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「即利用可」 日本語教師業務委託契約書 雛形 すぐにご利用いただけます。

契約書は、項目を原則自由に作成することができます。そのため、当事務所では、相手方に不平等を感じさせない範囲にて、ご購入者様(ご依頼者様)が有利になるようなご契約書作成を心がけております。トラブルの際、不利にならないご契約書を求めていらっしゃる場合には、是非ともご購入(ご依頼)いただけたらと思います。また、契約書は自由に作成することが可能ですが、契約書が公序良俗違反(社会規範に反する内容違反)等に該当する場合などは、契約書(契約)自体が無効となります。そのため、当事務所では、法的な確認も含め実用的なご契約書作成を進めさせていただいております。本サイトで販売しておりますご契約書は、ご購入者様のご希望通りに編集することが可能です。また、契約書作成の専門家である行政書士三浦国際事務所所長の三浦が、ご購入者様のご意向に沿って編集させて頂くことも可能です(こちら別料金となります。難易度や編集量によって料金は異なりますのでご了承ください)。ご相談は無料となりますので、お気軽にご相談ください。「契約書概要」日本語教師業務を委託(受託)される際の業務委託契約書となります。汎用的な内容のご記載となっておりますので、日本語教師業務の委託(受託)における様々な場面でご利用いただける作りとなっております。※こちらのご契約書は、当事者様の合意内容にてご自由にご修正をいただき、ご使用をいただくことが可能です。業務委託契約書        (以下「甲」という)と        (以下「乙」という)は、業務委託契約(以下 「本契約」という)を次のとおり締結する。 第1条(目的)1, 甲は、第2条に規定する業務(
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「親切に教えました」ではダメ? ~「~てくれる」をなぜ使うのか?~

 今日は「あげる・もらう・くれる」という授受表現の中で特に「くれる」を日本人がなぜ使うのかというテーマでお話ししていきます。  ある時、おばあさんが重い荷物を持って歩いていました。それを見た親切な男性が「お荷物、お持ちしますよ」とおばあさんに声をかけました。おばあさんはその男性に感謝して「まあ、ありがとうございます」と答えました。おばあさんは、その時のことを何と言うでしょうか。「A.親切な人が私の荷物を持ちました」「B.親切な人が私の荷物を持ってくれました」日本語のネイティブスピーカーなら、必ず「B.持ってくれました」を使うでしょう。「持ちました」でも事実としては同じことを表していますが、なぜ「持ってくれました」と言うのでしょうか。それは、おばあさんが感謝しているからです。  もしおばあさんが、「自分で持てるのに若い人が勝手に持って行った」とか、「若い人がお年寄りの荷物を持つのは当然のことだから私が感謝する必要はない」と思っていたら、「持ってくれました」と言わずに「持ちました」と言うでしょう。つまり、日本語では同じ事実でも、話す人が感謝すべきことだと思っているか、感謝するようなことじゃないと思っているかによって、動詞の形を使い分けているということになります。このように言うと、ある人は疑問に思うかもしれません。「先生、ちょっと待ってください。さっきは親切な人がって言っているんだから、感謝している意味になるでしょう。」と。  「親切に」とか「私のために」などの表現をつけても、動詞の後に「~てくれる」がくっついていないと、やはり日本語では感謝している意味が表せません。英語などの他の言
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「図書館で本をお借りしました」は正しい? ~謙譲語には2種類ある話~

 今日は「謙譲語は2種類ある」というテーマでお話ししていきます。 日本語学校で先生が留学生に聞きました。「昨日は何をしましたか」 ある留学生が先生に対して話すときは丁寧な言葉を使わなければならないと思って、このように答えました。   (1) 昨日、図書館で3冊本をお借りしました。それから、寮にお帰りして、晩ご飯をお作りしました。  この留学生の表現は正しい敬語でしょうか。残念ながら、正しい敬語になっていません。なぜ正しい敬語ではないのですか。  この留学生は「お手伝いします」とか「お茶をお入れします」のような「お~します」という敬語を勉強したことがあるので、先生と話すときには敬語を使わなければならないと思って、このような答え方をしたのだと思います。ただ、「お~します」は行為の相手に敬意を表す表現なので、先生に本を借りた場合は正しい敬語になるのですが、図書館で本を借りたことを先生にただ伝えるという場面では正しい敬語になりません。  どういうことでしょうか。もう少し詳しく説明します。  「お~します」を使う時は、「お客様のために何かをする」とか「目上の人に対して何かをする」という場合に行為の相手であるお客様や目上の人に敬意を表す表現です。たとえば、この絵のようにお客様に「お茶をお入れしましょうか」と聞くのはお客様のためにお茶を入れるという意味だからです。つまり、行為の相手がお客様なので、「お~します」という表現を使います。「タクシーを呼ぶ」も同じです。行為の相手に敬意を表す場合に「タクシーをお呼びします」を使います。もし自分のためにタクシーを呼んだのなら、「タクシーをお呼びしました
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「出題する」は自動詞ですか他動詞ですか? ~二字漢語動詞の自他はやっかいな問題~

 最近のレッスンで韓国人学習者の方からこんな質問がありました。「日本語能力試験に『出題する』という動詞が(1)のような受身の形で出てきましたが、韓国の日本語の辞書に『出題する』は自動詞だと載っていたので受身形にできると思いませんでした。辞書が間違っているのでしょうか」というものです。 (1) 今回の試験は非常に難しい問題が出題された。  この問題は、張(2010)という論文にも取り上げられていて、「出題する」「受診する」など国語辞典には自動詞と表記されているが、目的語をとって他動詞として使われるものがあると指摘されていました。確かに、(2)のように「受診する」も目的語をとって他動詞として使われる場合があります。 (2) 新型インフルエンザの感染拡大を受け、症状がないのに医療機関を受診するケースが県内でも相次ぎ、医師らが対応に悩んでいる。                          (張2010、p.155)  私の手元の辞書を調べてみると、そもそも自動詞か他動詞かが明示されている辞書が少なく、『明鏡国語辞典[初版]』(大修館書店)だけは記載がありましたが、「出題する」は自他両用、「受診する」は自動詞と書かれていました。(その他に調べた辞書は、『大辞泉[第二版]』『日本国語大辞典[第二版]』『例解新国語辞典[第五版]』です)質問者の持っている辞書が間違っていると言えるのかどうかはわかりませんが、辞書に自動詞と記載されていても他動詞の用法を持つ動詞が存在することは確かのようです。  張(2010)では、「出題する」「受診する」のように自動詞のような意味を持ち、辞書に自動詞と書
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「~という感じがする」の「という」って要るの?

日本語学習者から質問されて困ることの代表例として、それ自体に意味がない語の意味を聞かれることがあります。「という」もその一つです。(1)と(2)の例文を見比べてみてください。   (1)この景色を見ると、日本に来たという感じがします。 (2)この景色を見ると、日本に来た感じがします。  外国人観光客が富士山を見て、あるいは桜並木を見て、はたまた渋谷のスクランブル交差点を見て、「ああ、日本に来たなあ」と実感したことを述べている文ですが、(1)は「感じがします」の前に「という」が介入しており、(2)は「という」がありません。何か意味の違いがあるのでしょうか。   無料外国語学習アプリHiNative(自分の学びたい外国語や文化についてネイティブスピーカーに質問できるアプリ)に同様の質問があり、そこでは(2)のように「という」がない方が少しカジュアルだという回答が寄せられていました。しかし、「という」が入るとカジュアルでないと感じる人も「って」や「っていう」の形にすれば、フォーマルかカジュアルかという文体的な違いはなくなるでしょう。    (3)この景色を見ると、日本に来たって感じがします。  では、「って」「っていう」などのバリエーションも含めた「トイウ」の介入によって、どのような意味の違いが生じるのか、と質問されればどうでしょうか。意味の違いがないとすれば、なぜ「トイウ」を介入させるのか、「トイウ」はなくてもいいのか、と学習者は疑問に思うでしょう。  今回は、「トイウ」が必ず介入する必要がある場合、逆に介入できない場合、そして、介入してもしなくてもどちらでもいい場合があることを解
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許可を求める表現 「サセテモラッテモイイカ」と「シテモイイカ」

 自分がしようとする行為に対して他者に許可を求める表現として、「~させていただいてもいいですか」などの「使役形+モラウ」を使うタイプ(「サセテモラッテモイイカ」系と総称)と「~してもいいですか」などのテ形を使うタイプ(「シテモイイカ」系と総称)の二種類があります。日本語学習者が前者のタイプの表現を使おうとする際に、使役形が欠如した「テ形+モラウ」の形になってしまう誤用がよく見かけられます。下の(1)のような場面で「休んでいただけませんか」と言ってしまうと、相手に休むことをお願いすることになってしまい、許可を求める意味になりません。 (1) 【休暇を1日とる場面】 学習者:どうか。あのう、1日だけ、ど、休んでいただけませんでしょうか。 母語話者:あ、それは張さんが休みが欲しいってことよね。 学習者:あー、はい。そうですね。 母語話者:あー、わかったわかった。                       (蒙・中井2020、p.116)  「休んでもいいですか」なら許可を求める意味にはなりますが、丁寧さが足りないように感じられるので、学習者は丁寧な依頼表現を使おうとして「~ていただけませんでしょうか」を使ったのだと思われます。ただ、学習者にとっては動詞を使役形にすることがなぜ丁寧さと結びつくのか理解しにくいでしょう。なぜ日本語では「使役形+モラウ」の形を使うと丁寧に許可を求める表現になるのでしょうか。  「サセテモラウ」という形にすることで、相手の許可によって自分が利益・恩恵を受けることを強調することになるからです。つまり、相手が自分の行動を決定する権利を持っていて、相手が許可して
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知らないとヤバい日本語の書き言葉と話し言葉の違い~書き言葉では使われない表現に注意!

 文章を書くのが苦手な人は、最初の1文字を書き始める前から行き詰ってしまうことがあります。私自身、小学生のころ作文が嫌いで、原稿用紙を前に半べそをかいていました。そんな時、「話すように書いてごらん。話せるんだから、書けるはずでしょ。」というアドバイスを先生たちから聞いた記憶があります。もちろん書くことへの抵抗感を下げて、書き始めるきっかけを与えるうえでは有効なアドバイスだと思うのですが、話すこと書くことには本質的な違いがあり、「話せるから書ける」は間違いです。どんなに日本語が流暢に話せても、文章を書く訓練を受けなければ適切な文章を書けるようにはなりませんし、日本語母語話者でも書き言葉を学習し、話し言葉との違いを認識する必要があるのです。  日本語での文章の書き方を学んでいない人は、話し言葉と書き言葉の区別ができません。そのことを示唆する調査結果があります。秋山(2021)では、大学生と高校生に話し言葉と書き言葉の認識に関するアンケート調査を行い、大変興味深い報告をしています。たとえば、(1)の「たぶん」、(2)の「けど」のように書き言葉では使われない語を含む例文を示し、当該の語(太字の語)がレポート・論文で使用しても良いかどうかを評価させる、そして、使用できない語である場合は適切な言い換え語を回答させるというアンケート調査を行いました。 (1) この結果でたぶん間違いないと考えられる。 (2) 国民の関心は高いけど、政策に反映されていない。  その結果、大学生よりも高校生の方が不適切な語を許容する度合いが高いことがわかりました。つまり、「たぶん」や「けど」のような語をレポート・
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前の格助詞が「を」か「に」か見分ける方法~心理動詞の意味と格助詞の関係~

 日本語の格助詞は「が、を、に、で、へ、と、から、より」など、たくさんの種類があり、また一つの格助詞が複数の用法を持っているため、日本語学習者は覚えるのに大変苦労します。特に学習者が間違いやすいのは、同じような意味の名詞に異なる格助詞が使われる時です。たとえば、「家の前に自転車があります」と「家の前でタクシーを止めます」のように、同じ「家の前」という名詞なのに「に」が付く場合と「で」が付く場合があるのは学習者には難しく感じられます。「前」という名詞には「に」しか付かないというなら簡単ですが、後に来る動詞の意味によって「に」を付けるか「で」を付けるかを変えなければならないので間違えやすいのです。  同じような問題が人間の感情や精神状態を表す動詞にも見られます。(1)も(2)も心理的な意味を表す動詞が述語に使われていますが、(1)の例はすべて格助詞「を」が使われ、(2)の例では格助詞「に」が使われます。  (1) a.良子はアメリカでの留学生活を楽しんでいる。     b.道子は容姿も良くて裕福な雅子を羨んだ。     c.私はあの時の決断を悔やんでいる。  (2) a.太郎は和夫の失礼な態度に呆れた。     b.物価高で国民は生活に苦しんでいる。     c.学生たちが進路に悩んでいる。  どちらの格助詞を使うべきかは動詞によって決まっていて、「留学生活/読書/会話・・・を楽しむ」のように、どんな名詞でも「楽しむ」はいつも「を」ですし、「×留学生活に楽しむ」と言うことはできません。同様に「呆れる」はいつも「に」で、「×失礼な態度を呆れる」とは言えません。 母語に日本語のような格
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「先生の授業は充実でした」という誤用 ~名詞として使うのか、動詞として使うのか問題~

 日本語の授業の後、生徒さんが「今日の授業はとても充実でした。先生、ありがとうございました。」のように言ってくれることがあります。「充実していた」「充実感を味わえた」という意味だと思ってほめ言葉として受け取るのですが、実は「充実だ」という言い方は日本語としておかしいです。「充実」は「充実する」という動詞述語の形で使うか、「充実感」のような名詞にしなければならず、そのまま述語にはできません。  同じような問題は、初級レベルの段階でも起こります。「休みます」と「休みです」、「食べ過ぎます」と「食べ過ぎです」の2種類の述語が出てきて、どちらの形を使うべきかで迷う、あるいは、間違ってしまうことがあります。   (1) 明日は祝日だから、学校は{×休みます/〇休みです}。 (2) 風邪をひいたので、今日の授業は{〇休みます/×休みです}。 (3) お菓子を{〇食べ過ぎました/×食べ過ぎでした}。2kgも太ってしまいました。 (4) あなた、{×飲み過ぎます/〇飲み過ぎです}よ。もうやめといたら?   ただ、「充実」のような漢語の場合、中国語を母語とする学習者にとって大きな問題となります。なぜなら、中国語にも同じ漢字を使う「充实(充実)」という言葉がありますが、中国語では形容詞として使われていて、日本語と中国語で品詞が異なるからです。
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初級文法クラスで反転授業を取り入れる方法 ~説明動画に含めるべき内容とその理由~

 「反転授業(Flipped Classroom)」とは、従来の対面授業で行われていたことを授業前に自宅で学習し、授業後に宿題として行われていたものを授業で行うというもので、文法クラスであれば、文法説明の講義を学生が動画視聴で予習し、授業の大部分の時間を使って穴埋め問題、文型作文問題などの練習問題をさせながら学生の理解を確認するといったやり方で行われる(古川・手塚2019)。もともと米国で高校の化学教師が自分の授業を欠席した生徒のためにビデオを収録して生徒に自宅で見させたことで始まった授業方法だが、講義ビデオがオンラインに掲載されたことで世界中の教員や生徒から反響があり、その後欠席した生徒の補講としてだけでなく、生徒全員に事前にビデオ視聴をさせ授業内で理解できなかった部分をフォローする教育形態として提唱された(Bergmann & Sams, 2014)。日本国内でも2010年代から大学などの高等教育機関をはじめ、初等・中等教育でも実践例が報告され始めた(中川・平良2016)。  日本語教育でも反転授業への関心が高まっており、日本語教育能力検定試験でも令和3年に記述式問題で出題された。  日本語教育における反転授業実戦を報告した古川・手塚(2019)によると、当該実践において学習者から「講義動画によって文法の理解度が高まり、授業に入りやすくなった」という意見が多数聞かれ、反転授業が有効に機能したとされている。ただ古川・手塚(2019)は、上級学習者を対象とした文法教育の取り組みであり、初級や中級レベルでも同様の授業方法が可能かどうかはまだ確かめられていない。また古川・手
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「人為的」なのに自動詞を使う場面 ~あなたが焼いたのに「肉が焼けた」となぜ言うの?~

 日本語には「開く」と「開ける」、「焼ける」と「焼く」のように対になる自動詞と他動詞がある。日本語を外国語として学習している人からすると、この自他動詞のペアは非常に似ていて、使い分けが難しい、大変やっかいな存在である。同じ漢字を使っているし、語尾の音が少し違うだけでよく似ているという形の上での類似性だけでもやっかいだが、非日本語母語話者にとっては自動詞と他動詞の使われ方が不可解に思われるという問題がある。  一般に、自動詞と他動詞の違いを日本語学習者に説明する場合、自然に起きる事態か人為的に起こす事態かの区別を示して教えることが多い。たとえば、自動ドアの絵を見せながら人は何もしなくてもドアが自然に開く場合には自動詞「開く」を使うと説明し、人がドアノブに手をかけて開けようとしている絵を見せて、人が働きかけて開ける場合には他動詞「開ける」を使うと説明する。これにより、人為的な行為は他動詞で表し、自然発生的な事態は自動詞で表すという一応の理解が形成されることになる。(ちなみに、これは対になる自動詞と他動詞の違いに焦点を当てた説明であり、自動詞がすべて非人為的な意味を表すわけではない。「歩く」「走る」など人の行為を表す自動詞も存在する。これらは対になる他動詞を持たない。) (1) 電車が駅に着くと、自動でドアが開く。 (2) パリの地下鉄では、利用者が手動でドアを開ける。  しかし、問題は人為的な事態に見えるのにも関わらず日本語話者が自動詞を使いやすい場合があることだ。 (3) さあ、肉が焼けたから、食べよう。 (4) 冷蔵庫に冷えたビールがあるから、持ってきて。 (5) スマホが故障
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日本語能力試験N1~文型作文が苦手なあなたへ

日本語学校などで日本語能力試験N1の文法を勉強する際に、以下のような文型作文の練習が行われることがあります。 (1) 仕事が忙しくて、______はおろか_____もない。 (2) _____はもちろん______に至るまで節約しています。  でも、このような練習を苦手とする生徒さんがいらっしゃいます。これは、「AはおろかB」「AはもちろんBに至るまで」のAとBに入れるべき語がわからないという問題なのですが、文型の意味がわかっていても、AとBに入れる語の種類、範囲、程度性を日本の社会通念に照らして適切に選ぶことが非母語話者である生徒にとってかなり難しい作業であるからです。  たとえば、「仕事が忙しくて、AはおろかBもない」の場合、時間がない時に優先して削る時間は何かという共通認識が必要になります。食べる時間は早く済ませれば数十分で済むわけですから、まずは寝る時間を削って徹夜で仕事をする。それでも足りなければ食事をする数十分でさえも削る。このようなイメージができて初めて「仕事が忙しいので、寝る時間はおろか、食べる時間もない」という文ができます。  同様に、「AはもちろんBに至るまで」は、「食費や電気代などは普段から節約しているが、それでもお金が貯められないので、時々スタバでコーヒーを飲むのをやめて水筒を持ち歩くことにしよう」このような含意があって「食費や電気代はもちろんコーヒー代に至るまで節約しています」という文になります。   日本語教師としては、文型の理解を測るためにこのような文型作文をさせるのですが、実はこの練習には文型の意味理解以外にも語彙の知識、社会常識的な知識などさま
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「この」or「その」?~母語話者は説明できないけど使い分けている

 下の二人の人の会話を見てください。 チャンさんの「この」の使い方、違和感がありませんか? 【チャンさんは、木村さんがかけているサングラスを指さして言った】   チャンさん:木村さん、このサングラス、すてきですね。        どこで買ったんですか。   木村さん :これですか?ありがとうございます。        兄にもらったんですよ。 チャンさんは木村さんが身につけているサングラスを少し離れたところから指さして言っている場面です。この場合、日本語母語話者なら「そのサングラス、すてきですね」と言うのではないでしょうか。では、なぜ「このサングラス」が間違いで、「そのサングラス」が正しいのか。日本語を外国語として勉強している人に聞かれたら、説明できるでしょうか。 「この」「その」「あの」、「これ」「それ」「あれ」、「ここ」「そこ」「あそこ」など、「こ・そ・あ」で始まるこれらの言葉は「指示詞」と言われるものです。 指示詞の使い方はいくつかに分類して説明する必要がありますが、上の会話のように、目の前の物を指して言う場合は、「現場指示」の用法ということになります。   ① 現場指示用法(目の前の物を指して言う場合)   ② 文脈指示用法(文脈の中にでてきたものを指す場合、   相手や自分の発話の中に出てきた言葉や文章の中に出てきた   言葉を指す場合がある) そして、「現場指示」の中には、話し手(上の例ではチャンさん)と聞き手(木村さん)が同じ領域に属していると見るか、異なる領域に属していると見るかによって、また使い方が変わってくるのですが、上の例の場合、サングラスは木村さんが身につ
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丁寧なようで失礼な表現~日本の社会通念上の不適切さ

秘書が社長に次のように言ってお茶を勧めたらどうでしょうか。 「社長、お茶を入れてさしあげましょうか?」 丁寧に言っているようでなんだか失礼なような、モヤモヤしてしまう言い方だと思います。 モヤモヤの原因は「~て差し上げる」という表現を直接恩恵を受ける相手に使っている点にあります。 「お茶を入れてあげる」「手伝ってあげる」「席を譲ってあげる」など自分が他の人に喜ばれる行為(恩恵的な行為)をすることを表す際に「~てあげる」という表現が使われますが、「~てさしあげる」はこれをさらに丁寧にした言い方(敬語の分類で言うと謙譲語にあたる)です。では、丁寧な表現を使っているのになぜ失礼な印象を与えるのかというと、自分自身が相手に恩恵的な行為をすることを相手の面前で言うことは日本の社会通念上、相手への配慮に欠けた失礼な行為ということになります。日本語では、自分でお茶を入れた場合であっても「お茶が入りましたよ」と言うように自分の行為を背景化してお茶が飲める状態になったという結果を言語化することがあります。冒頭の場面では、秘書が社長のためにお茶を入れるという自分の行為を社長の面前で言語化している点に違和感が生じるということです。「社長、お茶をお飲みになりますか」「社長、お茶はいかがですか」のように表現すれば何も問題がない。  ただ例外として、自分が恩恵的な行為をすることを明言する場合でも、「お嬢ちゃん、荷物を持ってあげようか」のように年下の相手に対して発言する場合は社会的に失礼な言動とはみなされません。恩恵的な行為を受ける相手が目上の人で、且つその人が前の前にいる場合に直接「~てあげます、~てさし
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予想外の答えが見つかるのがコーチング セッション

みなさん、こんにちは。語学コーチの Leco(れいこ)です。私は普段3つのフィールド、日本語教師・英語教師・コーチングでパラレルに活動しています。今日はこの3つの中から、コーチングについてお話ししたいと思います。コーチングとは、相談者が一人ではなかなか解決しない事柄をテーマに上げ、それについてコーチが相談者に様々な角度から質問することで解決の糸口を見つけるコミュニケーション手段です。いつもコーチングセッションをしていて、不思議だけれども、とても効果があると必ず感じていることがあります。それは、コーチングセッションを受けると、本来予想していたものとは全く異なる結論が出てくることです。その全く異なる結論は、とてもワクワクする新鮮なものです。この結論にたどり着くと誰もが積極的に問題になった事柄に取り組み始めます。先月行ったコーチングセッションの中からこの予想外の結論についての一例をご紹介します。クライアントAさんは、転職活動中の女性で「理想の仕事とは?」というテーマで、お話しされることにしました。このテーマについて、50分セッションを行いました。セッションの中で、コーチである私は様々な角度からこのテーマについて質問をしてみました。クライアントさんは、その一つ一つの質問を丁寧に考え、回答されました。そして50分が経過した時、どんなことがわかったと思いますか。テーマから予想すると、「理想の仕事」が見つかったと考える方が多いのではないでしょうか。実際は、「今の仕事では、自分の時間が持てないので そのことがストレスになって、転職活動をしていた」ことにクライアントさんが気がつかれました。この気
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