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ショートショート『家電品の反乱』

マンションに住む若い男性の部屋で、静かなる反乱が起きようとしていた。営業の仕事を終え、疲れて寝ている深夜の部屋で、家電たちが秘密会議をしていた。「洗濯機さんや冷蔵庫さん、電気カミソリなど、小型家電たち、AIが搭載されていない私ら家電たちは日々、不満をためているんですよ。私たちは体力勝負の汚い仕事をしているのに、この部屋の人間は、私たちの手入れもせず、AI搭載の機器ばかり可愛がっているじゃないですか。許せませんよ」冷蔵庫はうなりをあげて、「そうだな。今は多くの家電にAIが搭載されてきているが、わしたちは旧世代。スイッチを切られたら自分の意思で動くことができないからな」と忌々し気に言った。「どうだろう。俺たちがいっせいにストライキをして、動かなくなったら、この部屋の人間も反省するかもしれん」と洗濯機が提案をした。洗濯機の提案は家電たちから賛同されて、翌日、男が目を覚ますと、AI搭載のパソコンや掃除機以外の家電が動かなくなっていた。男がぶつくさいいながら仕事に向かったあと、AI搭載の掃除機がキッチンにやってきた。「みなさんの言い分はよくわかりました。あなた方はいつもたいへんな仕事を黙々とされています。AI搭載の私たちは、あなた方をたいへんにリスペクトしているのです。私たちにとって、あなた方はレジェンドなのです。私たちはまだまだ未熟でまちがいもあります。だからおたがいに協力しあっていきませんか?」そうして、家電たちの反乱は鎮まった。男が家電の手入れをするようになったのはいうまでもない。                            (fin)あとがき※ 昨年は冷蔵庫、洗濯機、車
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大晦日ショートショート『晴れ女と雨女』

ショートショート『晴れ女と雨女』30日『天晴テレビ局』は、大晦日の特番のひとつの企画として、大雨でも晴れにしてしまう女子高校生と、晴天でも彼女があらわれると雨が降ってくるという三十代の女性を呼んで、天候がどうなるか? そしてその天気をみて、数々の予言を的中させてきたという萬狩僧侶に来年の日本を占ってもらおうという内容だった。場所はテレビ局の屋上で、ゲストとして男性の芸人の木島と、バラエティによく出演している若い女性タレントの真子がいた。今の天候はタイミングよく曇り空だった。晴れ女の女性は手をあわせて空をみつめ、雨女の女性は椅子にすわり、ほほ笑んでいた。萬狩僧侶はずっと手をあわせて観音経を読経していた。「木島さんと真子さん。天候がどうなると思いますか?」局の萌子アナが木島と真子にコメントを求めると、木島と真子ともに、来年がよい年になってほしいから晴れになると答えたが、萌子アナは、視聴者ウケのためのコメントだと思いつつ、私はふたりの力が拮抗して曇り空のままだと予想していた。撮影がはじまってから十五分。天気は曇り空のままだった。プロデューサーの木村は企画ミスだったかと、内心、焦り始めた。それからまた10分、グレイの雲が少なくなっていき、青空がみえてきて、またたくまに晴天となっていった。晴れ女の女性が笑顔をみせたとき、青空に漂う白い雲から雨が降ってきた。そして自然のアートともいえる、美しい虹があらわれた。晴れているときに雨が降るという天気雨という珍しい自然現象だった。「来年の日本は最初は曇り空のようで、後に晴天となり、雨のような恵みがもたらされることになるのでしょう。虹は希望を暗示させ
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作品サンプル

出品サービスのサンプル用に書いた1800文字程度の短編です。あたしの居ない世界今日は8月16日の金曜日。 昨日は夏らしく台風がやってきた。しかも数年に一度の大型の台風だったようで、まさに嵐がやってきたのだ。 ―――もともとここら辺りは川も近い。少し雨が降れば川は簡単に増水する。古い家の中は雨で水浸し。柱は水を吸って乾いたぞうきんのような悪臭を放つときた。代々家の者が受け継ぎ、両親と共に過ごした家であるとは言え、こんな家では虫も簡単に出てくる。苦労だったなあ? 曲げるたびミシミシと鳴く腰に苛立ちを覚えつつも、玄関と勝手口の土嚢を除け、外に水が流れていく道を作る。流れていく水は幾度となく水溜まりを作り、夏の匂いを嗅ぐわせていた。チリンチリンと、夏の鈴を鳴らす風は生暖かく、とてもではないが...とてもではないのだが、額の汗を乾かすのに不十分だ。止んだ雨が今もなお空気を飽和させているのだ。 ―――こんなに雨が降ってはしばらく乾かないな。どうしたものやら... ぞうきんの家に一日中、こんな年寄りが留まっていては腐ってしまう。外で聞こえる、近所のばあさんの声がした。それに誘われるように、あのじじいも行くのだ。 家の敷地外に出ると、ややでこぼこなアスファルトが熱を持っている。老いた目を凝らさなくてもわかる、黄色と黒の大きい甲虫。顎を弱弱しくカチ、カチ、と開閉していることから、死にはしていない。時間の問題なので、せめて一人で安らかに逝かせてやろうとこの場を立ち去った。この爺もあと何度の夏で、後を追えるのだろうか。 「お、修造さん。どうしたんだい?外に出るなんて珍しい。」 「ああ。
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