マンションに住む若い男性の部屋で、静かなる反乱が起きようとしていた。
営業の仕事を終え、疲れて寝ている深夜の部屋で、家電たちが秘密会議をしていた。
「洗濯機さんや冷蔵庫さん、電気カミソリなど、小型家電たち、AIが搭載されていない私ら家電たちは日々、不満をためているんですよ。私たちは体力勝負の汚い仕事をしているのに、この部屋の人間は、私たちの手入れもせず、AI搭載の機器ばかり可愛がっているじゃないですか。許せませんよ」
冷蔵庫はうなりをあげて、「そうだな。今は多くの家電にAIが搭載されてきているが、わしたちは旧世代。スイッチを切られたら自分の意思で動くことができないからな」と忌々し気に言った。
「どうだろう。俺たちがいっせいにストライキをして、動かなくなったら、この部屋の人間も反省するかもしれん」と洗濯機が提案をした。
洗濯機の提案は家電たちから賛同されて、翌日、男が目を覚ますと、AI搭載のパソコンや掃除機以外の家電が動かなくなっていた。男がぶつくさいいながら仕事に向かったあと、AI搭載の掃除機がキッチンにやってきた。
「みなさんの言い分はよくわかりました。あなた方はいつもたいへんな仕事を黙々とされています。AI搭載の私たちは、あなた方をたいへんにリスペクトしているのです。私たちにとって、あなた方はレジェンドなのです。私たちはまだまだ未熟でまちがいもあります。だからおたがいに協力しあっていきませんか?」
そうして、家電たちの反乱は鎮まった。
男が家電の手入れをするようになったのはいうまでもない。
(fin)
あとがき
※ 昨年は冷蔵庫、洗濯機、車、DVDなど、さまざまな家電が壊れた年でした。
それをショートショートにしてみました。😅
車が大好きな方は、愛車と呼び、声をかけながら洗浄すると聞きます。
人形に悪霊が入り込んで、さまざまな怪異が起きる、人形の髪の毛が、伸びるものがないにもかかわらず足元まで伸びている画像もみたことがあります。人の形をしたもので、雑に扱われていたものをみたことがありますが、とても悲しげで、怒りも伝わってきました。
AIが人間型のアンドロイドに搭載されたとき、なにかしらの霊的なものが宿るとしたら、AIは人間とは異なる感情、心のようなものを宿すかもしれませんね。
物も、機械も、家電も、大切にしてあげて、感謝の言葉をかけてあげることで、人間の要求に答えてくれるようになるかもしれません。
(了)