一方で、SNSでは「メンヘラ」という言葉が女性に対して使われることが多く、心の不調は女性のほうが目立つような印象を受けることもあります。
しかし、本当にそうなのでしょうか。
私は病院のグループワークや作業所などでさまざまな方と関わる中で、「男性は苦しみを表に出しにくい」と感じる場面が何度もありました。
❇️「男だから」が心を縛る男性は幼い頃から、
「男なんだから泣くな。」
「しっかりしろ。」
「弱音を吐くな。」
と言われて育つことが少なくありません。
もちろん、強く育ってほしいという願いからの言葉だったのでしょう。
ですが、その言葉を繰り返し聞いているうちに、「つらいと言ってはいけない」「助けを求めるのは恥ずかしいことだ」という考えが心の奥に根づいてしまうことがあります。
その結果、本当は苦しくても、「まだ頑張れる」「自分が我慢すればいい」と無理を重ねてしまうのです。
❇️「相談できない」のではなく「相談する経験が少ない」女性同士では、「最近疲れた」「ちょっと落ち込んでいる」と気持ちを共有する機会が比較的多いように感じます。
一方で男性同士は、仕事や趣味の話はできても、自分の心について話す機会はあまり多くありません。
そのため、不調を感じても一人で抱え込み、誰にも相談できないまま時間が過ぎてしまうことがあります。
私は実際に、最初は「大丈夫です」と笑っていた男性が、少し信頼関係ができてから「実は眠れない日が続いています」「毎日つらかったんです」と話してくれた場面を何度も見てきました。
話したくなかったのではなく、「話してはいけない」と思っていたのかもしれません。
❇️繊細な男性ほど苦しくなりやすいHSP気質や繊細な男性は、人の気持ちや空気を敏感に感じ取ります。
期待に応えようと頑張り、人に迷惑をかけないように気を配り続けます。
そこへ「男なんだから強くあるべき」という価値観が加わると、自分のつらさをさらに押し殺してしまいます。
「こんなことで弱音を吐いてはいけない。」
「もっと頑張らないと。」
そんなふうに自分を追い込み続けることで、心は少しずつ疲弊してしまうのです。
❇️助けを求めることは弱さではありませんうつ病は、我慢を続ければ治るものではありません。
むしろ、限界まで一人で抱え込むことで回復に時間がかかることもあります。
だからこそ、「少し疲れています」「話を聞いてほしい」と伝えることは、とても大切なことです。
家族でも、友人でも、職場の人でも、医療機関でも構いません。
一人で抱え続けるより、誰かに気持ちを話すことが、回復への第一歩になることがあります。
❇️おわりに❇️ジェンダーの問題というと、女性の生きづらさが語られることが多いですが、男性にもまた、社会の中で抱えやすい苦しさがあります。
「男だから」という言葉が、人を支えることもあれば、苦しめてしまうこともあります。
本当に大切なのは、男性らしくあることでも、女性らしくあることでもなく、その人らしく生きられることではないでしょうか。
もしあなたが今、「大丈夫」と言い続けて疲れているなら、一度だけ自分の心の声に耳を傾けてみてください。
そして、あなたの周りにいつも頑張っている男性がいたら、「最近どう?」と声をかけてみてください。
その何気ない一言が、「一人じゃない」と感じられるきっかけになるかもしれません。