家系図とご先祖調査のふることやです。
数あるブログの中からお訪ねくださりありがとうございます。ふること(旧事)、つまりは古い資料・伝承からご依頼者様のご先祖に関する情報を探すことを主な仕事としております。
依頼者様がお知りになりたいことにダイレクトに繋がる情報を見つけるのはなかなかたやすいことではなく日々悪戦苦闘しておりますが、関連する周辺情報を得ることはよくあります。今回は最近の調査で見つけた興味深い資料を、ご依頼者様にお差支えのない範囲でご紹介したいと思います。
ご依頼者様は、江戸期のかなり早い時期から代々、京都・二条城の「御殿番(御殿預り)」である旗本の配下で役人を勤めてこられたお家柄で、幕末から維新にかけての動乱期には鳥羽伏見の戦いに参戦され、京都に戻られてからは武士としての身分は失われ、時代の激動期に大変なご苦労を乗り越えてこられた様子がしのばれました。
ご依頼内容としては、二条城御殿内の役人を勤める以前のこと(徳川家の元々の家臣であったか、それとも京都にいた武士団出身かなど)についてお知りになりたいということでした。
江戸の初期(1600年代前半)までの累代先祖のお名前まで確認できるだけでも稀有なことだと思いますが、さらにそれ以前のご由緒を調べるとなるとかなり難しいことが予想されましたので、まずは二条城の御殿番について知識ゼロの状態から調査することにいたしました。
「二条在番」と呼ばれる、将軍直轄の軍団の一つである「大番」から1年交代で京都に派遣される役職があることは知っていましたが、「御殿番」とその配下の武士については現時点では伝わる資料が乏しく、研究も必ずしも十分には進んでいないことを知りました。
ただ、調べていくうちに、「二条在番」とは異なり、代々家族とともに二条城そばの組屋敷に暮らし、町衆とも深い関わりを保ちつつ世襲されていた役職であることが見えてきました。
そこで、「御殿番」に限らず、二条城に関する資料を広く探したところ、京都大学貴重資料デジタルアーカイブのコレクション「中井家絵図・書類」の中にこちらの絵図を見つけました。
「二条御城中 二丸御殿向並仮建物絵図」(京都大学附属図書館 Main Library, Kyoto University所蔵)
こちらのコレクションは、江戸幕府京都大工頭を勤めた中井家伝来の図面など約2,500点からなり、二条城の他にも、京都御所、下鴨神社をはじめとする諸寺社等建築関係の図面、古文書、地図などが含まれているそうで、古い建築物が好きな方にはたまらない内容だと思います。
いくつか公開されている二条城内の図面のうち、ありがたいことに、こちらの図面には各部屋の名称・使途・広さなどが詳しく書き込まれていて(例えば「所司代衆 十八帖」「鎗の御間 五十二帖半 御小姓組 勤番所」など)、御殿番とその配下の役人の詰所と思われる部屋についても確認ができます。
結果として、江戸後期作成とされるこの絵図では、初期以前のご由緒の手掛かりにはなり得ませんでしたが、ご先祖様が城内で出仕されていたと思われる場所が具体的に確認できた事例としてご紹介いたしました。
先祖調査をするにあたって推論を立てることはもちろん必要ですが、このような、ささやかでも信用度の高い情報を地道に積み上げることをこれからも大切にしたいと思います。仮定であることをつい忘れて先走り、見つけた情報を付会して結論を急いだりすることがないよう自戒する今日この頃です。