第6話『形合わせ』
短編連作『かぐや姫』よりー人生には、役目が終わったことに気づく瞬間があります。 この連作は、そんな瞬間を書き留めたものです。第6話『形合わせ』まだまだ器用に動かないぷっくりの指が、星形を星形の穴に通すと、目をキラキラ輝かせる。幼い子供は、どれとどれが同じかを早く見つける遊びに夢中になる。「同じものは、合う。」積み木で形合わせをしていた、あの最初の正解のときからずっと、それが正しさだと学びつづけてきたんだと思う。この世界で上手く生きていくために、幼稚園でも学校でも、私たちは同じという名の合うものを探す旅に出たんだと。やがて、私たちは周りにぴったりな自分を見つけることが上手になる。それがどんどん上手になると、気付いた時には、本来の自分の形に合うものを見つけることは、ほぼ不可能になっている。だって自分が星形だったことなんてもう覚えていないから。そのまま恋をしてみても、好きになってくれる人は、私が見ている形ではなくて、好きになった人は、私の形じゃない。だからって、憧れは合う形にはなってくれないと気付けないから、ますますパズルは難解になっていく。この大がかりな形合わせも、大迷路みたいに高台に上って俯瞰して眺めてみないといけないのに、パズルに必死になって近目になるから完成には向かえない。それでも人生には、図らずもリセットのタイミングを持つことがある。父は、私が21歳の時に他界した。あまりに急な出来事に、私の思考も心の整理も追いつかず、その当時1、2年の記憶があまりない。私は何も考えなくて済むように本ばかりを読みふけり、ぐちゃぐちゃになった頭の中で、新しい正解を何とか見出そうとしていたみたい
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