感覚統合の考えからエアーズ博士の伝えたいこと

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著者であるA・ジーン・エアーズ博士はアメリカの作業療法士として感覚統合理論の生みの親でもあります。
感覚統合理論は1960年に発表され、今では日本の療育支援の現場で必要な知識として認知が広まってきているのです。
今回、エアーズ博士の名著をより保護者向けの内容にリニューアルした
「感覚統合の発達と支援」を実際に読みその中で学びや感じたことを伝えたいと思います。
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私も、実際の療育現場で目の当たりにする光景を分析するにあたり、感覚統合理論の考えはとても重要な要素と認識していましたが、著者であるエアーズ博士の考えなどは理解しないまま、知識や技術を習得することが支援の質をあげる一番の近道であろうと考えておりました。
しかし、それはこの本と出会って大きな間違いだと気付いたのです!
エアーズ博士の伝えたいことはこの記事の最後に記載しています。
その前に、そもそも感覚統合とは何なのか?
脳の無意識の行動
すべての情報には意味があり、経験を与える
その場に合った行動や反応ができるようになる
勉強や人間関係の土台となる
あらゆる情報の中から意識を向ける情報を選択する
このように本書の中では説明されていました。

簡単にまとめると、感覚とは人間の生活において必要な要素ということです。

では感覚にはどのようなものがあるのでしょうか?
一般に人間の感覚とは?と聞かれると五感をイメージする人がほとんどではないでしょうか?
五感とは
・視覚
・聴覚
・嗅覚
・味覚
・触覚
この5つなら言葉を聞くとなんとなくどこの感覚かイメージできると思います。
しかし感覚には5つの他に
・前庭覚
・固有受容覚
という言葉があることをご存じでしょうか?
医療の知識がある方はなんとなく意識してなくても聞いたことはある。
という方もおられると思います。
もっと詳しく説明すると
前庭覚とは重力加速度の刺激を感じ取っているといっても難しいですよね。
簡単に言うとバランス感覚のことです。
固有受容覚とは筋肉の張りや、関節の角度や動きを感じる。
いわゆる体の動きをコントロールするということです。
さらに五感のひとつである「触覚」
体のどこで触った感覚だと思いますか?




答えは皮膚の存在するすべての部位です!体全身ということですね。
厳密に言うと、皮膚の中の感覚の集合体の総称です。
触覚とは触った感覚や距離感を感じる人間の生きていく過程の中で培ってきた無意識に発動する器官なのです。

つまりこの3つの感覚は人間が生存するための重要な器官でありこれを原始感覚といいます!

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そのほかの感覚のことを識別感覚といいます。
識別感覚がなくなると、見えても認識できない、味がわからない、聞こえてるものが理解できないなどの問題が発生します。
では原始感覚がないとどうなるでしょう?

原始感覚がないと・・・
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家族の絵があります、もし原始感覚がないと
・前庭覚がない:二本足で歩けない、すぐに倒れてしまう
・固有受容覚:体を思った通りに動かせない
・触覚:安全と認識することができず抱っこ・手を繋ぐことができない、目の前の人とぶつかる
このような問題が起きてしまうのですね。

それでは本題に戻ります。
では感覚のことを解説した上で、感覚とはなにかをまとまてみました。
①情報の整理をする
脳は様々な感覚を見つけ、分類して順序よく並べる、いわゆる交通整理をする警察官のようなもの
②脳の大切な栄養素
脳と体や心に指示を送るために必要な知識を感覚は与えてくれる
③一部の情報から全体をイメージする
例えば、ミカンの皮をむいて食べる際に、識別感覚+原始感覚を使い
ミカンというものを認識します。
ミカンというものを見ただけで手と指で皮をむくという工程と口までミカンを運び食べるという工程をイメージすることができるのです。
さらにミカンの感触(外側はぼこぼこしているが中は湿り気のある)や香り(柑橘系の匂い)の情報を形成します。

このように感覚のおかげで私たちは無意識に何不自由なく生活できているのです。

感覚統合がうまくいかないとどうなるのか?

こちらは次回のブログ内容「感覚統合がうまくいっていない場合に起こる症状」にて解説したいと思います!

それでは最後に著者であるエアーズ博士の感覚統合の発達と支援を読んで私自身が感じたことは

子どもの行動には全てに意味があり、その意味を理解し見つけてあげることが大人の役割である。

子どもの問題行動と言われることは、その子の精一杯の適応行動やSOSである。

心や情緒、学習の問題も脳機能の現れの一つである。

様々な感覚は脳を育てる栄養素になっている。

子どもの能動性や興味、探求心や好奇心が子どもを育てる最大の原動力である成功体験や達成感を生むような楽しい活動が脳を育てる原則につながる。


エアーズ博士の考えを理解することでより感覚統合についての知識が深まった気がしました。これからもこのことを念頭においてお子様の支援に携わっていけたらと思います。

感覚統合療法の最終的な目標は
やりたいことがあり
それができる存在となり
環境の要請に対して
満足感を持って反応し
自己を意味ある存在に
導くようになることである
 ‐Ayres‐











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