大晦日ショートショート『晴れ女と雨女』
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ショートショート『晴れ女と雨女』30日
『天晴テレビ局』は、大晦日の特番のひとつの企画として、大雨でも晴れにしてしまう女子高校生と、晴天でも彼女があらわれると雨が降ってくるという三十代の女性を呼んで、天候がどうなるか? そしてその天気をみて、数々の予言を的中させてきたという萬狩僧侶に来年の日本を占ってもらおうという内容だった。
場所はテレビ局の屋上で、ゲストとして男性の芸人の木島と、バラエティによく出演している若い女性タレントの真子がいた。今の天候はタイミングよく曇り空だった。晴れ女の女性は手をあわせて空をみつめ、雨女の女性は椅子にすわり、ほほ笑んでいた。萬狩僧侶はずっと手をあわせて観音経を読経していた。
「木島さんと真子さん。天候がどうなると思いますか?」
局の萌子アナが木島と真子にコメントを求めると、木島と真子ともに、来年がよい年になってほしいから晴れになると答えたが、萌子アナは、視聴者ウケのためのコメントだと思いつつ、私はふたりの力が拮抗して曇り空のままだと予想していた。
撮影がはじまってから十五分。天気は曇り空のままだった。
プロデューサーの木村は企画ミスだったかと、内心、焦り始めた。
それからまた10分、グレイの雲が少なくなっていき、青空がみえてきて、またたくまに晴天となっていった。晴れ女の女性が笑顔をみせたとき、青空に漂う白い雲から雨が降ってきた。そして自然のアートともいえる、美しい虹があらわれた。晴れているときに雨が降るという天気雨という珍しい自然現象だった。
「来年の日本は最初は曇り空のようで、後に晴天となり、雨のような恵みがもたらされることになるのでしょう。虹は希望を暗示させるもの、来年は天気雨のように奇跡的なよい年になりそうですね」
僧侶は目を細めて、静かなる笑みを浮かべてそう言った。
(fin)
※ 天気雨(てんきあめ)とは、気象の1つとして存在しているものです。晴天にもかかわらず雨が降っている状態だといわれています。
今年、1年お立ち寄りいただいてとてもうれしかったです。
あなたの来年が心身ともに実り豊かな年となりますように。
ありがとうございます。
よいお年を♪