「鏡の懐中時計」

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【1人休み】





18歳の時
アメ横のセンタービル内にある
「唐沢宝石店」という所で
アルバイトをしてた。

この店は
敷地面積10坪ほどの小さな店で
店長とバイトの女性と俺と
3人しか従業員がいない。

このバイト先は
午後5時から夜9時まで仕事してて
いつも学校もバイト先も
原チャリで通ってた。

当時通ってた工芸高校から
バイト先まで最短10分で行けるのに
いつも遅刻ギリギリに出社してた。
( ´ー`)フゥー...

そんなある日
バイトの女性の奥山さんが
飲み会とカラオケに行くというので
休んだ時がある。

なのでこの日は
店長と俺だけで営業し
食事休憩も交代で行くとこになって
店番が1人になる時間ができた。

この時俺は
高額な商品の販売を許可されてなく
高額商品購入者が来たら
断らないとならない。
|ω・`)ショボーン


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【高額商品】





そして店長の食事の時間になり
俺が1人で店番をしてたら
背中から刺青が見えてる
あきらかにやくざの人が来た。

この人は
すぐ100万円位する時計の所に行き
その時計をじろじろ見始める。
( *゚Д゚))フムフム

このとき俺は
必ずこの100万円の時計を
購入してくれると感じた。

なので俺は
店長が帰ってくるまで時間稼ぎして
待ってもらおうと思い
色々話しかけてみた。

するとこの人は
俺の話なんて全然聞いてくれず
「店長いないの?」と
質問される。

仕方ないので俺は
店長が食事中の事を伝えて
俺がまだ高額商品の販売を
許可されてない事も伝えた。

するとこのやくざの人は
俺の事をじろじろ見て
「まぁそりゃそうだよな」と言い
「ありがと」言って帰てしまった。
(´・д・`)ショボーン


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【銀の懐中時計】





そして俺は
食事から戻ってきた店長に
この事を伝えると「そっか~」と
すごく残念がってた。

滅多に売れない高額商品を
たまたま買いに来てくれる時は
なぜかいつもタイミングが悪く
運の無さを呪ってしまった。

その後俺は
売る事が出来なかったから
いじけてしまって
何故か銀の懐中時計を磨きだす。
(´;ω;`)シクシク

この銀の懐中時計は
45万円もする自動巻きの懐中時計で
年期が入ってるせいか
すごく曇ってしまってた。

しかも結構大きな懐中時計で
すごく細かい模様が入ってるから
磨きにくさが半端ない。

しかし銀製品は
磨いて光らすと鏡のようになり
これがすごく奇麗で
感動してしまった。

なのでこの銀の懐中時計は
俺がこの会社を辞めるまでに
必ず全部磨ききろうと決意し
毎日少しずつ磨いてた。
ウフフ♪(。-艸・。)


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【赤いネクタイ】





この時の俺は
もうすぐ学校を卒業し
でニーズに就職するので
この店をやめないとならない。

そんなある日
店を閉店したあと店長が
就職祝いを買ってくれるというので
一緒にデパートに向かった。

そして店長は
ネクタイ売り場に行き
ここで俺のために
ネクタイを買ってくれるという。

なので俺は
喜んでここぞとばかりに
高価なネクタイを探して
俺の好きな赤の物を選んだ。

そのネクタイは
5000円もする超高級ネクタイで
すごく作りもしっかりてて
超ご満悦になってしまった。
°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°

しかし新入社員の俺が
スーツに赤いネクタイをして
いきなり出勤してしまったら
変な奴に思われるに違いない。

でも俺は
赤が好きだからそんなの関係なく
この赤いネクタイだけを
付けていく事にした。
(# `Д´)フンガフンガ


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【スーツ姿】





翌日バイトの奥山さんに
ネクタイをプレゼントされた事を
すごく嬉しくて自慢してしまった。
(´∀`*)ウフフッ

すると奥山さんは
「ならそのネクタイ見たいから
明日スーツで来てよ」と
指令が出てしまう。

でも俺は
スーツなんて滅多に着た事がなく
職場にスーツで来るなんて
恥ずかしくてしょうがない。

すると奥山さんが
「スーツ姿絶対かっこ良いから
ぜひ見てみたい!」と言われて
俺もその気になってしまう。

そして翌日の日曜日
紺色のスーツと赤いネクタイをし
張り切ってバイト先に出社して
奥山さんと店長にスーツを見せた。

すると奥山さんが突然大爆笑し
「七五三みたい~!」と言い
思ってたリアクションと違って
一気に恥ずかしくなった。
≧(´▽`)≦アーハハハハハ

そして曇った懐中時計は
辞めるまでに無事磨ききって
まるで鏡の懐中時計になり
そっと元の場所に飾っておいた。



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