今回は残業やそれに伴う割増とは逆の話をしていきたいと思います。
社員に残業をさせると人件費がかさむ!
でも、会社が求めている労働日数や労働時間分を働かなかった場合は、
その分を給与から差引することも可能なんです!
これは正社員にも適用できます!
今回は経営者にとっては嬉しい(?)勤怠控除のお話です!
◆勤怠控除(天引き)の概要
勤怠控除は会社が定めている労働日数や労働時間分を満たさなかった社員に対して課す罰則のようなものです。
実際の労働日数や時間が本来よりも不足していた場合、
相当分の賃金を、給与から差し引く仕組みとなっています。
勤怠控除は主に以下の3つに分けられます。
・遅刻控除
・早退控除
・欠勤控除
月給制は、1か月の給与が定められている給与形態ですが、
月給制には日給月給制や月給日給制などの給与形態があり、
多くの企業で採用されているのは欠勤や遅刻、早退をすると勤怠控除される「日給月給制」や「月給日給制」です。
そのため、1か月に定められた勤務時間を満たせなかった場合は、
月給制であっても「勤怠控除」という形で給与が差し引かれることがあります。
最近ではこの勤怠控除を適用している企業が増えていますね!
就業規則が改訂されて欠勤控除の内容を記載された!
なんてこともあるかと思います。
では、なぜこの勤怠控除という概念が流行っているのか?
紹介していきたいと思います!
◆ノーワークノーペイの原則とは
遅刻や早退、欠勤で労働しなかった時間が発生した場合、
その分の賃金は支払わなくて良いとされています。
これは、「ノーワーク・ノーペイ」の原則に基づくものです。
そもそも賃金とは、労働の対価として支払われるものです。
したがって、労働がなかった時間に対しては賃金を支払う必要がないとするのがこの「ノーワーク・ノーペイ」の考え方になります。
遅刻・早退や欠勤によって労働がなされなかった場合は、その時間分の賃金を支払わない、つまり賃金を控除するのが一般的です。
また、休日についても、「ノーワーク・ノーペイ」の原則が適用されます。
産前産後休暇、育児休業などさまざまなものがありますが、
これらは「休暇を取得することが認められる」制度であって、休暇を取得した日の賃金について支払うかどうかは企業の判断に委ねられています。
(産休・育休についての概要は以下の記事をご参照ください)
ただ、「ノーワーク・ノーペイ」の原則には2つの例外があります。
1つめは年次有給休暇です。
年次有給休暇は、ノーワークであっても法律によりノーペイにはならず、賃金が保障される制度です。
(年次有給休暇についての概要は以下の記事をご参照ください)
2つめは休業手当です。
部品の調達ができず製造ラインの一部が止まったというような、会社側の都合で従業員を休ませた場合には、賃金を保障しなければなりません。
その場合、平均賃金の6割以上の手当を支払わなければならなりません。
◆欠勤控除(天引き)の概要
欠勤控除は、従業員に元々支払う予定の給与から、欠勤で働かなかった日数分の賃金を差し引くことを指します。
欠勤は、従業員が本来働くべき日に、体調不良などの私用で休んだ場合に適用されます。
このとき、突発的な申し出であっても、年次有給休暇や傷病休暇(有給)として扱う場合は欠勤控除の対象外となります。
欠勤は無給であるのが前提であるためです。
ちなみに、傷病休暇を有休としている会社様はかなりホワイトといえるでしょう!
とはいえ、そんな余裕のある企業はほんの一握りだと思います。。。
また、病気やケガのために仕事を4日以上連続して欠勤したときは、加入している健康保険から傷病手当金が支給される可能性があります。
従業員の負荷が軽減されるので積極的に利用しましょう!
◆欠勤控除(天引き)の計算方法
欠勤控除は、月給額を1か月の所定労働日数で割って1日あたりの給与額を算出し、それに欠勤した日数を乗じて求めます。
月の所定労働日数は、「年間の所定労働日数÷12か月」として計算します。
所定労働日数は月によって変わることから(19日の月もあれば22日の月もあります)、
欠勤した月によって欠勤控除額が変わるのを防ぐ目的があります。
計算式は以下の通りです。
1か月の給与額÷月の所定労働日数×欠勤日数=欠勤控除額
1か月の給与額が20万円
月の所定労働日数が20.6日
欠勤日数が3日だと以下の計算となります。
200,000円÷20.6日×3日=29,126円
この29,126円を差し引くこととなります。
◆遅刻早退控除(天引き)の概要
遅刻早退控除は、従業員が遅刻や早退をした場合に、働かなかった分を給与から差し引くことを指します。
本来であれば働いているはずの時間に就労していないことを指して「不就労控除」と呼ばれることもあります。
「遅刻」からの「残業」でどちらも同じ時間であった場合、
残業時間と相殺できないかと考えることもあるかもしれませんが、基本的にはNGです!
例えば、1時間遅刻をした場合、その日のうちに1時間の残業をすれば、法定労働時間である「1日8時間労働」になります。
しかし、勤怠管理や給与計算のうえでは、1時間の遅刻分を控除するとともに、1時間の法定内残業分の賃金を支払う処理をしなければなりません。
「遅刻したのに控除されていない」、「残業したのに残業代が出ていない」など、従業員から質問される場合もありますし、
管理する側としても、後々給与明細を見たときに、「残業しているのに残業代が支給されていない? もしかしてやらかした?」となり、確認作業にも時間を要してしまいます。
◆遅刻早退控除(天引き)の計算方法
遅刻早退した場合の控除額計算方法は以下の通りです。
1か月の給与額÷月平均所定労働時間×遅刻や早退の時間=遅刻早退控除額
月平均所定労働時間は「年間所定労働時間÷12か月」で算出します。
注意点としては1分単位で計算しなければならないことです。
たまに、15分単位などの謎ルールを適用している会社もありますが、完全NGです!
1か月の給与額が20万円
月平均所定労働時間が155時間
遅刻または早退時間が36分の場合だと以下の計算となります。
200,000円÷155時間×0.6時間(36分)=774円
この774円を差し引くこととなります。
◆勤怠控除の注意点!
◇端数処理
勤怠控除の際、端数が出る場合は多々あります。
特に、遅刻早退控除は「分単位」を「時間単位」に換算させるため、
端数が出るケースの方が多いですね。
計算結果に端数が出たとき、
必ず切り捨ててください。
ノーワーク・ノーペイの原則に基づいて控除できるのは「労働できなかった分」とされています。
そのため、端数を切り上げてしまうと「必要以上に控除する」扱いとなってしまいます。
◇遅刻早退控除の定義を就業規則もしくは労働契約書に明記する。
勤怠控除を行う場合には、就業規則や労働契約書でルールを従業員に伝える必要があります。
実は、遅刻・早退について「労働基準法」には明確な定義付けがされていないんです!
そのため、欠勤控除が発生する条件や計算方法などを明確にしなければなりません。
◆もし誤った方法で欠勤控除計算をしたら、、、
当然、法令違反です。
労働基準法第24条には以下の記載があります。
「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」
先述した通り、欠勤控除は「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づいて行うものです。
そのため、働かなかった分は支払う必要がないのですが、
端数処理で切り上げをしてしまうと、労働基準法第24条に反することとなります。
労働基準法第24条の罰則は以下の通り!
「30万円以下の罰金」
従業員が少なかった場合は、欠勤控除より罰則のほうがより大きな負荷となります!
ルールは守ったうえで事業活動していきましょう!
(前回のブログです)