「人為的」なのに自動詞を使う場面 ~あなたが焼いたのに「肉が焼けた」となぜ言うの?~

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日本語虫めがね
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 日本語には「開く」と「開ける」、「焼ける」と「焼く」のように対になる自動詞と他動詞がある。日本語を外国語として学習している人からすると、この自他動詞のペアは非常に似ていて、使い分けが難しい、大変やっかいな存在である。同じ漢字を使っているし、語尾の音が少し違うだけでよく似ているという形の上での類似性だけでもやっかいだが、非日本語母語話者にとっては自動詞と他動詞の使われ方が不可解に思われるという問題がある。
 一般に、自動詞と他動詞の違いを日本語学習者に説明する場合、自然に起きる事態か人為的に起こす事態かの区別を示して教えることが多い。たとえば、自動ドアの絵を見せながら人は何もしなくてもドアが自然に開く場合には自動詞「開く」を使うと説明し、人がドアノブに手をかけて開けようとしている絵を見せて、人が働きかけて開ける場合には他動詞「開ける」を使うと説明する。これにより、人為的な行為は他動詞で表し、自然発生的な事態は自動詞で表すという一応の理解が形成されることになる。(ちなみに、これは対になる自動詞と他動詞の違いに焦点を当てた説明であり、自動詞がすべて非人為的な意味を表すわけではない。「歩く」「走る」など人の行為を表す自動詞も存在する。これらは対になる他動詞を持たない。)
(1) 電車が駅に着くと、自動でドアが開く。
(2) パリの地下鉄では、利用者が手動でドアを開ける。
 しかし、問題は人為的な事態に見えるのにも関わらず日本語話者が自動詞を使いやすい場合があることだ。
(3) さあ、肉が焼けたから、食べよう。
(4) 冷蔵庫に冷えたビールがあるから、持ってきて。
(5) スマホが故障して、電源が入らないんだ。
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