【第2回】司法試験の『合格ライン』を勘違いしていませんか?(一応の水準と不良の水準の境目を知る)

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法律・税務・士業全般
前回は、「問いに答えていない」という盲点についてお話ししました。
今回はその続きです。


「問いに答える」ことが司法試験合格の必要条件であるとして、では「問いに答えた」答案とはどういうものをいうでしょうか。答案を作成するうえで、何を優先する必要があるのでしょうか。

1:合格答案のイメージを明確にすることが出来ていますか

受験生にこの質問をすると、多くの場合、こういう答えが返ってきます。

・「論点を落とさず、規範を正確に書いた答案」
・「事実をしっかり拾って、あてはめが充実した答案」
・「採点実感で『優秀な答案』と書かれているレベルの答案」

上記の答案も合格答案に含まれるかもしれませんが、ではその答案を具体的にイメージ出来るでしょうか。
合格答案とはどういうものか、明確にイメージすることが出来ないのであれば合格を目指すことは出来ません。

2:合格答案とは「不良の水準」でない答案である。

ご存じの通り、採点実感は重要です。読んでいる人も多いと思いますが、採点実感で一番見るべきポイントは、「一応の水準」と「不良の水準」のコメント部分です。ここに合否の境界線があります。

司法試験は、合格ラインを1点でも下回ると、残念ながら全く評価されません。1位差で不合格となってしまった人も、順位が最下位であった人も同じ評価です。そうすると、何が何でも死守しなければならないポイントは、合格ラインを1点上回ることとなります。そのためには、合否の境界線を明確に見抜く必要があります。合格ラインが明確になれば、自ずと合格答案のイメージも明確になります。

もっとも、「下位合格で滑り込みを狙え!」と言っているわけではありません。トップ合格を狙う人であっても戦略は同じです。目的を明確化しないことには努力のしようがありません。ただ漠然と合格答案を眺めていても、参考にすることは出来ないからです。

そして、意外と知られていないことですが、採点実感には「優秀な答案」や「良好な答案」のコメントもありますが、実際のところ、これらに該当する答案は非常に少ないという実態があります。すなわち、トップレベルの順位の答案であっても、評価としては「一応の水準」レベルであることが大半ということです。
したがって、「一応の水準」のレベルを具体的に把握することは、不合格を回避できるだけでなく、トップレベル合格にも繋がるということです。

📌 実際、公法系1位の合格答案について、司法試験に精通した専門家が採点実感に従って分析したところ、「一応の水準以上」と評価した設問もありましたが、大半の設問は「一応の水準」と評価しました。
つまり、1位の答案であっても「一応の水準」レベルの場合があるということです。

※ 採点実感の具体的な読み方については、別の回で取り扱います。

加えて、毎年の採点実感や合格答案を分析していると、「一応の水準」のレベルとは、「形式的に問いに答えられている」レベルにとどまることが非常に多いという実態があります。

つまり、受験生が想像しているよりも、実は合格ラインは非常に低いのです。一方で、逆に言えば「出来た」、「部分点はあるだろう」等と受験生が感じていたとしても、実際には「形式的にすら問いに答えられていない」場合も非常に多いといえます。

📌 「形式的に問いに答えられた」か否かで合否が決まる問題とは、「一応の水準」のコメントについて、例えば、次のような記述が見られる場合です。
あてはめの内容に関してはほとんど言及されず、枠組み(規範)を設定して枠組み(規範)に沿って一応の結論を導いていることにしか言及されていないような場合は、「形式的に問いに答えられた」か否かで合否が分かれている場合が大半です。すなわち、受験生は「規範」を非常に大切にしますが、実際には、「規範すら立てられていない」ということです。そして、このレベルで合否が決まっている場合も非常に多いということです。
例えば、令和5年度行政法「設問1⑵」、令和6年度行政法「設問2」などは典型的です。

※ この点に関しては、別の回で具体的に取り上げます。

2時間・3,000字の制約と答案の優先順位

では、「問いに答える」ことが重要で、合格のレベル(一応の水準のレベル)は思っているよりも低いとして、具体的にどう答案を書けば良いのでしょうか。
これを理解するためには、司法試験のルールを把握することから始める必要があります。

受験生が2時間で書ける平均的な字数は、およそ3,000字(CBT方式で5枚前後)です。このルールは「自分はもっと書ける」人であっても、同様に考える必要があります。
📌 実際、ある予備校の分析でも、受験生が2時間で書ける平均的な字数はおよそ3,000字程度とされており、8枚以上書ける受験生は全体の1%にも満たないとされています(もっとも、枚数が多ければ良いわけではありません)。

📌 今年度から手書きからCBT(PC入力)に変わりました。入力速度によっては字数が増える可能性もありますが、基本的な枠組みは同じと考えて差し支えありません。

なぜ全ての受験生が2時間・3,000字で考える必要があるのかというと、試験場では何が起きるかわからないため、最悪の状況に陥った場合であっても合格出来る戦略を用意しておく必要があるからです。

上述の通り、司法試験は絶対に落ちてはならない試験である以上、「想定外」は一切許されません。したがって、最初から「全て想定内としておく」必要があり、答案作成においても、最初から「最悪の状況を想定した戦略」を立てておくことが、最も合理的かつ確実な戦略といえます。

📌  ちなみに、上記の通り最悪の状況に陥る可能性を想定し、体調等も含めて万全の準備をしていた私でしたが、実は3回目の受験の試験最終日に熱を出してしまいました。しかも当時はコロナ禍であり、体温次第では試験場に入室すら出来なくなる可能性もあったため、当時は相当動揺しており、体調も時間と共に悪化していきました。

しかし、動揺はしていたものの、ハプニングも想定した戦略を立てていたことが功を奏し、結果的には、想定の範囲内の点数を取ることができ、合格することが出来ました(なお、コロナに感染はしていませんでした)。

※「最悪の状況を想定した戦略の立て方」については、別の回で取り上げます。

さて、2時間・3,000字で答案を書くことを受験生共通のルールとした場合、3,000字以内で合格レベルの答案を完成させなければならず、必然的に、書くべき優先順位をつけなければならなくなります。そうすると、下記のような優先順位をつけなければならないはずです。

①:問いに「形式的に」答えること
②:問いに「正しい方向を向いて」答えること
③:三段論法を最低限守ること
④:三段論法を維持するために「最低限度の規範」の論証がいること
⑤:具体的な検討のため、 問題文の事情を「最低限」踏まえて検討すること

①~⑤まで全て記載しなければ答案として完成しないため、これらを省くことは基本的に出来ません。そうすると、①~⑤を全て記載したうえで3,000字以内で答案を書くことがいかに難しいかという現実に直面することになります。

📌 この点は、自分で実際に体験してみるのが一番です。時間無制限で構わないので、3,000字以内で答案を作成してみてください。いかに字数が足りないかを実感できると思います。
一方で、逆に言えば、どんな状況に陥ったとしても、3,000字程度は書く必要があるということです。
そして、①~⑤全て満たすことができて初めて、
⑥: あてはめを充実させること
に目を向けることが出来ます。
しかし、①~⑤を記載した時点で、既にもう字数的に余裕はないはずです。つまり、あてはめを充実させることは、合格のための必要条件ではないことに気が付くはずです。

🌸 今回のポイント

①:合格答案とは「不良の水準」ではない答案である
②:採点実感で一番見るべきポイントは、「一応の水準」と「不良の水準」のコメント部分
③:合格答案のレベルは決して高くない、一方で、「形式的にすら問いに答えられていない」答案も非常に多い
④:2時間・3,000字は受験生共通のルールである
⑤:あてはめの充実は、合格のための必要条件ではない

今回は以上です。次回は、上記の①~⑤の優先順位に関して、更に掘り下げた話をします。

以上の話を踏まえて、
例えば、合格レベルを具体的にどう把握すれば良いかしっくりこない人、そもそも「形式的に問いに答えらえていない」状況に自分があるのかがわからない、という方には、個別相談を検討していただければと思います。

上記の内容に限りませんが、現在の学習状況や悩みをお聞きして、何を優先すべきかを一緒に整理します。司法試験まで残り60日を切りましたが、方法論や考え方を変えれば、ここからでも合格ラインは超えられます。


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