「ショートカットの女性が好きなんだよね」
大好きな彼からそんな言葉を聞いた瞬間、お気に入りだったロングヘアを切りに美容室へ駆け込んでしまう。
あるいは「自立した、芯の強い人がいいな」と言われれば、本当は寂しくてたまらない夜も、スマホを握りしめて声を殺して泣き、物分かりの良いフリをしてしまう。
そんな風に、相手の「好きなタイプ」という正解に合わせて、自分を無理やり型にはめてしまった経験はありませんか。
相手に好かれたい、嫌われたくないという一心で作り上げた「理想の彼女」。
確かに、彼からは「可愛いね」「そういうところが好きだよ」と言ってもらえるかもしれません。
でも、その言葉を受け取っているのは、あなたが一生懸命に作り上げた「偽物の自分」であって、本当のあなたではありませんよね。
褒められれば褒められるほど、愛されれば愛されるほど、心の奥底では「これは私じゃないのに」という虚無感が広がっていく。
そんな苦しさを抱えながら、それでも演じ続けることをやめられないあなたは、本当に優しくて、健気で、一生懸命なのだと僕は感じます。
心理カウンセラーとして、これまで多くの女性の恋のお悩みをお聞きしてきましたが、特に繊細な気質を持つ方は、相手の細かな表情や声のトーンから「何を求めているか」を瞬時に察知してしまう才能があります。
その才能ゆえに、相手の好みに自分を染めることが、他の人よりもずっと簡単にできてしまうんですよね。
でも、そうやって自分を削って作った「偽物の自分」を愛されることは、実はとても孤独なことだと僕は考えます。
だって、もし彼が今のあなたを愛してくれていたとしても、それはあなたが必死に維持している「仮面」を見ているだけだからです。
「もし、本当の私を見せたら、彼はガッカリして去ってしまうんじゃないか」
そんな不安が常に隣り合わせにある恋愛は、心を休める場所ではなく、常に採点されている試験会場のような場所になってしまいます。
これでは、どんなに素敵なレストランで食事をしても、どんなに甘い言葉をかけられても、心が満たされるはずがありません。
僕は、恋愛において最も大切なのは「相手に好かれること」ではなく「自分が自分であることに安心できること」だと思っています。
髪を切りたくないときは切らなくていいし、寂しいときは「寂しい」と言っていい。
むしろ、そうやって自分の本音を少しずつ差し出していくことでしか、本当の意味での深い繋がりは生まれません。
彼が言った「好きなタイプ」は、あくまで彼のこれまでの好みの傾向に過ぎず、絶対的なルールではないのです。
あなたがあなたらしく、心地よく笑っている姿こそが、結果として彼にとっての「一番好きなタイプ」になることだって、十分にあるんですよ。
いきなりすべてをさらけ出すのは怖いかもしれません。
それなら、まずは「寂しさを隠すのを一度だけやめてみる」とか「髪を切る前に『私はこの長さが気に入っているんだ』と伝えてみる」といった、小さな一歩から始めてみませんか。
偽物の自分を演じるために使っていた膨大なエネルギーを、これからは自分を愛でるために使ってあげてほしいのです。
あなたがそのままの姿で、ふんわりと隣に笑っていられる。
そんな関係こそが、あなたという繊細で美しい魂が、一番輝ける場所なのだと僕は信じています。
自分を偽らなくても大丈夫。
あなたは、そのままで十分に愛される価値がある女性なのですから。