「先生の授業は充実でした」という誤用 ~名詞として使うのか、動詞として使うのか問題~

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 日本語の授業の後、生徒さんが「今日の授業はとても充実でした。先生、ありがとうございました。」のように言ってくれることがあります。「充実していた」「充実感を味わえた」という意味だと思ってほめ言葉として受け取るのですが、実は「充実だ」という言い方は日本語としておかしいです。「充実」は「充実する」という動詞述語の形で使うか、「充実感」のような名詞にしなければならず、そのまま述語にはできません。
 同じような問題は、初級レベルの段階でも起こります。「休みます」と「休みです」、「食べ過ぎます」と「食べ過ぎです」の2種類の述語が出てきて、どちらの形を使うべきかで迷う、あるいは、間違ってしまうことがあります。
対応する名詞述語と動詞述語.JPG

(1) 明日は祝日だから、学校は{×休みます/〇休みです}。
(2) 風邪をひいたので、今日の授業は{〇休みます/×休みです}。
(3) お菓子を{〇食べ過ぎました/×食べ過ぎでした}。2kgも太ってしまいました。
(4) あなた、{×飲み過ぎます/〇飲み過ぎです}よ。もうやめといたら?
 ただ、「充実」のような漢語の場合、中国語を母語とする学習者にとって大きな問題となります。なぜなら、中国語にも同じ漢字を使う「充实(充実)」という言葉がありますが、中国語では形容詞として使われていて、日本語と中国語で品詞が異なるからです。
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