食べられない息子の目の前で、私はご飯を食べなければならなかった
抗がん剤治療は全部で5クール。薬を数日かけて投与し、その後は体が回復するのを待つ──その繰り返しでした。でも、息子は抗がん剤の副作用がとても強く出るタイプでした。髪の毛は抜け、血液が作られなくなり、3日に一度は輸血。口の中は粘膜障害で真っ赤に腫れ上がり、血がにじみ、唾液さえ飲み込めない。吐き気もひどく、たった5ccの薬を経鼻チューブから入れただけでも吐いてしまう。誤嚥性肺炎を防ぐため、水さえ飲めなくなりました。そんな状態が、一か月以上続きます。そして、それを5回も繰り返すんです。そんな息子を目の前にして、一番苦しかったこと。それは、毎日ご飯を食べなければいけないことでした。朝も昼も夜も、自分が生きるために、食べなければなりません。つらそうにしている息子の目の前でもぐもぐとご飯を食べないといけないんです。親として、「こんな情けないことはない」と心の底から思いました。親として何もできないどころか、食べたくても食べられない息子を追い詰めるような行為を、目の前でしないといけないんです。本当に苦しくて、情けなかった。でも、息子は、目の前でもぐもぐと食べる私を見て責めたり、泣き散らしたことは一度もありませんでした。まだしゃべれなかった息子は、「今日は何を食べるの?」って顔をして、私のご飯の匂いをスンスンと嗅いで、それで満足したように、少しだけニコッと笑うんです。その笑顔を見るたび、「なんて心のきれいな子なんだろう」「なんて強い子なんだろう」そう思いました。あの時感じた、苦しさも情けなさも、息子の優しさも強さも、きっと私は、生涯忘れることはありません。もし今、お子さんの病気や障害と向き合いな
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