1.会議はしているのに、なぜか決まらない
売上が前年を下回っている。
原価率が上がっている。
在庫が増えている。
資料もあり、分析もしている。
それでも、結論が出ない。
そんな状況は珍しいことではありません。
原因は「問題が難しいから」ではなく、多くの場合、問題・課題・論点が整理されていないからです。
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2.問題・課題・論点は何が違うのか
私は次のように整理しています。
■ 問題
現状とあるべき姿のギャップ(事実)
例:「主力商品の売上が前年比▲15%になっている」
■ 課題
問題を解消するための取り組みテーマ
例:「新規顧客層を開拓する必要がある」
■ 論点
いま、この組織が決めなければ前に進まない問い
例:「値引きで顧客数を取るのか、ブランド投資で単価を上げるのか」
問題は事実、課題は方向性、
そして論点は、意思決定そのものです。
組織が動くのは、論点に結論が出たときだけです。
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3.実務でよくある“止まる会議”
原価が上昇し、利益率が悪化している場面。
営業は「価格転嫁は難しい」と言う。
生産は「これ以上のコスト削減は厳しい」と言う。
議論は続きます。
「市場環境が厳しいですね」
「競合の動きも見ながら判断しましょう」
しかし、それはまだ問題共有の段階です。
本来立てるべき論点は、例えばこうです。
「数量減を受け入れてでも利益率を守るのか、
一時的に利益率を下げてでもシェアを維持するのか」
ここまで言語化できれば、
必要なデータも、議論の方向も、明確になります。
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4.論点に結論を出すということ
論点に答えを出すことは、
必ずトレードオフを引き受けることを意味します。
どちらにも合理性があります。
どちらにもリスクがあります。
両立はできません。
これは日常でも同じです。
お刺身定食を注文したとき。
「ご飯大盛のサービスを受けるか、受けないか。」
大盛にすれば満足感は高まります。
しかし午後の眠気やカロリー過多という代償があります。
普通盛りにすれば体は軽い。
ただし物足りなさが残るかもしれません。
どちらも正解です。
しかし両方は選べません。
程度の違いはあれど、トレードオフという意味では経営も同じです。
• 今期の営業利益を守るか、広告投資を増やして来期の売上を取りに行くか
• 内製化で品質を安定させるか、外注で固定費を抑えるか
• 値引きで今期売上を作るか、価格を維持してブランドを守るか
論点とは、「どのトレードオフを選ぶのか」という問いです。
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5.なぜ論点が曖昧になるのか
トレードオフを明示すると、誰かが負荷を負います。
営業が厳しくなるかもしれない。
現場の負担が増えるかもしれない。
投資回収が遅れるかもしれない。
だから議論は、問題や課題の整理で止まりやすい。
しかし、それでは経営は前に進みません。
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6.思考整理の本質
ロジカルシンキングの本質は、
情報を整然と並べることではありません。
ビジネスで成果につながるロジカルシンキングの出発点は、
「いま何を決めるのか」という問い(論点)を明確にすることです。
論点が定まれば、
議論は深まり、時間は短くなり、
組織は動き出します。
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7.最後に
もし意思決定が進まないと感じたら、
一度立ち止まって問い直してみてください。
• いま話しているのは「問題」でしょうか
• 「課題」を並べているだけではないでしょうか
• それとも、本当に決めるべき「論点」に向き合っているでしょうか
経営を前に進めるのは、分析の量ではありません。
どのトレードオフを引き受けるのかを決めることです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
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