大好きな彼の家に泊まった翌朝、使ったティッシュや小さながらくたを、そっと自分の化粧ポーチに忍ばせて持ち帰る。
彼の部屋のゴミ箱に自分のゴミを捨てることが、どうしても申し訳なくてできない。
そんな経験はありませんか?
自分の「生活の痕跡」をその部屋に残してしまうことが、まるで不法侵入でもしたかのように感じられたり、相手の大切な空間を汚してしまったような強い罪悪感に繋がったりする。
だから、自分がそこにいた証拠をすべて完全消去するように、部屋をきれいに片付けて、何事もなかったかのように帰路につく。
そんな風に、誰にも言えない秘密を抱えて、胸をキュッと締め付けられている女性は、実は少なくありません。
心理カウンセラーとして、僕は、その行動の裏側にはあなたの計り知れないほどの優しさと、張り詰めたような緊張感が隠されていると感じています。
普通の人から見れば「ゴミ箱なんだから捨てればいいのに」と思うようなことかもしれません。
でも、繊細な気質を持つあなたにとって、相手のテリトリーに自分のものを残すということは、それほどまでにエネルギーを使う重大なことなんですよね。
相手の空間を完璧に尊重したいという気持ちが強いからこそ、自分の存在が相手の負担や迷惑になってしまうことを、何よりも恐れてしまうのだと思います。
一歩間違えれば、自分が相手の世界を侵食してしまうのではないかという不安。
その優しさはとても美しくて愛おしいものですが、同時に、大好きな人の前でさえも一瞬たりとも気が抜けないというのは、本当に心がすり減ってしまうことですよね。
お泊まりという特別な時間のはずなのに、まるで見つかってはいけないミッションを遂行しているかのように張り詰めているあなたの心を想像すると、とても愛おしく、そして少し切なくなります。
心理カウンセラーとして、僕は、まずはその「痕跡を消してしまう自分」を、どうか責めないであげてほしいなと考えています。
それだけあなたが、相手のことを大切に思っていて、傷つけたくない、不快にさせたくない、と全神経を尖らせて気遣いができる素晴らしい女性である証拠なのですから。
でもね、少しだけ想像してみてほしいのです。
大好きな彼にとって、あなたが使ったティッシュや、部屋に残していった小さな生活の気配は、本当に「部屋を汚すもの」なのでしょうか。
きっと彼は、あなたと同じ空間を共有できたこと、自分の部屋にあなたという大好きな人がいてくれたことが、たまらなく嬉しいはずです。
ゴミ箱に残されたあなたのゴミは、彼にとっては「汚いもの」ではなく、「あなたがここにいてくれた温かい証拠」そのものだったりするんですよ。
あなたが「痕跡を消さなきゃ」と必死になっているとき、彼はあなたの存在をもっと感じたいと思っているかもしれません。
いきなりすべてのゴミを捨てていくのは、まだハードルが高いと感じるかもしれませんね。
それなら、まずは小さな髪の毛一本、あるいは小さな紙くず一つだけでも、「ここに置いていっても大丈夫かな」と、彼の優しさを信じてみる練習をしてみませんか。
あなたがそこに存在することは、誰の迷惑でもないし、大好きな人の空間を汚すことでも絶対にありません。
あなたの生活の痕跡は、彼にとって愛おしい日常の1ページなのですから。
少しずつ、彼の部屋で深呼吸ができるようになって、あなたの心がもっと軽くなることを、心から願っています。