新しい自分へ…14

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彼にバイトを辞めたことを伝えた…。
なんて言われるだろう…。
見放されちゃうかな…
呆れられちゃうかな…。
嫌われるかな…。

色々考えた…
が、彼は…
「しょうがないんじゃない?俺一人の稼ぎでも少しはやっていけるだろ!」
といった。

意外な回答だった。

嬉しいような申し訳ないような…。
素直に喜べない自分がいた…。

「ごめんね…大事な時に…」
それでも彼は私を責めることはなかった。
「今度は車もあるし、別なところ探せばいいよ!」
と逆に励まされた。
「ありがとう…」といい、今後のことも少し話して電話を切った。

そして、娘の施設に行き、今後のことなどを相談しにいった。
もちろん、ここでバイトを辞めた、なんて知られたら引き取ることはできない。そう思ってバイトのことは伏せていた。

順調に進んでいるかのように見せていた。

もちろん「不安」でしかなかったが、すぐに娘を引き取れるわけではない…
これから児相がアパートを見に来たり、手続きやらがたくさんある、会議にかけてそれから「引き取り」という流れらしい。

その話を聞いて最短でも2週間のうちに仕事を見つけなければ!
そう焦っていた。

そんな状態の中、Rさんから電話がきた。
少しめんどくさいな、と思いながらも電話に出なかったりかけなおさなかったりするとややこしくなるので、電話に出てみた。

そして、また彼の話や自分の話などをしていく中で、
「あれ?あんた今日バイトは?」と言われた。
…いや、バイトだと知ってて電話してきたの?
とも思ったが、背に腹は代えられない…
新しい仕事先を紹介してもらえるかも、と思い
バイトを辞めたこともやめた理由も話した。
そうすると意外にわかってくれて、
「あぁ、それなら紹介できるよ、あんた前にもやったことあるからできると思うけど、保険屋、前とは違う保険屋だけどいい?」と…

私には願ったり!!というような仕事だった。
土日休み!9時から17時!
よし!いける!
車もあるし!

私は二つ返事で快諾した。

そして、話を通してもらえることになった。

次の日、Rさんから電話がきて
「○○日、面談したいって!スーツあるか?」などという話になった。
トントン拍子に話が進んで怖いくらいだった。

そうだ、スーツ…全部前の家に置いてきた…。
スーツ買わなきゃ…。

仕事をするにも「軍資金」って必要だな、と改めて思った。
その当時、今のような安く手に入る時代でもなかったが、なんとかリサイクルショップを探してスーツを買った。
確か…2000円くらいだったかな…。
上下セットのスーツ。
中に着るブラウスもそのリサイクルショップで揃えた。
靴も…。
全部で5000円行かなかったと思う。
社員ともなれば一着では済まないが、とりあえずの面接用のスーツは買った。

面接まで一週間くらい時間があったと思う。
その間I子さんに顔を出したり、一緒にご飯を食べに行ったり…
そういえば、食器を置く棚?
が、まだダンボールのままだった…。
これを児相に見られたら引き取れないかもしれない…。
そう思うと居ても経ってもいられなくなり、スーツを買ったリサイクルショップに出かけた。

リサイクルショップに行くと、500円でカラーボックスが売ってあった。
これでいいかなぁ…、キッチンも狭いし…。
そして、カラーボックスを買い、それを食器棚代わりにして使うことにした。
カラーボックスなら引っ越し先でも使えるだろう、そう思ったからだ。
キッチン、などと呼べるほどのスペースではない。1畳くらいのスペースだ。
そこに洗濯機なども置いてある。
冷蔵庫は、シェルターからいただいた1ドア冷蔵庫のままだ。

それでも「自分の城」というものを持てたことが嬉しかったから食器棚がないことくらい特に気にも留めていなかったが、子供を引き取るときの環境がものを言うなら話は別だ。

新品のモノに惹かれることはなかった…
それは父との生活で経験したことがあったからだ。
父は常に「最新」のものを購入してきた。
それでも「幸せ」ではなかったからだ。
そして、母親のところに居ても、「幸せ」とはかけ離れていた。

そして辿り着いた「答え」は
「物では幸せになれない」
だった。

だから「ものに執着する」のを辞めた。

「身の丈にあったもの」
それが私の今でも「モットー」としてある。

車は確かに高価な買い物だったが、それは「必要最低限」のものだった。

そして、これから「引っ越し」も控えている。
ものを増やしたくなかった。

そんなとき、I子さんから連絡がきた。
「ちょっと買い物しちゃってねぇ…来てくれない?」と言われた。

…行ってみると…
「あのねぇ♪冷蔵庫、買っちゃったんだけど~今使ってる冷蔵庫、まだ買って1年くらいしか使ってないからあんたにあげようかと思って~♪捨てるにもお金掛かるし、まだ使えるしね♪」
とルンルン♪な声で言われた(笑)

私は思ってもいない提案だったので、遠慮なく冷蔵庫をもらうことにした。
運ぶのは、冷蔵庫を買ったお店から運んでもらうことにしてもらった。
その冷蔵庫は今では珍しくない「3段引き出し」の冷蔵庫だった。
私には到底買えない代物だったから嬉しかった。子供がいても、食品を保存できる!
ま、あの1kのアパートには不釣合いで、置く場所もキッチンではなく
居間になってしまうけれど(笑)
それでも引っ越し先でも使えるから、と思いもらった。
案の定、部屋は狭くなってしまったが(笑)
冷蔵庫の中はスカスカだったが、これからの生活には必要だ。
とにかく「お金をあまり使わない」ということを徹底して生活していたような気がする。

お金、という存在は怖いものである。
人を狂わせたり、人生を終わらせたりを平気でする武器になる。
もちろん使い方を間違えば、だけど…。
かといって、全く使わずにもいられないのも
「お金」だ。

最低限生活していくにも「最低限のお金」が必要。

I子さんは「放火」による災害の保険給付金があったからお金はあったと思うが、私は人の財布を知りたいとも思わない、これは母親からの影響だと思う。
ましてそれを「利用する」などということは絶対にしたくない。
I子さんはそういう私の気持ちを察してくれたのかもしれない。
なにせ、冷蔵庫を1年で変える人はそんなにいないだろう。
けれどその時の私はそんな配慮さえ考えられる余裕すらなかった。
ただ、「感謝」をしていた。
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