あの人がいるかもしれない場所、あの人がいつも通るルート。
「もしかしたら会えるかも」という淡い期待と、「ただ一目だけでも姿を見たい」という抑えきれない衝動。
そんな切ない思いに背中を押されて、気づけば偶然を装って相手の行動範囲へと足を運んでしまうこと、ありますよね。
でも、いざその空間の空気に触れた瞬間、胸がギュッと締め付けられるような感覚に襲われてしまう。
無事に通り過ぎたはずなのに、心臓の音が耳の奥でドクドクと信じられないくらい大きな音を立てて鳴り響き、冷や汗が止まらなくなる。
そのまま近くの公衆トイレに駆け込んで、個室の鍵を閉めた瞬間、張り詰めていた糸が切れたように動けなくなってしまう。
息がうまく吸えなくて、過呼吸のようになりながら、ただ便座に座って20分も30分も時間が過ぎるのを待つことしかできない。
落ち着いてくると、今度は激しい自己嫌悪が波のように押し寄せてきますよね。
「どうして私はこんなことをしてしまったんだろう」「ストーカーみたいで気持ち悪いな」「まだあきらめ切れていない自分が惨めすぎる」と、自分で自分をこれでもかと責め立ててしまう。
本当に苦しくて、孤独で、胸が引き裂かれそうな時間だったはずです。
心理カウンセラーとして、僕はそんなあなたの行動も、そのあとに襲ってきたパニックのような拒絶の恐怖も、すべてが愛おしいほどに自然なことだと考えています。
繊細な気質を持つ繊細さんは、人を好きになるとき、その心の底から相手を想い、深い部分でつながろうとします。
だからこそ、関係が終わったり、距離ができてしまったりしたあとも、相手の存在が心の中に深く刻まれたままになってしまうんです。
姿を見たいという衝動は、それだけあなたの恋が本物だったという証拠であり、決して恥じるようなことではありません。
それなのに、いざ同じ空間に行くと過呼吸寸前になってしまうのは、あなたの心の中に「大好きな気持ち(未練)」と「傷つきたくない気持ち(拒絶の恐怖)」が、ものすごいエネルギーでぶつかり合っているからです。
もし冷たい目をされたらどうしよう、もし完全に拒絶されている現実を突きつけられたら生きていけない。
繊細さんにとって、大好きな人からの拒絶は、心が死んでしまうほどの恐怖を伴うものなんです。
だからこそ、あなたの防衛本能がフル稼働して、心臓を激しくバクバクさせて「これ以上は危険だよ!」と危険信号を出してくれたんですよね。
公衆トイレの個室で動けなくなってしまったのは、あなたが自分の傷ついた心を一生懸命に守ろうとした、とても健気で大切な20分間だったんですよ。
ストーカーなんかじゃありませんし、心が弱いわけでもありません。
あなたはただ、それほどまでに一人の人を深く、真っ直ぐに愛しただけなのです。
今回は、そんな風にボロボロになるまで誰かを想い続けている自分を、まずは「それだけ大好きだったんだね」「よく頑張って戻ってきたね」と、優しく抱きしめてあげてくださいね。
一歩ずつで大丈夫ですから、まずはゆっくりと深呼吸をして、冷たいお水でも飲んで、張り詰めた心と体を休ませてあげましょう。