「すべからく」と「サビ」-日本語の誤用
今日は日本語の誤用の話をします。 今までなんどか著書を参考にさせていただいた評論家 呉智英氏は、日本語の誤用の指摘を得意としています。 有名なところでは「すべからく」があります。 私は知らなかったし、多分、皆さんも驚かれると思いますが、「すべからく」を「すべて」の意味で用いるのは誤りなんです。 漢字で書けば「須く」で、漢文で「須」は「すべからく…べし」と訓読されるように、「当然」「是非とも」という意味が正しいんですね。 呉氏は、自らを知的に見せたい人間が、「すべて」といえばいいものを、高級な表現のつもりで「すべからく」として、格好をつけ、却って恥をかいたのだろうとしています。 もう一つ例を上げましょう。 テレビなんかで、「〜の謎をひもとく」とか「原因を紐解く」といった形で使われるひもとく」ですが、もともとは「繙く」と書きます。 新聞なんかでも「それでも民主党の歩みをひもとけば、党の船出では鳩山の財力を・・・」といった書き方をしていますね。 これに違和感を覚える人はあまりいないでしょう。 しかし、呉氏によれば、「昔の書物は巻物であったり、厚紙の箱に入ったりしていたので、まず結び紐を解いて読んだことから元来は古典などの本を開いて調べることを意味する」んですね。 もちろん、これは呉氏の独創的な説ではありません。 「広辞苑」にも「書物の帙(ちつ)の紐を解く。一般に、書物をひらいて読む。ひもどく」とあります。 呉氏は「不思議発見!日本語文法。」との題名の本の宣伝文に「日本文法にひそむふしぎをひも解く」とあるのを取り上げ、「紐の付いたふしぎなんて見たことない。ふしぎを紐解くことはで
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