あの男の子は、先生に注意された日から、
急に心が入れ変わったように、穏やかになっていきました。
そして、子分のような仲間達を引き連れる事もなくなりました。
誰に対してもフレンドリーになり、
担任の先生に対しても、優しくなったのです。
そしてさらに、変化が起きました。
そのやんちゃな男の子と、私は仲良くなり始めたのです。
その男の子とは、家が近かったこともあり、
いつの間にか一緒に帰ったり、遊ぶようになりました。
そして、その男の子の家庭もまた、複雑な環境でした。
彼には父親がおらず、小学一年生の弟と母の三人暮らし。
お母さんは夜の仕事をしており、夕方からいつも家にはいません。
だからその子に、門限はありませんでした。
男の子は夜遅くまで弟と外で遊んでいて、
警察に保護されたり、
夜の学校に弟と忍び込み、
警備員さんに保護された事もあったそうです。
その話は、学校中に知れ渡っていました。
その男の子のお母さんは、
ときどき知らない男性を家に呼んでいました。
その間、彼は弟とずっと、外で時間をつぶしていたようです。
その話を聞いたとき、私は何も言いませんでした。
ただ、胸がぎゅっとなった記憶があります。
私には、17時という門限がありました。
でも両親は、仕事でいつも夜遅くまで帰ってこないため、
私は門限を破って19時頃まで、
その男の子と弟さんと三人でよく遊ぶことが増えました。
何か悪い遊びをする訳では、ありません。
彼の家の前で、ずっとおしゃべりをしたり、
一緒に弟の面倒を見たりしていました。
私も、その男の子も言葉数が多い方ではありません。
でも、一緒にいることがとても心地よかったのです。
なにか、近いものを感じていたのかもしれません。
一緒に遊んでいたときの彼の笑顔は、
今でもはっきりと覚えています。
小学三年生以降、クラスも変わり、
一緒に遊ぶこともなくなっていきました。
思春期になって偶然会ったとき、
想像通りにグレた姿をして、
また男子を引き連れていました。
そして、久しぶりに話しかけてくれたその目は、
あの頃と変わらず、優しくキラキラした目をしていました。
その後___
彼は早くに結婚し、家庭を持ちます。
とても温かい家庭を築き、彼なら家族を絶対に、
幸せにする人だと私は思っていました。
「親の育て方で、子どもの性格や将来は決まる」
そう言われることがよくあります。
でも私は、
人は自分の人生を変えることもできると信じています。
以前もブログに書きましたが、自分の人生を変えるキッカケって
もちろん、人との出会いも大きいですが、
”趣味、作品、仕事、場所、動物、言葉、映像”など、
周りの環境が少しだけで、変わることができる。
何かと関わったとき、根本は変わらなくても、
少し変われる時がある。
私はそれを小さい頃から、たくさん目の当たりにしてきました。
だから今でも、人は変わると信じているのかもしれません。
彼にとっては、あの小学三年生のとき、
出会った先生がきっかけで、なにかが変わっていった気がします。
私も、あの先生に優しさをもらったように__
mito