新しい自分へ…13

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次の日もバイトだった。

休みの日を利用して、市役所行ったり、児童養護施設に行って娘と面会や外泊…。
外泊のときはなるべく彼も一緒にいることにした。
彼は特別、娘に気に入ってもらおうともせず、普通に接してくれていた。
まるで、「今までなにもなかったか」のように…。

とても「自然」に触れあってくれた。

下の息子にも同じだった。
息子は何もわからない年齢(12か月くらい)だったが、ぐずることにも何も言わず嫌な顔をすることなくあやしてくれた。

そんな姿や光景をみて、
「あぁ…これが『普通の家族』なんだなぁ」
と感じていた。

こういう「普通」がなによりほしかった。
彼は特別何かをしているわけではないが、それもまた嬉しかった。

晩御飯を買いにスーパーに行くときも自然に娘の手を取り歩いていた。

なんだろう…すごく胸が熱くなるのを感じた。

「このまま幸せが続けばいいのに…」
そう思わずにはいられなかった。

バイト仲間も彼の存在を知り始めてきてくれて、
「頑張ってね!次は幸せになるんだよ!」などと声を掛けてくれた。

そんな中…事件は起きた…

バイトを終えた私はアパートに帰った。
次の日バイトに行くと「店長」から呼び出しがあった。

「なんだろう…」

と控室に行った…。

「お前、エアコンの電源落としていかなかっただろ!」と…。
そこの店はそういう細かいところにうるさかったため、たかだか10分休憩のときなどエアコンは使っていない。

「え、私ではありませんけど…。しかも私がエアコン使わないの知ってますよね…」というと
「お前しかいないんだよ!なんで認めないんだ!」と…。

普段店長とは良好な関係が築けていたと思っていたから、そんな風に言われるのは驚いた。
冗談も言うし、店内でもきちんと上下の関係はナーナーではなくしっかりしていたと思っていた。

けれど、「あらぬ濡れ衣を着せられる」のは心外だった。

私はそれまでに店にくる「クレーム処理」もしてきた。
怒鳴ってくるお客さんにも一番早く謝罪してきた。

それが一気に「なかったこと」にされた感じとまるで「犯人扱い」されるような言動に腹が立った。

もうそれは「尋問」のようだった。

退店時間から何をしてどうしたか、その時誰がいたか…
など細かく聞かれた

その日は15時にバイトが終わり、その後17時まで誰もくるスケジュールではなかったと記憶している。
だから私が退店した後の休憩が誰なのかさえ知らない状況だった。
もちろんサービス業とはそんなものではないだろうか。
お客さんが空いてから各自順番に休憩を取る。
バイトが終わってからのことなどしるハズがないにも関わらず店長は尋問してくる。

「私はどうすればいいんですか?エアコンのことは私は知りませんとしかいいようがありませんし、付けてさえいません。それでも私のせいにしたいですか?」と…

もうそれしかいいようがなかった。

それでも店長は引き下がらず「お前がやったと認めればいいのになんで頑なに認めないんだ!」などと怒鳴ってくる…。

店と控室はすぐ隣で、怒鳴り声もお客さんに聞こえているのではないだろうか、というような怒鳴りようだった。

そして、次のバイト時間の人たちも入ってきた…。
険悪な雰囲気の中誰も助けてくれることはなかった。
もちろん、昨日の時間のバイトの人ではなかったかもしれないが…。

私は「あぁ…これは辞めろってことかな」と察した。

「店長は私に辞めてほしいんですね?」とずばり聞いた。
そうすると
「そんなの自分できめろ」という返事だった。

私は「今ここで辞めたらこの先の収入や子供たちのことが台無しになる…どうしよう」と少しパニックになっていたと思う。
けれど、この先、こんな状況でバイトを継続することができるのか…。
「自分で決めろ、とは自分の口からは言えないということか…」
などと色々な思考が駆け巡った。

そしてお互いなにも言わない沈黙の時間が…多分数分あったと思う。

「わかりました、辞めます」
先に口に出したのは私だった。

そうすると店長は「そうか、じゃあ書類書いてもらうから」と言って書類を取りにいった。
その隙に「ほんとにそれでいいの?」と声を掛けてくれた人もいた。
けれど、そうするしかなかったし、結局誰も「違うよ」とは言ってくれなかった。それを認めたとしたら、次何かあったとき、また私のせいにされる…
その恐怖もあった。前に誰かの「財布」がなくなったときがある。
その時は私は休みだったからよかったけれど、その件もどうなったかは知らない。その時も誰か大学生が辞めた記憶がある。その時はそれと関係しているとは思わなかったが、たぶんこういうことなんだろうな、と思った。
「真実ではないが認めても認めなくてもやめてくれれば解決したことになる」
そういう店なんだと…。

私は色々な書類の中に「退店理由」という項目があった。
「これになんて書けばいいですか」と店長に聞いた。
別に私が何かをしたり、別の理由があったわけではない。
すると店長は
「あったこと書けばいいんじゃない?」といった。
「ではそのまま書きますね」といって
・エアコンの電源を切らなかったことを自分のせいにされた
・店長とは良好な信頼関係が築けない
・やっていないことをやったことにされるのは心外
というようなことを書いた。

そして、荷物をまとめとりあずその場にいた人に挨拶しようとしたら
店長は「そんなのいいから早く帰って」と…

なんて人だ。
昨日まで良好だと思っていた関係がこんな扱いをするなんて…。

私はムッとしたが
「お疲れさまでした」とだけいい、その店を後にした…。

はぁ…無職になってしまった…。

どうしよう…。

とりあえず少し休もう、そう思った。
その店ではほぼ休みなくシフトを入れていた。
急な他の人の休みも出たりしていた。

9時から15時
20時から7時など…。

1日休みは子供を外泊させる日だけだった。
月に4回くらい。
その間の休みを利用して市役所行ったり、離婚裁判の話し合いなどに充てていた。あとはI子さんに行ったり…。

私はアパートに帰ると倒れこむようにベットに入った…。

何時間寝ただろう…。
気づいたときには翌日の昼過ぎくらいだったと思う。

電話もたくさん来ていたが気づかなかった…。

シャワーを浴び、少し休んで、彼にバイトを辞めたことを伝えた…。





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