満点を取るたび、学校が嫌いになった子
リョウは、算数のテストでいつも満点を取った。
先生は笑顔で言った。
「すごいね。じゃあ、みんなが終わるまで静かに待っていようね」
リョウは待った。
五分。
十分。
十五分。
待っている間に、頭の中では別の問題が勝手に生まれていた。
「この問題は、もっと短く解ける」
「この式は、図にした方がきれいだ」
「そもそも、なぜこの単元をこんな順番で教えるんだろう」
でも、それを口にすると叱られた。
「今はそういう時間ではありません」
リョウは学んだ。
学校では、分かることより、待てることの方が大切らしい。
ある日、リョウはわざと空欄を作って出した。
先生は驚いた。
「どうしたの? いつもできるのに」
リョウは言った。
「これなら、僕にも直しの時間があります」
先生は黙った。
リョウは初めて、みんなと同じ活動に参加できた気がした。
けれど、その日から、リョウは算数が少し嫌いになった。