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百王伝説(1)

   序 野馬台詩(やまたいし)とは、中国(南北朝時代)の梁という国の予言者である僧宝誌によって作られた未来記(予言詩)である。縦に十の文字、横に十二行の全部で百二十文字から成る。全文は次の通りである。  始定壌天本宗初功元建  終臣君周枝祖興治法主  谷孫走生羽祭成終事衡  填田魚膾翔世代天工翼  孫子動戈葛百国氏右輔  昌微中干後東海姫司為  白失水寄胡空為遂国喧  龍游窘急城土茫茫中鼓  牛喰食人黄赤与丘青鐘  腸鼠黒代鶏流畢竭猿外  丹尽後在三王英称犬野  水流天命公百雄星流飛 古来、その読み解きは、様々に行われてきた。本作は連載小説です。不定期な更新にはなりますが、よろしくお願いします。
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百王伝説(3)

     第二章 野馬台詩   一「それゆえ、やつがれを訪ねてきたかや」「その通りです」「ふうむ」 小四郎の話を聞き終えて、くろ梵字は何やら考え込むふうである。「陽が落ちるようです」 ややあって、くろ地蔵がおそるおそる告げた。「おお。つい、長話になったようだ。小四郎とやら、腹は空いておらぬか」 くろ梵字に訊かれて、小四郎も空腹を意識した。それを察したのだろう、「くろ地蔵よ。頼むぞ」「承って候」 くろ地蔵は、ゆっくりとくろ梵字から離れた。くろ梵字は小四郎の手を借りて壁にもたれると、「山名どのは何処に?」「まだ京には入っておりませぬ。白子どのが京を探り、それがしがここを訪ねた次第」「内野の戦いから三年ほどしか経っておらぬゆえな。そのうえ満幸どのは、乱の首魁であったな」 くろ梵字は憐れむように言った。「教えてくだされ。この詩を読み解けるのはどなたでござろう」 小四郎は紙片を手にくろ梵字に低頭した。「読み解けるのは、賢人と呼ばれる人物のみであろう。当代の賢人といえば、貴族か叡山か……。いずれにしろ武家で読み解ける者はおるまい……」 すでに頓阿法師は亡い。くろ梵字は、思案しながら、「そうじゃ。安倍有世どのであれば、あるいは」 と、思い出したように一人の人物の名をあげた。「陰陽頭おんみょうのかみの安倍どのでござりますな」 くろ梵字は肯いた。「山名どのの謀叛を予言した安倍有世どのは、野馬台詩によりそのことを知ったという真しやかな噂がある」「本当でござりますか」 小四郎は半信半疑だが、もし事実であれば、今後の満幸の身の処し方も最善の方法が、あるいは分かるかもしれない。「して、その住まいは」 小
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