私のルーツ旅・第5話|戸籍にいない“もう一人のご先祖”──住職のひと言が、旅の地図を塗り替えた
もしかしたら、
何も手がかりを得られないかもしれない。
それでも、行ってみよう。
——そんな気持ちでした。
手紙を出してから1週間ほど経過したある日、
私は思い切って菩提寺に電話を入れました。
受話器の向こうで、
やさしく、あたたかい声が応えてくれます。
ご住職でした。事情をお伝えすると、「それはぜひお話ししましょう」と、
驚くほど快く受け入れてくださいました。
受話器を置いた私は、胸の高鳴りが収まらないのを感じていました。
この電話が、思いもよらぬ方向へ
私を導くことになるとは——。
これが、私の先祖調査の
大きな転機になったのです。
「過去帳は見せられませんが…」その先に
先祖調査の中でも、
菩提寺の調査というのは、
実はとても重要なパートです。
とはいえ、現代は個人情報保護の観点から、
過去帳の自由な閲覧は原則としてできません。
あくまで「お願いベース」で
情報を聞き出していく必要があります。
最初に抱いていたのは、こんな疑問でした。
「寺に先祖につながる過去帳が残っているのか?」「本家のことまで知ることができるのだろうか?」
境内にある応接に通され、期待と不安が入り混じった
“ざわざわ”を感じながら
ご住職を待ちます。
しばらくすると、ご住職が現れました。
住)お父さんとお母さんは元気にされていますか?私)はい、父も母もおかげさまで元気にしております。住)ご先祖の事を調べていらっしゃるんですね。私)はい、今まで家や先祖の事をあまり知ろうとしてきませんでした。自分がこうしていられるのもご先祖がつないできてくれたからに他ならないと気づき、個人的な興味からちょっと知りたくなり
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