分かれながらガードレールの方に流れる。脹ら脛を搔く。 背後で車の行き交う音が聞こえる。左側からは、声が聞こえる。見ると、少し先の方で拡声器を持った若い男性が、駅に向
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【ショートショート】「ハズレの同居人」

ゲージのガラスを指で小突くと、 中にいるカメレオンが目を覚ました。 寝そべっていた枝から、 右前足と左後ろ足、 左前足と右前足を交互に離し、 伸びをしている。 その様子が可愛らしくて、 思わず笑ってしまう。 あまりにも可愛いものを見ると笑ってしまうことを、 私は2年前に「カメちゃん」を飼い始めてから知った。 すっかり起きたカメちゃんは、 左右の目を別々の方向に動かしながら、 口をパクパクとさせている。 私はその様子を眺めながら、 ゲージの置いてある机の引き出しを開け、 2枚の色のある下敷きを取り出す。 赤、青、それらを合わせた紫。 1色ずつカメちゃんの前に掲げる。 緑色の体表は、それぞれの色に従って変わる。 なんて健気なんだろう。 また可笑しさが込み上げてくる。 私はその遊びを繰り返しながら、 (カメちゃんが巨大になって、 会社をぶっ潰してくれればいいのに。) なんて妄想に耽っていると、 不意に背後のドアがノックされた。 コンコンコン、コンコンコン、コンコンコン、コンコンコン…… 無視しているのに、3回も4回も。 きっとあいつだろう。 面倒だが、付き合いというものがあるから仕方ない。 溜息を吐き、ドアを開ける。 すると案の定、 そこには「ハズレ」の方の同居人がいた。 「何?」尋ねると、 そいつはモジモジとし、 長い前髪の隙間からニキビだらけの肌を覗かせながら、 「今忙しい?」とこちらの機嫌を伺う。 「用事によるかな。」 私がそう言うと、 ただでさえイライラしているのに、 躊躇いがちに何かの紙を渡してくる。 受け取って見ると、 習い事でやっているとかいう、 アコースティックギター
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【超ショートショート】「不忍池」など

「不忍池」 上野公園の不忍池を歩いていると、 濛々と茂る草木に囲われて弱まった街灯の光の下に、 一人の女性が立っている。 その脇を抜けながらチラリと見ると、 白いシャツにホットパンツ、 黒いハイヒールを履いている。 髪は金色で長くゴワゴワとしており、表情は分からない。 シャツのボタンは外されて、 中に何も着ていないのか、素肌が覗く。 思わず胸元に視線が移る。 「おい」 声をかけられて体がビクッと跳ねる。 罪を咎める口調だったから、だけではない。 その声は明らかに男のものだったのだ。 恐る恐る視線を上げると、 髭の生えた角張った顎が視界に入り、 次いで顔の全容が見える。 ポカンと開いた目と口。 それを見て、俺も全く同じ表情をする。 「……俊。」 男が俺の名前を呟く。 そこにいたのは、 間違いなく親父だった。 俺たちは数瞬の間目を合わせた後、 慌てて逸らし、各々の足元に落とした。 言葉はない。 俺は硬直した状態で、 必死に知っている親父の姿を浮かべた、 「出世をしなければ人間じゃない」を合い言葉に、 悪い成績を取った兄に手を上げていた、 あの恐ろしい親父の姿を。 俺は初めて自らトラウマを呼び起こし、 現実を塗り潰そうとした。 しかし女装している老人は、 親父の声で話しかけてきた。 「金貸してくれ。」 俺は堪えきれずに走り出した。 これ以上辛い現実を受け止められない。 公園を出て横断歩道を渡ると、 ガードレールに凭れて呼吸を整える。 喉から笛のような音が鳴り、 視界が汗で滲んでいる。 しかし俺は理解してしまった。 親父は男娼をしているのだ。 背後で葉が音を立てて落ちた。 「郵便ポスト
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【超ショートショート】「贖罪配信」など

「贖罪配信」 「贖罪配信」というものが流行っている。 これは人々が望む罰と、 法律の定める罰の乖離を埋めるためのものだ。 例えば、芸能人が不倫をしたとしよう。 人々は芸能人を責め立てるが、 配偶者に裁判を起こされない限り、 法には罰せられない。 つまり、法に許されても、 世間からは許してもらえない。 このギャップを解消するため、 芸能人は自ら贖罪配信を行い、 人々が望む罰を受けるのだ。 具体的な方法としては、 生配信中にコメントの多かった罰を採用し、 芸能人がその通りに自らを痛めつける。 芸能人かどうかを問わず、 炎上したあらゆる人々が贖罪配信を行っている。 現代では人気商売であろうとなかろうと、 世間から嫌われては食べていけない。 一般的な会社員であっても、 炎上すれば勤めている会社を特定され、 会社にクレームが殺到。 売り上げに影響するので、 最終的に自主退職を迫られる。 さらに、 辞めた後もネット上に悪評が残っているので、 再就職が危うくなる。 だから炎上すれば皆が贖罪配信を行う。 ちなみに、 今まで贖罪配信を行って無事だった者はいない。 「神がいなくなった時代」「もし神が死ななかったら、 こうゆうマウントの取り合いは起こらなかったのではないか?」 と、ニーチェは同窓会で言った。 すると先ほどまで唾を飛ばしながら収入の高さを自慢し合っていた元クラスメイトたちは、口を揃えてこう返した。 「当たり前だろ。 だからこうして、次の神の座を競い合っているんじゃないか。」 某大企業の社長が汎用型AIを開発し、 完全な管理社会を実現する数年前の出来事である。 「最期に行きたい場所」変わ
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【超ショートショート】「わがままと自殺」など

「わがままと自殺」 僕は辛い人生を歩んで来ました。 まず、父親が酷いやつでした。 母さんの妊娠が発覚した途端、 完全に姿を消しました。 母さんは必死に働き、 僕を育ててくれました。 だけど僕が中学生の頃、 母さんが彼氏を作ってから、 僕の生活はより辛くなりました。 いえ、暴力は受けていません。 母さんの彼氏はいい人だったんです。 ただ、だからこそ、 僕は片想いしてしまいました。 そうです。僕は同性愛者です。 僕は母さんの彼氏が好きになり、 だけど母さんの恋を邪魔したくなかったので、 高校は寮のある学校に進みました。 家庭の事情と、 生まれ持った性質によって、 仕方なく家を出たんです。 そしてこれが、 転落の始まりでした。 「女みたい」という理由から、 虐められるようになったんです。 先生にも相談できず、 退学して家に帰りたかったけど、 例の事情から帰れなくて、 僕はひたすら辛い3年間を過ごしました。 ようやく高校を卒業した後、 大学に行く選択肢はあったものの、 僕は働き始めました。 今まで誰かに与えられた環境は、 全て理不尽なものだったので、 自分自身の手で人生を切り開こうとしたんです。 だけど就職したのは、 家族経営の会社でした。 「よそ者」の社員には発言権がなく、 出世するには、 家族の一員になるしかない。 だから僕は嫌で堪らなかったけど、 その家族の娘と交際し、 婿入りしたんです。 そしてどうにか跡取りになる子供を作り、 会社の上役に登りつめました。 しかし、古くさい経営によって、 徐々に会社は傾き始めており、 僕は危機感のない連中の分まで、 昼夜を問わず働きました。 愛
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【超ショートショート】「影恐怖症」など

「影恐怖症」 影が怖くて、 怖くて怖くて、 それはもう怖くて堪らない女の子がいた。 女の子は、物心がつくのと同時に、 人の影に恐れを抱いた。 そして初めて、 あの黒くて怖いのが、 自分の足元から伸びているのに気付いた時には、 悲鳴を上げ、 小便を撒き散らしながら逃げ回った。 だけどいくら逃げても、 影を撒くことはできない。 だけど撒けないといっても、 怖いものは怖い。 おまけに医者にかかっても、 「分からない」の一点張り。 こうして女の子は、 四六時中走り回るようになった。 影がいなくなる夜を除いて、 飯を食うのも、 服を着替えるのも、 全部走りながら済ませた。 だけどある日、 余りにも怖かったんだろうね。 家から飛び出して、 背後に気を取られていたものだから、 トラックに跳ねられて死んじゃったよ。 葬式では、皆口々に、 「可哀想だけど、 これで楽になれるね。」 って言っていた。 だけど妙なことが起きた。 女の子を火葬して、 遺骨を箸で拾っている時、 両親が気付いたんだ。 女の子の影が、 女の子が生きていた時の形のまま、 そこに残っていることに。 そして両親は思ったんだと。 「遂に追いつかれちゃったんだ。」って。 「長い間違え」めんつゆかと思って、 麦茶を飲んでしまった。 ……意外と飲める! というより、めんつゆより飲みやすい! 今度からこっちにしよう。 麦茶って、 飲む分には丁度良い濃さだな。 麺類のつゆにしたときは物足りないけど。 「少年」「あの2人なんだろ?お前の両親。」 クラスメイトたちの言葉に、 少年は静かに俯く。 するとクラスメイトたちは、 教室の端に視線を向けなが
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小説執筆#1『キャットとオウルの冒険』

 アルカナ魔法学校、その壮大な図書館には幾千もの魔法書が並んでいた。その片隅には、元気いっぱいの黒猫のミトンと、知識豊富なフクロウのフクリーがいつも一緒だった。どんな時も一緒にいる二人は、学校中でも有名な親友だった。「フクリー、図書館の最深部にあると噂の宝探しの魔法の書を探しに行こうよー!」とミトンが目を輝かせながら提案した。フクリーは眼鏡を直し、「そんなもの、本当に存在すると思うのか、ミトン?」と疑い深く問いかけた。 ミトンはにっこりと笑って、「あると信じれば、きっと見つかるよ。信じて探すんだよ!」と意気揚々と返した。そして二人は図書館の奥深く、薄暗い書棚を探し始めた。  長い時間が経った後、「これだよ、フクリー!見つけたよ。」ミトンが埃にまみれた古い魔法書を引きずり出した。その瞬間、本を開くと突如大きな嵐が発生し、二人は見知らぬ森に飛ばされてしまった。 フクリーは森を見回し、「どうしたのこれ!ミトン、お前のやることはいつも大変だな…。でも、ここはどこだろう?とにかく、一緒に帰る方法を見つけよう!」と提案した。  彼らは森を探索し、夜になれば星を観測し、日が昇れば植物を調べた。森の中には謎が満ちていて、それぞれが自分の得意分野を活かしながら解き明かしていった。  やがて、森の試練を乗り越え、知恵と勇気を使って学校に戻ることができた。その冒険を通じて、彼らの友情はさらに深まり、それぞれが自分たちの強みをより一層発見できた。 「フクリー、次は何を探しに行こうかな?」と興奮冷めやらぬミトンが質問すると、フクリーは苦笑いして、「もう少し図書館で静かに勉強しようよ、ミトン。だけど、また
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ほっとひといき300字SS:16

300字SSを出品しているのですが、どのような300字SSを書く人かわからないと頼みづらいと思ったので、たまに自発的に書いた300字SSをブログに載せていこうと思います。テキストだけでざっくり行きますね。-雨の日の虚ろ- 雨が降る夜、彼は修道院に有る部屋の窓からぼんやりと外を眺めている。雲が空を覆い隠している日は、彼の仕事である天体の観察が出来ないのだ。 けれども、虚ろな表情をしている理由はそれだけではないのだろう。 きっと起きているだろうと思って部屋を訪れていた私が、彼にもう寝なくて良いのかと訊ねると、眠くないと返ってきた。それから、少しだけ明るい声で彼はこう言った。「葡萄が熟したら、また一緒に食べようね」 私はにこりと笑って、そうですね。と返す。 視線を窓に移し、ぼやけてよく見えない外を見る。 窓を叩く大粒の雨が、このまま地上の全てを流してしまえば良いのに。そうしたら、きっと私たちは、またみんなで笑い合えるのだろう。こんな感じの300字SSを書いております。もし興味を持って下さった方は、商品ページをご覧下さい。個人利用限定の低価格プランもあります。
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ほっとひといき300字SS:15

300字SSを出品しているのですが、どのような300字SSを書く人かわからないと頼みづらいと思ったので、たまに自発的に書いた300字SSをブログに載せていこうと思います。テキストだけでざっくり行きますね。-失恋の証明- 先輩にふられた。 先輩は今年の三月で、つまりはもうすぐ卒業で、今告白しなければ何年先も気持ちを伝えられないと思った。だから告白したのだけれど、先輩にはふられるだろうという確信があった。 そのせいだろうか、思ったほどつらくないし、逆に納得することが出来た。 納得できたし、清々しかった。重苦しい未練から解放されたように感じられたのだ。 四月になったら先輩はもう居ないし、私も受験生になる。そうであるから、先輩への恋心を断ち切れたのはきっと良いことだろう。 気が弱いけれども、優しい先輩。沢山の人に愛されている先輩。その先輩から貰った「好きになってくれてありがとう」と言う言葉は、ずっとこの先も胸にしまっておこう。こんな感じの300字SSを書いております。もし興味を持って下さった方は、商品ページをご覧下さい。個人利用限定の低価格プランもあります。
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【朝金昼銀】練習時間集計5年23週目(10月25日~31日まで)【夜水銀】

おはようございます、色々あって人生初の小説をしたためたワタシです。 続きはブログの最後に載せてありますので、よろしければご覧になってやってくださいませ。 邪公乱たんのストーリーに少しだけ触れております_(・ω・_)⌒)_ 例のイラストが完成しました!いぃぃぃぃやっぷぅぅぅぅぅ‼**(ू•ω•ू❁)** ブログの更新は日付またいだけど、日中にツイッターで先にイラストだけ公開しております。 ゆえにセーフなのです( ‘ω`) ちなみに2つを繋げるとこんな感じ↓ 結構可愛く描けたとおもっております。いかがでしょうか(❁‘ω`❁) 次回からはまたリクエストDの制作に戻り、前頁通しての見直し含め11月中に完成させます。 その後はまた控えている諸々を作成する予定ですが、ブログで公開しないように言われているものもあるのでその辺はまた考えておきます。 次回更新は水曜日。 リクエストDの表紙と、やりかけていたいくつかのものも進めてまいります。 来週もよろしくお願いいたします。 お疲れさまでした_(・ω・_)⌒)_ 【オマケ】① 今週の朝一ドローイング。 【オマケ】② 邪公乱たんヒストリーのコーナー【後編】٩(ˊωˋ)و 【オマケ】③ 小説家の方と交流した過程で作ることになった短編小説です。 初めてのことなので色々と許してください( ‘ω`) 苦情がなければまた作ります٩(ˊωˋ)و
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作品サンプル

出品サービスのサンプル用に書いた1800文字程度の短編です。あたしの居ない世界今日は8月16日の金曜日。 昨日は夏らしく台風がやってきた。しかも数年に一度の大型の台風だったようで、まさに嵐がやってきたのだ。 ―――もともとここら辺りは川も近い。少し雨が降れば川は簡単に増水する。古い家の中は雨で水浸し。柱は水を吸って乾いたぞうきんのような悪臭を放つときた。代々家の者が受け継ぎ、両親と共に過ごした家であるとは言え、こんな家では虫も簡単に出てくる。苦労だったなあ? 曲げるたびミシミシと鳴く腰に苛立ちを覚えつつも、玄関と勝手口の土嚢を除け、外に水が流れていく道を作る。流れていく水は幾度となく水溜まりを作り、夏の匂いを嗅ぐわせていた。チリンチリンと、夏の鈴を鳴らす風は生暖かく、とてもではないが...とてもではないのだが、額の汗を乾かすのに不十分だ。止んだ雨が今もなお空気を飽和させているのだ。 ―――こんなに雨が降ってはしばらく乾かないな。どうしたものやら... ぞうきんの家に一日中、こんな年寄りが留まっていては腐ってしまう。外で聞こえる、近所のばあさんの声がした。それに誘われるように、あのじじいも行くのだ。 家の敷地外に出ると、ややでこぼこなアスファルトが熱を持っている。老いた目を凝らさなくてもわかる、黄色と黒の大きい甲虫。顎を弱弱しくカチ、カチ、と開閉していることから、死にはしていない。時間の問題なので、せめて一人で安らかに逝かせてやろうとこの場を立ち去った。この爺もあと何度の夏で、後を追えるのだろうか。 「お、修造さん。どうしたんだい?外に出るなんて珍しい。」 「ああ。
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