本日も記事をご覧いただきありがとうございます。
前回の記事で「視点を変える」事についてお話させていただきました。
このテーマについて、ぴったりのエピソードがあったので、今回はこちらを紹介させていただきます。
これは友人の奥様のお話です。
「いらっしゃいませ!」
スーパーのパートに週5日で入っている私は、入店したお客様への接客。レジ打ちなどが仕事です。
この仕事も4年目。長く働いていると、職場の皆さんに頼られる事も増えてきます。
「あ、またあのお客様来られてますよ」
後輩の女の子が指差す方向に目をやると、
入り口の自動ドア。買い物カゴが積み上げられた場所に、1人の男性が立っていました。
紺色のニット帽、たくさんの年齢を重ねられて、シワが深く刻まれた顔。腰の曲がった小さな身体で、買い物カゴを取りながら、店に入って来られます。
「いらっしゃいませ!」
近くにいた1年目の女性店員が声をかけるのですが、彼の様子を見て、少し戸惑っています。
なぜか。
彼はマスクをせずにお店に入って来たんです。
コロナが流行り始めてから、外出時の必須アイテムになったマスク。
最初の発見から数年経ったとはいえ、人々の記憶には、
「マスクをしていないと、コロナがうつるんじゃないか?」
という不安が残っています。
彼が入店する際に利用した自動ドアには、
「店内に入る際は、マスクをご着用ください」
という張り紙もしてあります。
「どうします?」
後輩の女の子の問いかけに、
「店長に伝えておくね」
そう告げて、店長に男性の入店を伝えました。
すると・・・。
「お客様、マスクの着用をお願い致します」
店長はお客様に直接呼びかけに行きました。
私が以前、初めて男性を目にして、店長に報告した時は、
「まぁ、お客様にも、何か事情があるかもしれないからね」
店長は男性の視点。お客様の視点に立って考えるようにしていました。
しかし、
マスクなしの入店も、3度目となると他のお客様の目もあります。
「3回目で注意しようか」
そう言っていた通り、店長は彼に呼びかけを行ったんです。
「お客様、マスクの着用をお願い致します」
「わしの事か?」
「申し訳ございません。当店はマスクのご着用をお願いしておりますので」
丁寧に言葉を続ける店長。
「わしがコロナだって言いたいんか?!」
男性の声が徐々に大きくなっていきます。
「申し訳ございません。お客様。こちらへいらしていただけますか?」
店長は他のお客様への迷惑を避けるためにも、事務所への移動を促しています。
「わしはコロナじゃないから、マスクしないぞ!」
彼の怒鳴り声に、店内は騒然としてしまったのでした・・・。
追伸
この話を友人から聞かせていただいて。
「大山さん、どちらが悪いと思われますか?」
友人の男性が聞いてきます。
「そうですね。どちらが悪いとかはないです。ただ、お客様は自分がコロナじゃないから、マスクをしなくていい。そう判断されていますね」
「そうですね」
お客様がコロナじゃないという言い分は、もしかしたら、以前のコロナ検査で陰性になった。そんな確信があるかもしれない。
「店長の方は、周りのお客様が不安になる。そう思っていたために、注意をしなくてはならなかった」
お客様に不安や心配なく、買い物を楽しんでいただくのが、店長のお仕事。
男性と店長、双方に主張があった。
再び友人が口を開く。
「そうなんですよね。僕は妻に言われて気付いたんですが、
マスクをしていない人=感染者
そう思い込んでいたんですよね」
今回のお話、皆さんはどう思われたでしょうか。
マスクをせずに入店した男性が悪い。
そう思われた方は多いかもしれません。
しかし、
「もし、彼がコロナに感染していなかったら」
問題は変わってくるんですよね。
彼自身、普段からマスクをしていないことで、周りに文句を言われる経験をしてきたかもしれません。
そのたびに腹を立て、
「自分は悪くない」
そう言い聞かせて、今回のようになってしまったのかもしれない。
「最初から周りの人を困らせてやろう!」
そんな気持ちはなかったかもしれません。
視点を変えて物事を見る。
この物語を皆さんは、どなたの視点で見られましたか?
奥様ですか。
店長でしょうか。
それとも、男性のお客様でしょうか?
人は他者の視点でさまざまなものを得ることができます。
今回は学びの共有として、
皆さんにお伝えさせていただきました。