学校へ行けなくなった生徒⑪

学校へ行けなくなった生徒⑪

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コラム

お父さんがいなくなった席

ハルカの父親は、急に家を出た。

事情は大人たちだけが知っていた。

母親は言った。

「あなたは何も心配しなくていいのよ」

でも、ハルカは心配した。

朝、母親の顔色を見る。

夜、玄関の音を聞く。

電話が鳴ると、体が固まる。

学校へ行っても、頭の半分は家に残っていた。

授業中、先生に当てられた。

ハルカは答えられなかった。

友達が小さく笑った。

その日から、学校でも安心できなくなった。

母親は言った。

「学校に行っている間くらい、忘れておいで」

ハルカは思った。

心はランドセルみたいに、置く場所を選べない。

次の朝、ハルカは制服を着なかった。

学校へ行くには、家を置いていかなければならなかった。

でも、家が今にも壊れそうで、置いていけなかった。
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