定期健康診断について、「受けるかどうかは本人次第」「案内は出しているから問題ない」と考えていませんか。実は、定期健康診断は単に機会を提供すれば足りるものではなく、受診させる義務を会社は負っています。未受診者を放置した場合、行政指導がされる場合もあります。本記事では、定期健康診断の法律上の位置づけと、企業が誤解しやすいポイントを中心に、実務上の注意点を解説します。
1 定期健康診断とは
常時使用する従業員に対し、1年以内ごとに1回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければなりません。「常時使用する」とは、正社員のみならず、一部のパート社員も含まれます。
従業員数が多い会社の場合は、会社に健康診断のトラックが来たり、そうでない場合は、従業員が医療機関に受診に行ったりします。
また、定期健康診断は、必ずしも労働時間として取り扱う必要はありませんが、労働時間として取り扱うことが望ましいとされています。
2 定期健康診断の対象者
正社員のみならず、パートの方も対象となる場合があります。具体的には、下記の両方を満たす場合は、健康診断の実施が必要です。
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(1)1年以上の長さで雇用契約をしているか、または、雇用期間を全く定めていないか、
あるいは既に1年以上引き続いて雇用した実績があること。
(2)1週間あたりの労働時間数が通常の労働者の4分の3以上であること。
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(2)について、通常の労働者は、一般的には正社員をいいますので、正社員の1週間あたりの労働時間数が40時間であれば、4分の3である30時間以上の方を指します。
3 定期健康診断の項目
定期健康診断の項目は、下記のとおりです。
労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう(厚生労働省)
もっとも、「定期健康診断をお願いします。」と病院へお伝えすれば、適切な項目の健康診断が案内されますので、そこまで意識することはないかもしれません。
4 健康診断実施後の措置
健康診断は実施して終わりではありません。実施後、健康診断の項目に異常の所見のある従業員について、労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師の意見を聞かなければなりません。また、医師の意見を勘案し必要があると認めるときは、作業の転換、労働時間の短縮等の適切な措置を講じなければなりません。
ほとんどの場合は、「通常勤務可」の意見となりますが、「時間外労働の制限」等の意見となることもあり、その場合、業務量を調整する等の措置を講じる必要があります。
産業医がいる会社の場合は、産業医に意見を求めることが多いですが、産業医がいない会社の場合は、近くにある地域産業保健センターへ連絡すれば、無料で対応してもらえるケースもあります。
5 まとめ
定期健康診断について解説しました。当事務所では、定期健康診断のみならず、労務管理について、ご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。元労基署職員(労働基準監督官)の視点から、適切なご提案をさせていただきます。