1.管理会計とは何か?
管理会計という言葉から、
損益分岐点やCVP分析を思い浮かべる方もいるかもしれません。
しかし実務で管理会計が必要になる瞬間は、もっと具体的です。
「この商品を続けるべきか、やめるべきか。」
「価格を上げるか、据え置くか。」
こうした問いに答えるために、数字をどう使うか。
それこそが、管理会計の本質です。
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2.赤字だから撤退、は本当に正しいか
例えば、ある商品の営業利益がマイナスだとします。
PLだけを見れば「赤字商品」です。
では撤退が正解でしょうか。
ここで重要になるのが、限界利益という視点です。
限界利益 = 売上 − 変動費
変動費とは、売上に応じて増減する費用。
原材料費、外注加工費、販売手数料などです。
一方、固定費は売上に関係なく発生します。
工場の減価償却費、正社員人件費、賃料などです。
仮にその商品が
• 売上 1,000万円
• 変動費 600万円
であれば、限界利益は400万円になります。
営業利益が赤字でも、その商品は固定費の一部を回収している。
撤退すれば、この400万円は消えます。
それでも撤退すべきでしょうか。
ここからが、経営判断です。
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3.実務で考えるとどうなるか
ある企画担当者が、商品の見直しを行う場面を考えてみましょう。
固定客はいるものの、PL上は赤字。
営業部門からは撤退を求める声が上がっています。
しかし限界利益で見ると、その商品は固定費を相当程度吸収していました。
さらに、生産ラインの稼働率を維持する役割も担っていたのです。
単体損益では見えなかった構造が、そこにはありました。
最終的にその担当者は、即時撤退ではなく、
仕様変更と価格改定によって限界利益を改善する道を選びました。
ここで重要なのは、
数字が結論を示したのではないという点です。
問いを立てたことで、数字の意味が変わった。
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4.管理会計は議論の質を変える
「赤字です」という言葉だけでは議論は進みません。
しかし、
• 限界利益はいくらか
• 固定費はどこまで削減可能か
• 稼働率への影響はどうか
と整理すると、議論の軸が定まります。
価格改定の議論でも同じです。
値上げをすれば数量は減るかもしれない。
しかし粗利率は改善する。
そこで問うべきは、
• 値上げ後の限界利益はどう変わるか
• 固定費を吸収できる数量は確保できるか
• キャッシュは持つか
という具体的な視点です。
管理会計は、
感覚論を構造的な対話に変える道具です。
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5.論点と数字
前回の記事で、論点とは
「いま何を決めるのか」という問いだと述べました。
管理会計は、その問いに答えるための言語です。
• 続けるか、やめるか
• 投資するか、抑えるか
• 価格を上げるか、維持するか
これらはすべてトレードオフです。
管理会計は、そのトレードオフを可視化します。
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6.最後に
管理会計は、数字を整然と並べる作業ではありません。
経営判断を支えるために、
数字を共通言語として使うこと。
問いがあり、その問いに答えるための数字がある。
管理会計は「数字の勉強」ではありません。
判断を前に進めるための言語です。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
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