彼のことを考えるたびに、
私の心の中には、ふたりの私がいた。
ひとりは、彼を信じたい私。
「きっと忙しいだけ」
「本当は大切に思ってくれているはず」
「もう少し待てば、前みたいに戻るかもしれない」
そう言って、彼をかばう私。
もうひとりは、もう疲れた私。
「また同じことの繰り返しだよ」
「待つの、もう苦しいよ」
「本当はずっと寂しかったよね」
そう言って、泣きそうになる私。
どちらも本当の私だった。
彼から連絡が来ると、
信じたい私が顔を出す。
「ほら、やっぱり大丈夫だった」
「嫌われたわけじゃなかった」
「私が考えすぎていただけかもしれない」
たった一通のLINEで、
昨日までの不安が少し軽くなる。
でも、返信がまた途切れると、
今度は疲れた私が静かに出てくる。
「また待ってる」
「また彼のペースに振り回されてる」
「また自分の気持ちを後回しにしてる」
安心したり、不安になったり。
期待したり、落ち込んだり。
私は彼の態度に合わせて、
心の場所を何度も移動していた。
友達に相談すると、
「もうやめたほうがいいんじゃない?」
と言われることがあった。
その言葉に、私はうなずけなかった。
彼には優しいところもある。
私だけが知っている顔もある。
楽しかった時間もある。
だから、簡単に終わらせたくなかった。
でも同時に、
心のどこかでは思っていた。
「このまま続けても、私は幸せなのかな」
その問いが出てくるたびに、
私は慌てて打ち消した。
だって、それを考えたら、
本当に何かが変わってしまいそうだったから。
信じたい気持ちは、愛情に見える。
でも時々、
それは「傷つきたくない気持ち」でもあるのかもしれない。
ここまで好きでいた自分を否定したくない。
待ってきた時間を無駄にしたくない。
彼を選んだ自分が間違っていたと思いたくない。
だから私は、
信じる理由を探し続けていた。
彼の優しかった言葉。
会えた日の笑顔。
たまに見せてくれる気遣い。
その一つひとつを集めて、
「まだ大丈夫」と自分に言い聞かせていた。
でも、疲れた私の声も消えなかった。
本当は、もっと安心したかった。
連絡が来るかどうかで、
一日中そわそわしたくなかった。
会えるか分からない予定を、
ずっと待ち続けたくなかった。
「好き」と言われても、
そのあとに寂しさが残る恋を、
ずっと続けたいわけじゃなかった。
信じたい私も、
疲れた私も、
どちらも私を守ろうとしていた。
信じたい私は、恋を守ろうとしていた。
疲れた私は、私自身を守ろうとしていた。
恋愛で苦しい時、
心が揺れるのは当たり前です。
好きだから信じたい。
でも、傷ついたから怖い。
離れたほうがいい気もする。
でも、離れたら後悔しそうで怖い。
もう期待したくない。
でも、彼から連絡が来ると嬉しい。
その矛盾があるから、
自分でも自分の気持ちが分からなくなるのです。
でも、揺れているからといって、
あなたが弱いわけではありません。
真剣だったからこそ、
簡単に割り切れないだけなのです。
私はずっと、
どちらかの気持ちを消そうとしていた。
信じたい私だけでいようとしたり、
もう疲れた私を責めたり。
「こんなことで疲れるなんて」
「もっと信じなきゃ」
「疑う私が悪い」
そうやって、
自分の中の苦しさを押さえ込んできた。
でも本当は、
疲れた私の声も、ちゃんと聞いてよかった。
もう無理。
寂しい。
安心したい。
大切にされたい。
その声は、わがままではなかった。
私の心が、
これ以上ひとりで抱えないでと
教えてくれていたのかもしれない。
答えはすぐに出なくてもいい。
彼を信じたい気持ちがあってもいい。
もう疲れたと思う気持ちがあってもいい。
どちらかだけが正解ではありません。
ただ、ひとつだけ大切なのは、
「私はどうしたいのか」だけでなく、
「私はどう扱われたいのか」を考えてあげること。
不安な時に、ちゃんと向き合ってもらいたい。
寂しい時に、面倒くさがらず聞いてほしい。
待たせるなら、少しでも安心できる言葉がほしい。
好きなら、言葉だけでなく行動でも感じたい。
そう思うことは、重いことではありません。
恋愛の中で、
あなたが大切にされたいと願うのは、
とても自然なことです。
もし今、あなたが
「彼を信じたい気持ちと、もう疲れた気持ちで揺れている」
「離れたいわけじゃないけど、このままも苦しい」
「自分の気持ちが分からなくなっている」
そんな状態なら、
無理に結論を出さなくて大丈夫です。
まずは、心の中にあるふたつの声を、
どちらも否定せずに聞いてあげてください。
心葉(ここは)では、
あなたの気持ちを否定せずにお聞きしています。