会社では教えてくれない営業術 135 一人一人考えた指導をする!

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ビジネス・マーケティング
今日もご覧いただきありがとうございます。
営業トレーナー&アンガーマネジメントコンサルタント
Office M & Rの坂山一哉です。

今日はある事例をもとに、私がどう指導したかを書きたいと思います。

私は製薬会社の営業(MR)をしていましたが、その仕事の中身は、
お医者さんのところに行き、薬を説明し採用してもらったり、
その後は使っていただくために訪問して情報の提供や収集を
するのが日課です。

それ以外にも、講演会やセミナーなどを企画し、先生に参加していただいて情報を提供するという仕事もありました。


さて、数年前のことなのですが、
あるメンバーとの同行の時思いもかけぬことが起こりました。

彼は非常に真面目です。
しかし少々気が弱いところがありました。

まずは訪問計画。
どこへ行って何をするかですですが、この日は彼が企画したセミナーが夕方にあり訪問計画にはセミナーの最後の案内&参加要請がありました。

そしていざ出発。
まずは一軒目。
ここは今日のイベントに参加してくれるかまだ決めかねている先。
最後の案内のために、一緒に行くことに。

さて施設に着くと・・・・
閉まっているではありませんか?
そう、この日は休診日。

しかし彼は昨日今日担当したばかりではありません。
なんで?って思いましたが、
彼の顔を見てすでに血の気がひいています。

しかし彼から出てきた言葉は
「おかしいなあ〜」でした。

「仕方ない、次や!」ということになり、二軒目の施設に到着したのですが、最後の患者さんがいらっしゃったので、施設の駐車場で待ちましょう、と彼が言うのです。

駐車場は施設の隣。入り口が見えない場所。そこに一台車が止まっている。彼はこの止まっている車が最後の患者さんのものだ!と言うのです。
だから「この車がいなくなったら入りましょう。」と言うのです。

私としては、その車が患者さんのものかもわからないと思い、彼にこう告げました。
「最後なのであるなら、名刺だけでも受付に出しておけば」と。

しかし彼は「大丈夫です」と聞き入れない。
実は一軒目での失態で頭の中はぐちゃぐちゃだったのです。

そして患者さんらしき方がその車に乗り込み駐車場から出ていかれたので、すぐに施設に行くと・・・・

すでにシャッターが降ろされていたのです。
一瞬の出来事。
あらら・・・と私が思ったしゅんかん、彼の顔からさらに血の気が引いていくのがわかりました。
(のちに分かったことなのですが、その車は患者さんのものではありませんでした。)


会えないものは仕方ない。
私は、「はい次!」と彼に告げ、次の施設へ。
しかし三軒目に到着した時は、すでに遅し。
ここも院内は真っ暗。
彼は「待っていてください」と言い残し、施設へ向かいますが
当然院内はすでに誰もいない。
施設の看板をみると・・・
その日の午後はお休みでした。
もうここまでくるとこっちが呆れますよね。

そして四軒目。
ここは何とか面会が出来、なんだかホッとしましたよ(笑)

その後、昼食を取り5軒目に。
その施設はビルの3階にあるのですが
エレベータのボタンを押してもランプが点かない。

彼は「まだ空いてないんですよ!」と言うのです。
それにしても、午後の診察時間はもう迫っている。
おかしくないか?って思い、
一階にあった調剤薬局へ「聞いてみたら!」と促しましたが、彼はまた行こうとしない!

その聞きに行かない理由が、
「先週の同じ曜日に訪問をしており、今日も診察はあるはずです。」と言い切るのです。

しかしもう数分で診察時間も始まる。これはちょっとおかしいと思って、
徐にiPhoneを取り出し調べてみると・・・・

なんと、この施設は第5週目の木曜日の午後はお休み。
そうなんです。この日は第5週目の木曜日だったんです(笑)

「なあ、これ見てみ!。今日は休みやわ!」って私のiPhoneを見せると、もう彼真っ青。

そらいくらなんでもそうなりますよね。
だってこの日は全くと言って良いほど、どの施設も面会が出来ていないのですから。

彼は「どうしよう、せっかくの同行なのにほぼ面会できず、怒られる」なんて頭を過ぎったのか?

真っ青な顔で、
「所長、今日は夕方からイベントあるので帰って準備しても良いですか?」と言うのです。
私としては、ここで色々と言っても仕方ないとも思い、事業所に一旦戻ることにしました。

するとそこで最後の事件が起こります。

駐車場に車を入れていた時・・・・
「ガガガガガーーーーーーー」って大きな音がしたのです。

なんと彼は営業車を駐車場の柱にぶつけてしまい、バンパーは歪んでしまいました。

この駐車場、彼がいつも停めている箇所です。
でも朝からの出来事であせったのでしょうか?
ぶつけてしまった。
彼の顔は全くと言って良いほど血の気がありません。

そしてもう彼は何も話せない状態に。
そうなんです。彼から言葉が出てこないんです。

私としても、ここまで続くとどうなっているのか?
最初は
訪問計画がおかしいやろ!
面会出来るかちゃんと調べるべき!
多くの情報を事前に準備すべき!

などと同行後に伝えることにしようと思っていたのですが、
ここまでくるとさすがに、この後にセミナーが心配になりました。

とりあえずセミナーを無事に終了させることを率先した結果、
セミナーは何事も怒らず終了できたのです。
しかし本当にたくさんのことが起こった1日でした。


さて、ここまで長々と書きましたが、みなさんならどういう指導をされますか?

この時に私がとった行動ですが、

同行途中の失敗に関しては途中で何も言いませんでした。

特に運転中などに色々と始動すると事故にもつながりかねないからです。

また、彼の様子がおかしくなっているのも分かりましたので、その時には厳しいことも言いませんでした。

最後に車をぶつけた時も、とにかく事故報告の指示をだしましたが、その後にイベントが控えていることもあり、そこも喧しくは言いませんでした。

さて、その日が全て終わったあと、
当然彼は私に叱られると思ったのでしょうね。
彼から、「お叱りは何なりと受けます!」と言ってきたのです。

私は一言だけにしました。
「今日、何故こうなったかわかっているか?」と。

彼は、
自分の計画の甘さ、事前に調べるなどの甘さ、など
事前準備がまだまだきっちりと出来ていないと。

確かにそうなんです。
事前準備が必要なのは当然のことですが、
私が最後に付け加えたのは、
「いつも同じ曜日に、同じ時間に訪問しているからと言って、
 今日も大丈夫的に思っていたら大きな間違いになるで。
 事前準備をきっちりとしても、あかん時もあるねん。
 でも今日のことは忘れたらあかんし、事前の準備は
 やはり入念にすることやね!」って
言ってあげました。


正直、私の中では「彼は大丈夫なのか?」であったり、
もっと言えば腹立たしいとも思っていました。
しかし少し気の弱いところがある彼。
ここで声を荒げ怒ったらどうなるか?

まして彼は、もうどうして良いかもわからない状態。
そんな彼に怒っても、後を引きずるだけ。
そう思い、指導をしたのです。
メンバーへの指導。
難しいと思います。

人には個性があり、同じ叱り方は出来ないと思います。
でもこれもちゃんと一人一人を見てあげているからこそ
ではないでしょうか?

一人一人を大事にする。
そんな上司になってくださいね。


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