【第十九話】墓石に浮かび上がった家紋
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コラム
長男家を訪ねたとき、
もう一つ気になる話がありました。
家紋です。
菩提寺のご住職からは、
この家の家紋は
「立ち沢潟」
だと聞いていました。
ところが、
長男家のご主人はこう言いました。
「うちは、下り藤だったと思いますよ」
あれ?
話が違います。
どちらが正しいのだろう。
気になった私は、
もう一度お寺へ行くことにしました。
確かめる方法は一つです。
墓石に刻まれている
家紋を見ることでした。
ただ、
墓石はかなり古いものです。
苔がびっしり生えていて、
家紋ははっきりとは見えません。
なんとなく形は分かる。
けれど、
はっきり断言できるほどではありません。
そこで、
拓本をとることにしました。
墓石に紙を当て、
たんぽで墨を軽く叩いていきます。
すると、
石に刻まれた模様が
少しずつ紙の上に浮かび上がってきました。
そして、
紙の上に現れたのは、
立ち沢潟でした。
苔の奥に隠れていた家紋が、
拓本によってはっきりと浮かび上がりました。
ご住職の話の通りでした。
さらに、
ご住職はこうも教えてくださいました。
位牌にも、
同じ家紋が入っているとのことでした。
どうやら、
長男家のご主人の記憶違いだったようです。
あなたは、
自分の家の家紋を知っていますか。
そして、
その家紋が
どこに残っているかを
知っているでしょうか。
墓石や位牌には、
戸籍には書かれていない
家の手がかりが残っていることがあります。
ただ、
話はここで終わりません。
実は、
祖母の養親の家の家紋は
下り藤でした。
長男家のご主人が言った家紋。
それは、
まったく関係のない話なのか。
それとも、
どこかでつながるものなのか。
まだ分かりません。
調査は、
養親の先祖調査にも
広がっていきます。
そして、このあと、
別の資料の中で
大きな手がかりを見つけることになります。