#統合失調症・陽性症状改善後も病識が乏しく職場復帰を焦る30代男性の事例

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【患者情報(架空事例)】
・患者:34歳 男性
・主疾患:統合失調症(発症5年目・今回2回目の入院)
・既往歴:大学卒業後に就職。入社2年目に被害妄想・幻聴などの陽性症状が出現し、初診断。外来治療継続していたが自己中断。
・生活歴:実家暮らし。両親と同居。社会的役割(職場復帰)へのこだわりが強い。

<現病歴・入院経過>
・3か月前より幻聴・不眠が再燃。再入院。
・リスペリドン導入後、2週間で症状は沈静化。入院3週目現在は情緒安定し、作業療法にも参加中。
・ただし、「入院を続けると立場がない」「もう仕事に戻れる」と繰り返し発言。病識が乏しい状態。

【アセスメント・分析・解釈】
■原因・誘因(病識の欠如と焦燥感の背景機序)
統合失調症は、大脳辺縁系や前頭葉の神経伝達物質(特にドパミン系の過活動)が関与し、幻聴・妄想といった陽性症状を引き起こす慢性精神疾患である。
本患者も初診断から約5年が経過しており、症状の波がある経過の中で、自己判断による服薬中断・再燃を繰り返すパターンが形成されつつある。

現在は薬物療法により陽性症状は沈静化しているが、症状が軽快すると「自分はもう治った」と思い込みやすい傾向がある。これは統合失調症にしばしばみられる**病識の障害(insightの欠如)**によるものであり、前頭前野機能の障害によって自己評価や現状認識が正確にできない神経学的背景が関与している。

さらに本患者は30代という働き盛りの社会的役割を重視する年代であり、「職場での立場・責任・将来への不安」などが強いプレッシャーとして作用している。
この焦燥感が「早く復帰しなければならない」という過度な義務感や焦りとなり、病気の理解や治療継続への内在的動機づけを妨げていると考えられる。

また、「ストレスで疲れていただけ」といった病気以外の要因に原因帰属する発言は、自己の一貫性や自尊感情を守ろうとする心理的防衛反応でもあり、今後の再発予防において支援的な関わりが必要なポイントである。

■成り行き(放置した場合の予測経過)
・病識の欠如 → 自己判断での服薬中断
・ストレスや不眠を軽視 → 陽性症状の再燃
・職場復帰の焦りから無理な行動 → 社会的失敗体験の蓄積
・再発のたびに「周囲への申し訳なさ」「無力感」が強まり、希死念慮や抑うつ症状に進行するリスク
・再発→入院→退院→再発…という悪循環の固定化

■看護の方向性(病識支援と再発予防への関わり)
・「病気=個人の弱さ」ではなく、「脳の機能障害による症状」という正確な理解の支援
・「幻聴や妄想があったこと」について振り返る機会を設け、客観的に体験を捉えられるよう促す
・「焦って復帰すると逆に再発しやすくなる」といったリスク認識を共有し、安心して療養できる環境づくり
・自尊感情を損なわずに「今できていること」に注目した声かけ(作業療法への参加など)
・退院支援計画と連動した服薬継続支援・再発予兆へのセルフモニタリング教育の開始
・家族(特に母親)との連携を強化し、支援の足並みをそろえる

【関連図・全体像】
・統合失調症(陽性症状改善)
→ 病識の欠如 → 自己判断での回復認識
→ 無理な職場復帰の焦り → 再燃・悪循環リスク

・働き盛りの社会的役割意識
→ 「立場がなくなる」不安・プレッシャー
→ 自己否定・自己防衛 → 病識の形成を妨げる

・薬物療法への受動的姿勢
→ 内在的動機づけの欠如 → 服薬中断リスク → 再発

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